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  1. 富山県議会 2002-12-01
    平成14年12月予算特別委員会


    取得元: 富山県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-14
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1                     午前10時05分開会 横田委員長 ただいまから12月定例会予算特別委員会を開会いたします。  本委員会の運営に関し、理事会で決定した事項は既にお配りしてありますが、ここで特に、質問者においては持ち時間は答弁を含め60分ということに、また、答弁者においては簡潔な答弁にそれぞれ留意され、円滑な委員会運営に御協力いただきますようお願いいたします。  なお、委員席につきましては、ただいま御着席のとおりにしたいと思いますので、御了承願います。  それでは、発言の通告がありますので、これより順次発言を許します。       古栃一夫委員の質疑及び答弁 2 横田委員長 古栃委員。あなたの持ち時間は60分であります。 3 古栃委員 おはようございます。  通告してある2点について質問をいたしますので、よろしくお願い申し上げます。  先日──先日とは9月9日のことでございますが、JR滑川駅でおばあさんが家に帰ることができなくなっていたときに、海洋高校の生徒がそのおばあさんに話しかけ、結局家まで手をつないで連れてきてくれたそうであります。私はその話を聞いて涙が出そうな思いをしたわけであります。知事は人材立県と盛んに言っておられるわけです。田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞されましたが、こうしたこともノーベル賞に値するほどすばらしいことではないかと。  今どきの高校生はマナーが悪いとか、青少年の非行や犯罪が新聞などで報道されている。勉強ばかりではなく、優しさを発揮すること、あるいは人を思いやる心を持つことがすばらしいことではないかというふうに思います。  知事は、本県の高校教育をどのように進めておられて、こういう子が出ることについてどう思われるか、お聞きしたいというふうに思います。 4 中沖知事 古栃議員からも御指摘がありましたが、全国的には、とかく最近の高校生はマナーが悪いとか、あるいは非行などが問題になっておりますが、今ほど海洋高校の生徒の話を紹介いただきましたけれども、大変心の温まる話であるというふうに思います。本県におきましては、困っている人たちをいたわる優しい心を持った高校生たちがたくさんいることを大変うれしく思っております。  この機会に、本県の高校生たちのいろいろな活動を若干紹介させていただきたいというふうに思います。  全部の高校で取り組んでおりますものとしましては、マナーの向上などを目指した「高校生さわやか運動」というのがあります。それから、幾つかの高校で取り組んでおるような活動としましては、例えば福祉施設でボランティア活動を行うということ、あるいは地域の駅周辺、海岸、河川などの清掃活動を行っているものがあります。  それから個別の高等学校におきましても、例えば子供たちのおもちゃを修理する「おもちゃの病院」でありますとか、あるいは施設のお年寄りを訪問したりする「里孫運動」、それから棚田のあぜや斜面の草刈りをする「棚田を守り隊」と、こういったようないろいろユニークな活動も行われておるということも御紹介申し上げたいと思います。  県としましては、このようなさまざまな活動に活力を与えるような支援をこれからも積極的に進めていきたいと考えております。  教育委員会におきましても、今高校生の教育に一生懸命取り組んでおるところでありますし、田中耕一さんのノーベル賞受賞に見られますような、これまでもすぐれた教育活動を進めてきておるところでありますが、今後さらに、基礎学力の確実な定着を図ること、また個性と創造性を伸ばす教育を推進すること、さらには優しさを発揮し、人を思いやる心を持つことなどの教育の充実に努力をしていただきたいと考えております。
    5 古栃委員 今、子供たちが半減しているわけでありますが、日本の将来をしょって立つ若者に一騎当千のたくましさを持ってほしいと思うのは私だけではないというふうに思っておりますが、最近の高校生は、夢や希望を持って粘り強く勉学や部活動などに取り組む者が少ないという声もありますが、創造性豊かでたくましい行動力を持ち、責任感あふれる心豊かな若者を育てる必要がある。そのために、生徒の自主的な活動をもっと支援すべきだと思うが、教育長にお尋ねを申し上げます。 6 福岡教育長 元気で創造性豊かな人づくりを目指すためには、児童生徒の学習意欲を高め、そして自主性、創造力をはぐくみ、多くの体験活動を通して社会性も培うことが大切だと思っております。  本県には元気で活躍している子供たちがたくさんおりまして、少し紹介させていただきますと、例えば小学生では、全国児童才能開発コンテストの科学部門で最高賞の文部科学大臣賞に選ばれた奥田小学校の表さん、中学校では、伝統的工芸品月間作文コンクールで最高賞の経済産業大臣賞に選ばれた高岡西部中学校の金森君、高校生では、全日本学生音楽コンクールの声楽部門で第1位に選ばれた呉羽高校の小林君、そしてホームプロジェクトコンクールで最高賞に選ばれた魚津高校の小杉さんなど、多くの児童生徒が優秀な成績をおさめているのであります。また、アイデア対決・全国高専ロボットコンテストの2002年全国大会では、富山商船高専がロボコン大賞を受賞しておるところであります。これらの活躍は、児童生徒が意欲的に学習に取り組み、すぐれた創造力を発揮した成果であると思っております。  これまでも、児童生徒が自主的な活動の中で生き生きと学校生活や社会生活を送ることができるよう支援しているところでありますが、平成13年度からは、高校生の創造性をはぐくみ、表現力を高めるための高校生による創造発信事業、それから生徒みずからがマナーや規範意識を高めようとする、今ほど知事から申し上げました高校生さわやか運動、それから高校生が社会へ出て就業体験をするインターンシップ制度推進事業の3つの事業を立ち上げまして、皆さんから高い評価をいただいているところであります。  特に、高校生による創造発信事業では、高校生きらめきフェアを開催いたしまして、各学校の特色ある活動を紹介し、学習成果を発表しておるわけでありますが、今年度は12月21日、22日の両日に高岡テクノドームで開催することとしているところであります。  また、高校生さわやか運動につきましては、各学校であいさつの励行、奉仕活動の実施、駅前での声かけ運動といった高校生の自主的な活動を支援し、あいさつや乗車マナーの向上など社会性が高まるように努めているところであります。  今後とも、これらの活動を積極的に進めまして、児童生徒が何事にも主体的に取り組み、たくましい行動力を身につけて、夢と目標を持って社会に羽ばたいていけるように支援をしてまいりたいと存じます。 7 古栃委員 このような生徒が育つ背景に、小学校、中学校、高等学校におけるボランティア活動の経験があると思います。それぞれの学校におけるボランティア活動の位置づけと具体的な活動の内容について教育長に問います。 8 福岡教育長 小学校、中学校そして高校の多くの児童生徒は、特別活動、部活動などにおいてさまざまなボランティア活動を行っているところであります。また、総合的な学習の時間が導入されてからは、その中においても積極的な取り組みがなされているところであります。  例えて申し上げますと、小中学校では、福祉の学習のために、社会福祉施設に入所している方々への慰問や養護学校の児童生徒との交流、また公園や駅周辺の空き缶拾いや海岸清掃、花壇の整備などの活動。高等学校を見てみますと、海洋高校の生徒の海岸清掃、魚商組合の行事参加、それから滑川高校吹奏楽部などの老人福祉施設なごみ苑への慰問、それから大沢野工業高校、魚津工業高校の生徒たちのものづくり教室など多くの活動があるわけであります。  ボランティア活動にかかわる体験的な活動は、児童生徒の豊かな人間性、社会性をはぐくむことができる重要な教育活動であると考えておりまして、教育委員会としては、小中高校におけるボランティア活動を今後とも積極的に支援してまいりたいと存じます。 9 古栃委員 この生徒は相撲部の1年生であるというふうに聞いておるわけです。このような心の優しい行動に出たことは、部活動における日ごろの指導の成果に負うところが大きいのではないかというふうに思います。部活動をどのように支援しているのか、教育長にお尋ねいたします。 10 福岡教育長 運動部ということでお答えをさせていただきたいと思いますが、運動部活動におきましては、上級生、下級生が互いに協力し合って練習に励む。時には社会人の指導者やOBの方などからも指導を受けながら活動をしておるということであります。このような活動を通して、生徒と顧問あるいは生徒同士の交流が深まり、豊かで充実した学校生活が経験でき、自主的で自律的な生活態度や継続的に努力する態度を身につけていくことができるものだと思っておりまして、生徒の人格形成にも大きな意義があると考えております。  この運動部活動につきましては、教育委員会といたしましては、競技力向上のための指導法、そして協調性、連帯感など信頼関係を高める指導のあり方を普及するための運動部活動指導者講習会の開催、そして国体で活躍した選手や指導者、いわゆるスポーツエキスパートの派遣、それからトレーニングハウスなどの学校体育施設の整備、全国大会などへの出場選手の激励や上位入賞者の褒賞、高等学校体育連盟に対する各種大会開催費や派遣費の支援などを行っているところであります。  今後とも、各学校において生徒がみずから部活動に活発に参加し、そしてより高い水準の技能を身につけ、記録の向上に挑戦する生徒が育つように、運動部活動を支援してまいりたいと存じます。 11 古栃委員 高校教育をスムーズに進めるに当たって、これからは、家庭はもちろんのこと、地域社会の協力を得ることも必要だろうと思いますが、この地域社会の協力を得ることについて具体的な取り組みはどのように行っているのか、教育長にお伺いします。 12 福岡教育長 御案内のように、中学校の社会に学ぶ14歳の挑戦では、地域の皆さんの大変な協力をいただいておりまして、また、高等学校においても、生徒の職場体験、インターンシップに際しては、地域の企業あるいは福祉施設の皆さんの協力によりまして、生徒が社会性や働くことの大切さを身につける上で効果を上げているところであります。  さらに、多くの高校では、保護者、卒業生、地域社会の皆さんの協力を得て、例えば平高校や八尾高校では郷土芸能の指導、それから富山商業高校、高岡工芸高校などの専門学科では接客や販売のビジネスマナー、建築技法やデザインワークの指導、ほとんどすべての高校では、職業や資格、働く意義や社会人としてのあり方などの指導もいただいているところであります。  また、高校生が地域の行事への参加を通じまして、授業では学べない貴重な経験もさせていただいているところであります。このほか、生徒が自主的にマナーの向上や規範意識を高めようとします高校生さわやか運動につきましても、PTAや地域社会の組織的で積極的な支援をいただいているところであります。  今後とも、本年度までに全校で設置されました学校評議員制度も活用いたしまして、学習や特別活動、進路指導、部活動などさまざまな場面で、家庭、地域社会の方々に生徒や学校を理解していただくとともに、その協力を得まして学校運営が進むよう、地域に開かれた学校づくりを一層進めてまいりたいと存じます。 13 古栃委員 私は、滑川市議会議員17年間、富山県議会議員8年目になります。そのうち教育警務委員会に4年間籍を置きました。この話を聞いたとき、なぜか救われたような気がしたわけです。こんな生徒は、私はほかにも大勢いるのではないかというふうに思っておるわけですが、このような生徒をどのように評価をし、どのように表彰する制度があるのか、教育長にお伺いしたいと思います。 14 福岡教育長 スポーツ活動や文化活動で活躍した生徒を顕彰する制度といたしましては、全国大会で優秀な成績をおさめた生徒、団体に対する褒賞品の贈呈のほか、特に顕著な成績をおさめた生徒、団体について、県功労表彰や教育功労者等表彰などの制度があるわけであります。  委員御指摘の、これらスポーツ活動や文化活動以外の分野につきましては、教育委員会において、教育功労者等表彰の中で、特に顕著な実践活動などがあり他の児童生徒の模範となる者を優良児童生徒として、また、研究会、部、クラブなどの活動及び運営が優秀で顕著な成果を上げている団体については優良教育団体としての表彰の対象にしているところであります。このほかに、生活環境部におけるボランティア部門功労表彰、それからボランティア活動推進富山県民会議による表彰制度などがあるわけであります。  スポーツや文化活動以外の分野で活躍する生徒や団体を顕彰し、功績をたたえることは、生徒本人の励みとなるとともに、他の生徒たちに対してはさまざまな分野に挑戦する意欲を高める効果があることから、非常に有意義なことだと思っております。  現在、21世紀の子供たちを育てるために、富山ならではの教育指針としてとやまの教育ルネッサンス構想の策定にチャレンジしているところでありますが、この中において、スポーツ活動、文化活動以外で活躍している生徒に対し、従来の制度も含めまして顕彰のあり方について検討してまいりたいと、そのように考えております。 15 古栃委員 教育長、ありがとうございました。  次は、深層水の振興と今後の深層水の研究についてお尋ねをしたいというふうに思います。  1番目に、深層水の産業利用については、平成12年6月の分水開始以来数多くの商品が開発され、本年8月に公表された深層水ビジネスに関する調査では、本県の売上高が1,590 億円、そのうち酒類を除いた売上高が115 億円となっていると報道がありました。しかし、最近では発泡酒に続く深層水関連のヒット商品が少なく、高知県ではこれまで伸び続けてきた深層水商品の売り上げが、平成13年に初めてマイナスに転じ、前年度の約100 億円から90億円になったと聞いておるわけであります。  こうした一時期の深層水ブームに勢いがなくなってきている状況や、あるいは静岡、沖縄などの後発県の追い上げなど、今後本県の深層水産業を取り巻く環境も厳しさを増すものと思われますが、県として深層水産業の現状をどのように評価分析し、そして今後どのような振興を図っていくのか、商工労働部長にお伺いいたします。 16 山本商工労働部長 深層水につきましては、富山の深層水ブランドの確立を目指し、これまでも重点的な分野ということで振興に取り組んできたところでございます。その結果、委員御指摘のように、昨年度実施いたしましたアンケート調査によりますと、酒類を除く売上高115 億円ということで、深層水関連産業が着実に成長していけるというふうに考えております。  ただ、今後全国各地域で深層水のくみ上げといった動きが出てきておりますし、そういったことから申し上げますと、地域間競争もさらに激しくなってくるというふうに考えておりますし、深層水そのものの商品の引き合いというのがこれからどうなるかというのは、やはり懸念材料の一つでもございます。  こういったことから、開発技術の強化によりまして他地域との差別化を図っていくこと、さらには富山ブランドの知名度をさらに高めていく必要があるというふうに思っておりますし、深層水関連商品の販売網を充実強化することなどの必要があるというふうに考えてございます。  県といたしましては、新商品開発等のための共同研究や研究助成、あるいは資金融資等によります事業化への支援、さらには深層水フォーラムやフェアの開催など富山湾深層水の利用拡大に向けた働きかけ、また販路拡大に向けました東京アンテナショップ──いきいき富山館でございますけども、これを通じたPR活動や各種イベントの出店などに取り組んでいるところでございます。さらに効果が上がるようにいろいろと工夫をしてまいりたいと考えております。 17 古栃委員 次に、県では平成8年度から深層水の成分特性分析、健康増進関係への応用研究、医薬、農業、食品などの非水産分野での深層水の利用研究が進められてきており、その経過を活用した商品が多数出てきている。また、タラソピアのように新しい行政サービスにも寄与している。  最近の健康ブームを反映して、健康面での利用についてさらなる研究を進めていくべきと考えるが、現在の研究の状況及び今後の見通しを商工労働部長にお伺いします。 18 山本商工労働部長 健康分野におきますこれまでの研究といたしましては、富山医科薬科大学と県との共同研究によりますアレルギー性皮膚炎疾患への利用研究、またマリンミネラル──これはマグネシウムとかカルシウムなどの海水に含まれる微量のミネラルでございますが、これの健康増進法の研究などがございます。これらの成果の一部は滑川市のタラソピアで活用されているところでございます。  また、平成14年度からでございますけども、衛生研究所、富山医薬大及び滑川市が共同で、タラソピアにおきまして、塩分濃度約15%の濃縮深層水を利用いたしました、入浴によります健康面の効果の分析や健康増進プログラムの開発にも取り組んでいるところでございます。  なお、今後の研究につきましては、健康分野は県民ニーズの高い分野でございますので、さらなる研究テーマを発掘いたしまして取り組んでまいりたいと考えております。 19 古栃委員 県立バイオテクノロジーセンターにおける研究については、新聞などの報道で抗がん作用が認められる新しい微生物の発見などが伝えられ、その後、この研究成果に期待を寄せていたところでありますが、バイオテクノロジーセンターにおける研究の状況及び今後の見通しはどうか、経営企画部長にお伺いいたします。 20 江畑経営企画部長 委員お尋ねの深層水に関するバイオテクノロジーセンターの研究といたしましては、現在、御質問にもございましたように、まず富山湾の深層水に含まれます海洋微生物の調査と、それらの微生物が生み出す抗生物質などの化合物の中から医薬品や農薬に有用な物質を探索、発見するための研究、それから海洋深層水の清浄性、富栄養性、低温安定性などを利用した化粧品、食品、飲料水の製品開発など、深層水の利用のための研究を積極的に進めております。  このうちまず、海洋微生物に含まれる医薬品や農薬に有用な物質を探索する研究につきましては、これは1件、御質問にあったものについて特許申請を行っているところでございますが、こういった研究につきましては、探索後の開発過程で動物実験や臨床試験など多くのハードルがありますことから、短期間での製品化は難しいという状況ではございますが、今後ともこの分野の研究には力を注ぐことにしておるところでございます。  また、もう1つの深層水の利用のための研究につきましては、既に、深層水を電気分解して得られるアルカリ水や酸性水を用いまして、アルカリイオン水、魚の鮮度保持等に効果のある殺菌水、ミネラルが豊富な石けん、深層水独特の味やうまみのあるラーメン、ビール、みそなどが製品化されているところでございます。  今後さらに各種の食品の開発に取り組みますとともに、新たに、さびを防ぐ効果を生かした製品開発や、殺菌水を活用した野菜栽培など農業分野での利用などにも取り組む予定でございます。 21 古栃委員 NEDOと富山県と滑川市で、日量2,000 トンの取水施設が完成し、本格的な通水試験が開始されたと聞いております。  富山湾の深層水の最大の特徴である低温安定性に着目して、発電所の冷却水としての利用など冷熱エネルギーの利用も有望視されているが、今後どのように展開されるのか、商工労働部長にお伺いいたします。 22 山本商工労働部長 NEDOのエネルギー使用合理化・海洋資源開発活用システム開発の実証研究でございますけども、これは60万キロワット級の火力発電所の冷却水などに使用するために、日量100 万トンの深層水をくみ上げる場合を想定した技術開発や海洋環境に与える影響を調査するものでございます。  現在、滑川市で行われている実証実験は、日量2,000 トンの深層水をくみ上げる規模を小さくした実証実験と、深層水という資源の効率的な利用の観点から研究を行っているものでございます。県としても滑川市とともに参画しているところでございます。  この研究につきましては、昨年度の中間評価におきまして、深層水という未利用の自然エネルギーを利用して、発電効率を向上させ、省エネルギーや二酸化炭素の削減などにも大きな効果が期待できるとの総合評価がされたところでございます。今後、15年度まで実験が進められ、その後の研究の方向性等につきましては、NEDOにおいて検討が行われるということになっております。 23 古栃委員 ちょっと方向がずれるかもしれませんが、マラソンの高橋尚子選手が高所トレーニングをして試合に臨むというふうに聞いておるわけですが、高所トレーニングはどのようなことから有効なのか、その原理、仕組みについてお伺いしたいと思います。 24 福岡教育長 全身の持久力を強化することを目的といたしまして、希薄な酸素環境のもとで高所トレーニングが取り組まれておるところでありますが、この高所トレーニングは、1つには、より多くの酸素を体内に取り入れることができるようになること。2つには、血液中の赤血球やヘモグロビンが増加することによりまして、筋肉への酸素運搬能力が高まり、運動に必要なエネルギーをより多くつくり出すことができるようになる。3つには、疲労物質であります乳酸が生成されにくくなることなどから、呼吸循環機能が向上いたしまして、持久的運動能力の高まりが期待されるものであると認識をいたしております。  委員御承知のとおり、立山室堂周辺は、春から夏にかけましてクロスカントリースキーのメッカとして、県内外の選手が積極的に活用しておりますし、また国体選手の強化のために、有峰においてことしの夏に約100 名の県内の陸上長距離選手が高所トレーニングにチャレンジをしておるわけであります。  また、文部科学省の登山研修所にあります高所の希薄な酸素環境を人工的につくり出すという低酸素室は、県内の陸上長距離選手やスケート選手に活用されているところであります。  今後とも、高所トレーニングを積極的に取り組みまして、本県の競技力が向上するように努めていきたいと思っております。 25 古栃委員 深層水の飲料は血液をさらさらにする効果があるということは、かなり前にテレビでも報道されたわけでありますが、私もそれを信じておるわけです。具体的に研究の状況はどうか、お伺いしたいというふうに思います。 26 山本商工労働部長 深層水飲料が人の血液を流れやすくさせる研究、さらさら効果につきましてでございますけども、昨年10月の深層水利用研究会全国大会におきまして、県外の研究グループから効果があるという報告がされております。  内容を申し上げますと、深層水から調製された高ミネラル飲料の血液流動性の改善には、マグネシウムの効果に加えて、深層水に特異的に多い微量成分が関与している可能性が考えられるというものでございます。  また、深層水のミネラル成分が血糖値の抑制など生活習慣病の症状を改善させる傾向につきましては、本年3月の日本農芸化学会におきまして、これは県内の研究グループでございますけれども、発表がなされたところでございます。今後は、生活習慣病の予防や治療補助に役立てる食品の開発にも期待がされているところでございます。 27 古栃委員 次もまた少し方向がずれるかと思いますが、中高年の元気回復、体力回復のために適度な筋肉トレーニングが有効だということで、今静かにブームを呼びつつあるわけでありますけども、これはどういうふうに効くのか、教育長にお伺いしたいと思います。 28 福岡教育長 答えがちょっと違っているかもしれません。  中高年を迎えまして徐々に体力が低下する中で、その人に適した筋力トレーニングは、体力の維持向上に効果があると言われておるわけであります。  近年、御指摘にもありましたが、スポーツや健康に対する関心が高まりまして、柔軟性や血液の循環機能を高める効果があると言われる真向法体操──これは中沖知事もやっておられるんですけれども、それからエアロビクス、太極拳、水中ウオーキングなどの運動を継続的に行う中高年者が増えていることは、健康、体力づくりはもとより、ストレスの解消などの面からも大変好ましいものであろうというふうに思っております。  このため県では、新世紀スポーツプランに基づきまして、県や市町村スポーツ施設などでさまざまなスポーツ教室、セミナーを開きまして、県民一人一人が好みに応じたスポーツに親しむことができる豊かなスポーツライフを創造できるように取り組んでいるところでありまして、この後も一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。 29 古栃委員 中高年の元気回復のために、高所トレーニングの利点を生かしながら、そして適度な筋肉トレーニングと深層水飲料をとれば効果が上がると思うわけであります。実はこれを言いたかったわけですね。この3つをまぜて新しい効果を期待できないか、こういうことでありますが、こうしたことについて関係大学などと共同研究してはいかがか、商工労働部長にお伺いします。 30 山本商工労働部長 深層水の健康面での効果の医学的な解明につきましては、まだまだ少し時間がかかる部分があるというふうに理解をしております。  また、今ほどお話がございましたトレーニングと深層水のさらさら効果、そういったものとの相乗効果という観点から見ますと、まさにまた難しい問題が出てくるんじゃないかと思っておりまして、また専門家の意見も聞きながら検討してみたいと思っております。 31 古栃委員 商工労働部長にはノーベル賞は無理でないかというふうに思うわけでありますが……。後ろのほうから、もう1つギョウジャニンニクも加えればいかがかという声もかかっておりますが、あきらめないでいろいろとPRをしていけばいいのではないかというふうに思うわけですが、実は、深層水をもっともっとPRして多くの方々に関心を持っていただき、より新しい分野へと研究開発が進められることを期待しておるわけであります。  次は、深層水の効用や効果などのPRの一環として、例えば、近ごろ中高年齢者の登山者が多いと言われておるわけでありますが、その登山者などが泊まる宿泊施設などで深層水を飲んでいただけると先ほど言いました。高所トレーニング、血液のさらさら、それから山を歩くトレーニングと3つ合わせていい効果が出るのではないかというふうに思いますが、商工労働部長におかれましては、どのように私の提案を評価されるかお聞きしたいと思います。 32 山本商工労働部長 標高3,000 メートルを誇る立山には、玉殿の湧水という名水がございます。これも十分にまた堪能していただきたいと思っておりますけれども、それとあわせまして水深300 メートルの富山湾の日本海固有冷水の深層水、こういったものが2つドッキングして提供できるということでは非常にユニークな発想であると思っております。  ただ、商品の販売といった面を考えますと、2つの商品を並べた場合に、果たしてその相乗効果がどの程度あるのか、消費者にとって深層水はどういうイメージで受けとめられるか、それから深層水を提供する場合の費用の問題もございます。こういったところを総合的に考えながら、御提案について十分検討してまいりたいと思っております。 33 古栃委員 ことしの夏、アイスクリームの中に深層水を入れてもうけられた会社があると聞きました。実はその方は、深層水を入れると高知県の特許にひっかかるんではないかということで、非常に考えられました。そこで、深層水でつくった塩を入れて一もうけされたそうでありますが、大変富山県人らしいたくましさが感じられるわけです。  私も一度この席で御案内申し上げましたが、ホタルイカに深層水とある薬草の液をまぜて塗るとヤリイカぐらいに大きくなるという話を紹介したかと思いますが、そのグループが今度は、深層水を含んだ目薬が角膜障害に有効であるということで、特許を出願したと聞いておるわけです。こうした民間の研究はもとより、そういう努力に対して商工労働部長はしっかり把握しておるかどうか、ひとつお尋ねをしたいというふうに思います。 34 山本商工労働部長 深層水を含んだ目薬に関する研究につきましては、新世紀産業機構が募集しました平成13年度の新産業創出公募研究の一つでございます、深層水の眼科領域への応用に関する調査研究の基礎研究として実施されたものでございます。関係企業から、眼科用剤に関する発明として特許出願され、先月その内容が公開されているところでございます。具体的な内容は、硝酸態窒素、燐酸態燐など、これを多く含む深層水は角膜の修復作用があり、これを含む眼科用剤はドライアイなどに伴う角膜の障害に有効であり、副作用も極めて弱いものと考えられるということでございます。  深層水の研究開発の状況につきましては、大学、公設の試験研究機関や民間企業においてさまざまな利用研究が進められております。県といたしましては、全国のそうした研究成果等の情報につきまして、海洋深層水利用研究会の全国大会等いろんな場を通じて収集に努めておりまして、関係企業への情報提供も行っているところでございます。  また、公開されました特許情報につきましても、富山県深層水協議会におきまして定期的に検索をしておりまして、県や協議会会員へ情報提供をしているところでございます。  また、県内におきます商品開発の状況につきましては、利用企業等への確認なども行いながら、適時適切に情報の収集に努めているところでございます。 35 古栃委員 以上で私の質問を終わるわけでありますが、実は夕べあるところで忘年会をしておりました。私は糖尿病の気があるわけでありますけども、糖尿病をコントロールするのに番茶を水に入れて一晩置いて飲んだほうが効くそうであります。  ところが、今部長からお話がありました深層水でつくった水も糖尿病の血糖値を下げるのに効果があったと。今度は、水でなしに深層水の水で番茶を溶かして、それを飲めばより効果があるのではないかと。私も田中耕一さんを目指して頑張っていきたいと思いますので、今後とも深層水をひとつ皆さんもお忘れなくお願いを申し上げまして、終わります。ありがとうございました。 36 横田委員長 古栃委員の質疑は以上をもって終わりました。       小川晃委員の質疑及び答弁 37 横田委員長 小川委員。あなたの持ち時間は60分であります。 38 小川委員 私は、通告をしました2点について質問させていただきたいと思います。  最初に、散居村の保全と田園空間整備事業についてお尋ねをいたします。  砺波平野の屋敷林に囲まれた美しい散居村というのは、全国的にも大変珍しい景観を有しておりまして、それは、点在する農家がカイニョと言われる屋敷林に囲まれて、そこは多様な生物空間のすみかになっている、あるいは屋敷林が防風の役割を果たしている、こういうことでありますが、最近、屋敷林が枯れたりあるいは開発が進んだりということで、伐採をするというような状況も出ておるわけでありますが、この屋敷林を守ろうという運動も、かねてからかなり長いスパンで行われておるわけであります。  県でもその一環として、屋敷林を守り、その美しい散居村の景観を保全していこうということで、田園空間整備事業を導入するなど努力をされておるというように理解をするのでありますが、この散居村の保全、屋敷林の保全の取り組みについて、概括的に農林水産部長にお尋ねしたいと思います。 39 井田農林水産部長 委員御指摘のとおり、美しい農村の原風景であります砺波地区の散居村を保全するために、田園空間整備事業を実施しているところでございますが、県としては今年度から、散居景観を生かした地域づくり協定を締結した地域における屋敷林の枝打ち作業等に対し助成することとしたところでございます。  また、関係市町村におきましては、地域住民の積極的な参画のもと、枝打ちや補植など屋敷林の維持管理マニュアルの作成、伝統的家屋の解体・移築時のワークショップの開催、地域ぐるみでの景観づくりを促進するための景観協定案の作成、さらには、小学生を対象とした副読本やカレンダー等の作成配布による、となみ野の歴史と文化の普及啓発などに取り組み始めたところでございます。 40 小川委員 実は、この散居村については、砺波広域圏だけではなくて、旧の西砺波郡や東砺波郡等であった高岡の南部地域や小矢部市にもずっと広がっておるわけでありまして、そこは一衣帯水の散居村地帯であるというふうに私は理解をいたしておるわけでありますが、こういった地域の散居村の屋敷林も保全すべきというふうに言ってきた経過がございます。  平成11年3月4日の一般質問で、私は当時の上江農林水産部長にこのことについて尋ねたところでありますが、これについて部長は、「これらの地域については、今後事業を推進していく中で、事業対象区域で実施する事業の効果をこれらの地域にも波及させていくことや、必要な施設整備に他事業を導入していくこと、あるいは田園空間整備事業での取り組みの可能性などについて検討してまいりたいというふうに考えております」というふうに答弁をされておりますが、どう具体的に検討されたかお尋ねをしたいというふうに思います。 41 井田農林水産部長 となみ野地区での田園空間整備事業は、散居景観保全活用の全国のモデルとして、国の事業採択を受け実施しておるものでございます。このことから、まずはとなみ野地区の取り組みを立派なモデルとしたいということで、県、市町村、地域住民が一体となって知恵を出しておるというところでございます。  高岡市南部あるいは小矢部市のそういう他地区の散居保全につきましては、となみ野地区におきます取り組みが進む中で、その効果が波及していくことを期待しておるという状況でございます。 42 小川委員 今、波及していくことを期待をしておるという、人ごとみたいな発言でありますが、ほっぱっといて波及するわけじゃないんですよ。やっぱり施策を講じなきゃ波及しないんですね。そこらについては何か具体策はあるんですか。 43 井田農林水産部長 こういう散居の保全といいますのは、いずれにしても息の長い事業であろうというふうに思っておりますし、何よりも地域住民の方々がその気になって取り組んでいただくということが大事ですので、拙速は避けたいというふうに思っております。 44 小川委員 拙速を避けたいというのはどういう意味なのかよくわかりませんけれども、住民のほうから言うてこんから、わしらっちゃはやってやらんがみたいな、何かそういうふうにもニュアンスとして聞こえるんですね。  私が特にこれを主張したのは、高岡の南部地域、特に私の居住しております戸出地域や中田地域などは、いわゆる市街化調整区域として線引きを受けておるんです。線引きを受けておるがゆえに──砺波地域は、こう言ってはなんですけど、線一本挟んでそういった規制がありませんので、どんどん宅地開発をしていらっしゃるんですよ。民間デベロッパーがどんどん行って、そしてスーパー農道あたりがアクセス道路になっている。私に言わせたら、農業投資をしたところに住宅がつくられるというのは、これは少し乱開発ぎみなんじゃないか。そういうところに空間整備事業は導入されて、開発したくてもできないこの地域の人々は、その散居村を守って営々として生活している。ものすごい不公平感があるんですよ。こういうところにこそ、空間整備事業や散居村を保全する施策をする必要がある。私はそう思うんですよ。  知事にお尋ねしますけど、この間、知事と市町村長の懇談会がございまして、新聞報道で見ましたし、私は高岡市の確認はしましたけれども、高岡市長からは、「高岡南部地域の散居村の景観を守ってほしい。そのために田園空間整備事業などの導入についても検討してほしい」ということを言われて、知事は、調査し検討するというような──これは新聞記事でありますが、というふうに書いてございました。  今私が言いましたことも含めまして、この地域の散居村の景観保全についてどういうふうに考えていらっしゃるか、お尋ねしたいと思います。 45 中沖知事 今、御質問ありましたように、先般の市町村長会議におきまして、高岡市長さんからそのような発言がございまして、御指摘にもありましたような答弁をしたところであります。  砺波の広域圏につきましては、御案内のように、散居形態の維持や散居景観を保全活用する活動などが行われておりまして、こうしたことを総合的に勘案して、全国のモデル地区として国の田園空間整備事業が導入されているところであります。
     そこで、県としましても、現在となみ野地区で展開されている住民の主体的な各種のソフト活動などが周辺地域へも広がることを期待いたしておりますし、いろいろ資料など情報提供も積極的に進めていきたいというふうに思っております。  そこで、今後、戸出・中田地区におきまして、地域住民のカイニョなど散居景観の保全活用に対する機運が高まりまして、保全方策が定まるようであれば、高岡市とも十分協議いたしまして、景観保全のための各種事業の導入、つまり、具体的に言いますと、田園空間整備事業でありますとか、あるいは農村の各種環境整備のための農村振興総合整備事業、あるいは水環境整備事業、こうした事業の導入などにつきまして幅広く検討していきたいと、このように考えております。 46 小川委員 要するに、今の知事の答弁では、ただ取り組みが波及していくことを期待するとかいうさっきの部長の答弁からもう少し踏み込んでいただいて、地域の住民のほうからこういう要求があったら、あるいは具体的な運動があったら取り組んでいくと、こういうふうに理解をしたいというふうに思うわけです。  ただ私は、先ほど申し上げましたように、この地域は、要するに線引きで市街化調整区域というふうにされて、いわゆる農村地帯として生きていくといいますか、そういうことが余儀なくされている地域であります。そして開発したくてもできない。特に砺波地域よりもずっと美しい景観を保っている。チューリップなんかも、砺波はチューリップと言いますけども、ほとんど半分ぐらいは戸出地域のチューリップなんですよ、実は。そういうふうに、そういった開発したくてもできないところに対して手厚い保全策を講じていかなかったら、とても不公平感が強い。だから、そこらの地域の人からは、何で線一本でこんなに差別があるのかというような声も聞きますので、そういうところを十分に思いをいたしていただいて、できたら県サイドからも、もっとこういうことについていろんな形でのアドバイスや示唆をいただきたい。そしてまた、できたら予算で調査をいただきたいと、こういうふうに思います。今の知事の答弁を高岡市当局にも伝えて、また地域の一員としましてもそういった運動について努力をしてまいりたいというふうに思っております。  それで次に、質問の第2は地下水問題でございます。  この問題については、私は何回も議会の場で取り上げてきた経過がございます。先日、地下水保全に先進的に取り組んでいます熊本県を視察してまいりました。こういった経過を踏まえながら、若干質問をしたいというふうに思います。  本県は大変地下水が豊富なところであるとされていますが、その利用比率は平成14年度の調査で、工業用が56%、生活用水・住民の飲料用は15%にすぎないんです。これは全国的にも恐らく、大変工業用に偏重している県だろうというふうに思います。ちなみに全国の平均が、国土交通省の調べでは、工業用が29%で住民生活用が26%ということでほぼ拮抗していることと比較しましても、本県の工業用の比率が高過ぎる。このことは私は何回も指摘をしてまいりました。工場などが安い地下水をどんどん利用する一方、県民の多くは地下水を奪われて、ダムから流される川の水を処理して、お金を出して飲まされているというのが富山県の構図です。  熊本県は83%──あこは離島などがありますのでそういうところを除いて、約83%が地下水だけで生活しているんです。特に熊本地域というのは、熊本市を中心に約90万の人口がおるんですが、ここは100 %地下水で生活をしておるんです。だから地下水を保全するために一生懸命なんです。で、住民優先をきちっと出している。涵養策も条例できちっと涵養をうたっている。こういうところなんですよ。  私はかねてから、地下水利用は住民優先の比率を高めるべきである、そして地下水保全のため、工業用利用を制限して涵養策を講ずるということを強く要求をしてまいりましたが、これらに関する現在までの実施状況及び地下水の今後の保全対策について、概括的にまず知事にお尋ねをしたいと思います。 47 中沖知事 県には御案内のように、昭和51年に地下水条例が設けられて、制定されておるところであります。ここでは取水基準、つまり1井当たり800 立米・日以下を設けまして、地下水採取の規制を行ってきております。さらに、平成4年には県下平野部全域を対象とする全国最初の地下水指針を策定いたしまして、地域ごとに設定した適正揚水量を遵守するように、地下水利用の節水合理化や地下水保全意識の啓発などの各種の施策を推進してきておるところであります。  この結果、最近では、海岸部で過去に地下水の塩水化が見られました範囲は縮小しておりますし、また地下水位につきましてもほぼ横ばいで推移しておるところであります。さらに、県下全域や地下水条例適用地域では、工業用の地下水採取量は減少してきておる状況であります。  それからまた、現行のとやま21世紀水ビジョンにおきましては、「清浄で水量豊かな水環境の保全と活用」を基本目標に、地下水の適正な管理と各種の涵養手段の導入に努めておりまして、例えば涵養手段としましては、道路の歩道などへの透水性舗装の導入などを行っておりまして、地下水保全を水資源対策の重要な施策の一つとして位置づけております。  今後とも、限りのある資源としての水を有効に活用しまして、また、本県のすぐれた水環境を保全するために合理的な地下水管理を行うことが大切であると考えておりまして、地下水保全のための各種の施策を積極的に進めてまいりたいと考えております。例えば、全県にわたる揚水量の5年ごとの把握、そしてこれに基づく規制地域の見直しなど、地下水指針で明確に進めていきたいというように考えておるわけであります。  なお、熊本県の条例との比較におきましても、本県は熊本県よりもすぐれておる条例内容になっておる点もありますので、今ここではあまり人のことを申し上げませんけれども、その点もひとつ特に御理解をいただきたいと思っております。 48 小川委員 熊本県と比較をすると、私は格段に違いがあるというふうに思いますけども、要するに私が指摘をしましたのは、富山県は水開発で──このことを話すとまた長くなりますが、いわゆるダムをつくって、東部の宇奈月ダムの水は余っていますし、西部の和田川、境川、子撫川……総合すると特に子撫川ダムの水なんかはいっぱい余っております。そういうことでどんどん市町村に──高岡なんかは自己水源は20%しか揚げてないんですよ。ほとんど和田川、子撫川の水を使わなきゃなりませんので、それを住民に協力して飲んでもらっているという、こういう構図もあるんです。いわゆる住民優先ではない、これはもう明白な事実です。ここのところが熊本県と決定的に違うんです。一番大事なところです。  熊本の事例を私はいっぱい資料をもらってきたんですが、こんなものを一々説明しとったらどうにもなりませんけども、とにかく涵養、節水。それから、例えば熊本の「地下水を守るために」という家庭用の雨水浸透升の設置補助の御案内ですね。いわゆる各家庭で雨水を管路に流し込むんじゃなくて、それぞれの雨水升という升をつくってこれを直接地下に浸透させる。こういうのを今熊本県では普及させて、熊本市内だけでも3,000 個以上既に出ておるということで聞いてまいりました。1軒当たり1万6,000 円の市町村の補助が出されるということです。これは雨水対策にもなるわけです。そういう意味で、大変私はいい方法ではないかと。  それから、地下水への思いやりということで、いわゆる啓蒙ですけれども、地下水をもっと節水をしましょうということで、私が泊まったホテルでも、ホテルのところに「熊本県地下水条例により地下水の節水が求められておりますので、協力してください」というような文章が書いてございました。こういったような資料がいっぱいありますが、またこれは関係課にお知らせをさせていただきたいというふうに思います。こういったような取り組みというのがあるんです。  だから私は、最も大切なのは、行政が住民の飲み水である地下水を守るという、こういう視点がきちっと確立されているかどうか、こういうことだというふうに思うんです。だから、地下水は住民の飲み水が優先であるという原則をまず明らかにすること、それから地下水の涵養をもっと思い切って実施してほしいということ。  特に熊本県では、地下水の保全目標というのを掲げて地下水の涵養を進めているんです。涵養に見合った採取量ということで、目標涵養量を7億2,000 万立米、そして地下水保全採取量を2億3,000万立米というふうに、要するにくみ上げる3倍弱の涵養を県の方針として打ち出して、そのことを実施をしているんです。そういう具体的な目標値まで定めて、必死になって住民のために地下水保全に取り組んでいる、こういうふうに私は思うんです。  こういったところも少し参考にしていただいて、もっと地下水の涵養を思い切ってやっていただきたいというふうに思うわけでありますが、今ほど紹介しました家庭用雨水浸透升の補助事業なども含めて検討いただけないか、もう一度知事の見解をお尋ねしたいと思います。 49 中沖知事 熊本県の条例につきましても、私ども十分また調査いたしまして、今御指摘のありました点なども十分検討してみたいというふうに思います。  いずれにいたしましても、富山県は水の県でありますし、水が宝であります。水は生命の源でもありますから、私どもはやはり水を大切にしていかなきゃならん、こういう気持ちでおりますので、そうしたことから条例もつくり、何よりも21世紀水ビジョンという全国に先駆けた先見性のある計画もつくったわけでありまして、こうした点なども議員各位の御理解をいただきたいと思います。 50 小川委員 私は3つ答弁を求めたんですよ。住民の飲み水が優先の原則を明らかにしてほしいということと、涵養策を思い切って実施してほしいということ、それから、できたら雨水浸透升などについて検討していただけないかということを言ったんですけれども、今ちょっと余りにも抽象的な答弁だったので、もう少し踏み込んだ答弁をお願いします。 51 中沖知事 私なりに答弁を申し上げたつもりでおりますけれども、雨水升につきましては、本県はもう実施しておるところでありまして、ただ、これからもっともっと浸透するようにいろいろ努力をしなきゃならんというふうに思います。  それから、地下水の涵養につきましても、今は富山県では冬場において消雪用の水を利用するために地下水位が低下するというような問題もありますので、もっと総合的な水利用というもの、つまり、河川水でありますとかいろんなものを活用して除雪対策にも取り組むということが大事ではないかというふうに思っております。いずれにいたしましても、地下水の涵養にはさらに努力をしたいと思います。  それから、飲み水が住民最優先である、これはもう当たり前のことでありますが、ただ本県は、産業発展、それから潤いある地域づくり、いろんな面で水を積極的に活用するということが大事でありますから、そうしたことも考えながら水の対策を進めていくということであります。御理解をいただきたいと思います。 52 小川委員 雨水升の浸透がまだ十分浸透しとらんというような状況でございましたけれども、なかなかウイットに富んだ答弁だなと思いました。この点は評価をします。もっと浸透するようにひとつ努力をいただきたいというふうに思います。  高岡市の南部地域の地下水保全策について、これはまた地域のことで恐縮でございますが、今、松下電子が9,000 トン、コカ・コーラが3,500 トン、そして、後でまた触れますが、企業局が約8,200トン取水の計画をいたしております。既に松下電子とコカ・コーラが、最大ですけどもこれだけ揚げておるわけであります。  この地域はもともと湧水地帯が、私どもが子供のころはいっぱいあったんですけれども、今はほとんどなくなってきた。そしてこの地域、特に中田地域には、アシツキとかトミヨとかゲンジボタルという県の天然記念物が──要するに地下水があるゆえに生存しているこういった希少な生物がおるんですが、特にこのうちのアシツキはほとんど姿を消すというような状況になっておりまして、大変この地域では地下水の保全ということについて関心を持っておるわけでございます。これについては私どもの大先輩の宮本先生が何回か議会でも取り上げられましたし、私も取り組んできておりますし、それから清都議員さんもこのことについて質問されてきた経過がございます。  しかし率直に言って、私どもは涵養策などについても求めてきましたが、そういう指摘に対して一体何がなされてきているのか。ほとんど取り組みがなされていないんではないかというふうに思うんですけれども、このことについて答弁を求めます。 53 川口生活環境部長 御質問のあった地域という限定ではございませんが、地下水の涵養策、特に先ほど知事も答弁いたしましたけれども、冬期間の消融雪の水源の多様化でありますとか、節水型の消融雪の普及でありますとか、適正な設備の維持管理とか、特に冬の問題についてはそういった対応をしておりますし、全体として地下水指針の話を全部しますとちょっと大変ですけれども、そういったことで、いろいろ取り組んできております。  ただ、今いろいろ御指摘ございましたけれども、現在水ビジョンの改定作業をやっておりまして、地下水の涵養については大変重要な課題であるという認識は委員と多分同じだと思っております。その中で十分検討してまいりたいと思っております。 54 小川委員 ぜひ実態を調査していただいて、涵養策などについて施策を講じていただきたいと思います。  次に、利賀川工業用水道事業についてお尋ねをいたします。  この事業は、まだ完成もしていない利賀ダムの水のかわりに、余っている境川の水を暫定的に流して、約8,600 トンを砺波の安川というところで取水をして、それを浸透池に入れて、そして8,200 トンを採取する。そしてそれを特定の飲料水工場に送る、売ると、こういう計画でございます。  これは、全国では初めての地下浸透池による方式だというふうに、かなり鳴り物入りで企業局は言っておるわけでありますが、ただ、これは本当に大丈夫なのかという不安の声が、地元あるいは下流1キロぐらいに居住しております中田地区の住民などから上がっているということであります。  浸透池方式を実施するために、約30日間小さなプラントをつくって実験を行いました。私もその実験が行われた現場を見ましたけれども、いわゆる実験プラントというのは1.8 メートル掛ける1.8 メートルで、約3.24平米の小さな狭いものでありまして、そこへ1日828 立米から230 立米の水を入れて、250 メーター下流の試験井でくみ上げるという、こういう実験が行われてきたわけであります。それでもって、これで8,600 トン入れて8,200 トン揚げるのは大丈夫だというような結論が出されたようでありますが、余りにも小規模であり、短期間での調査のシミュレーションでOKが出されるというのは、私はいかがなものかというふうに思うわけであります。  この技術はまだそんなに確立をされたものではなくて、また実験的に他の地域で行われておりますが、まだきちっとオーソライズされた技術ではないと私は思っておるんですけれども、このことについて企業局長の見解を求めたいと思います。 55 堺企業局長 利賀川工業用水道事業につきましては、学識経験者から成る利賀川工業用水道事業検討会におきまして、浸透池を設けまして河川水を直接この池に注入し、地下水に浸透させながら下流側に設ける浅井戸で取水する方法、いわゆる浸透池方式で調査するよう提言を受けまして、調査を実施してきたものでございます。  この調査結果につきましては、その検討会で、解析結果は妥当であり、地下水位低下の影響は小さく、かつ狭い範囲でおさまるとの評価結果を得たことから、浸透池方式による取水は住民生活に支障を及ぼすことはないという判断をし、この方式を採用することにしたものでございます。  なお、欧米では古くから、自然地盤の浄化能力を利用いたしました浸透池方式により、工業用水道事業や上水道事業が特別の問題もなく実施されているところでございます。 56 小川委員 日本ではこの方式が初めてというふうに言われているんですが、検討委員会といいますか、何人かの学者の方の提言で実施をして、ほぼ妥当という、こういう結果を得たからということですが、学者の中にもいろんな方がいらっしゃるわけでありまして、この方式に疑念を呈している学者もいらっしゃるんです。  私どもが呼びました島津さんという全国的にも有名な、全国水源連の事務局長をやっていらっしゃる方も、直接企業局へも出向いて話をさせていただきましたが、実物大、すなわち8,600 トン以上注入できる広さの浸透池をつくって1年間は実験してみる必要があるというふうに指摘をされているんです。  既にこの地下水の浸透池方式について、国内では秋田県の六郷町、あるいは福井県の大野市などで実験的にやられています。これはもう大体2年とか1年以上のスパンをかけて、しかも実際の広い実験池でやっているんです。それで、まだこれについては、十分に効果があるとかないとかということについての結論は得ていないというふうに私は聞いておるんです。  大野市なんかはもう今3年目で、ことしが最終年だというふうに聞いておりますけれども、企業局のはわずか3週間ですよ。そういうやり方で本当に、8,600 トン入れるから8,200 トン揚げてもほとんど影響がないというふうに言い切れるのかどうなのか。私はそういう点ではもう少し慎重な対応を求めたいというふうに思いますが、改めて質問いたします。 57 堺企業局長 この利賀川工業用水道事業につきましては、委員おっしゃったとおりでございますが、浸透池で日量8,640 トン──毎秒にしますと0.1 トンでございますが──を浸透させまして、下流の取水井で日量最大8,200 トンを取水する計画でございます。浸透水量については、調査データに基づきましてシミュレーション解析を行ったところ、利賀川工業用水道事業検討会において、解析結果は妥当であり、地下水位低下の影響は小さく、かつ狭い範囲でおさまる。それからまた、浸透した水のほとんどが取水井で揚水されるという評価をされたことから、取水量の何倍もの浸透量は必要でないものと考えております。  それから、浸透池の目詰まりにつきましては、一般的にごく浅い層で生じることとされておりまして、今回の調査においても池の底から5センチ程度のごく浅いところに泥が付着していることが確認されたことから、浸透池を複数設けまして、定期的に底にたまった泥を除去しながら交互に使用することによりまして、継続的な浸透が可能であると考えております。  また、調査の規模や方法、それからまた期間などにつきましては、検討会の委員の方々の指導助言を得ながら実施してきたところでございます。  いずれにいたしましても、住民生活に支障を及ぼさないことを十分念頭に置きながら、今後行います設計の中で適切に対応してまいりたいと、そういうふうに考えております。 58 小川委員 私は地下水生成の仕組みというのはよくわからないんですけれども、今の局長の答弁では、8,600 トン入れたらほとんどその水が8,200 トン取水できると。そんな水というのはあるんですか。しかも、この試験結果で見ると、70メーターも地下水が1日でさーっと浸透してしまうというようなデータがございますね。それは水そのものになってしまうんじゃないかなと私は思うんですけれども。  地下水というものは、そんなに早く浸透するものじゃなくて、年月をかけてろ過をされてくる、そのプロセスが地下水として大切なものではないかと。あまりにも簡単に、しかも入れた水が全部そのまま取水される地下水というのは、これは地下水なのかどうなのかというふうに、素人でもそう思うじゃないですか。地下水に入れたものは全部一定の方向に行くわけじゃないでしょう。あっち行ったりこっち行ったりすることだってあるわけでしょう。そういうことについてどう考えているんですか。  それからもう1つ。浸透池を2カ所つくると言いましたが、どれだけの広さのものを2カ所つくるんですか。どれだけの面積ですか。 59 堺企業局長 この事業で想定いたしておりますのは、地表から15メートル程度の浅い層を想定しておりまして、この実験によりますと、1日当たり250 メートルから210 メートルの速さで流れておるという結果でございます。流速は、1日当たり250 から210 メートルの程度で流れておるということであります。これは砂れき層でございます。  それから、池の広さのお話でございますが、これから設計するわけですが、今のところ1,000 平米程度のものではないかと思っております。 60 小川委員 これは、あなた方が委嘱をした委員の先生方と、私どもが聞いた全国的にも権威でございます島津先生との……私はそういうところからも聞きましたし、実際に、個人的な感覚としましても、8,600 トン入れるから8,200 トンすぐその水を、ピュッと同量取っても問題がないというのは、私はいかにも問題が多過ぎるというふうに指摘せざるを得ないと思うんです。  先ほど、質問しなかったんですが勝手に答えられましたけれども、浸透池の目詰まりということも大変問題があるんじゃないか。島津先生は、これは致命的であるとまで言っていらっしゃいますが、微細な粒子あるいはバクテリアの繁殖、藻類の光合成などで目詰まりを起こす、こういうことがありますし、それから浸透池方式──先ほど熊本県の大きなスパンで言いましたけれども、取水量の数倍の浸透水が必要という指摘があるわけです。  先ほど、熊本県の涵養に見合った採取量ということを紹介しましたけれども、熊本県の場合は採取をする3倍弱の涵養をやっているんですね。これは県全体の大きな話でありますが、しかしこの浸透池方式も、考え方によってはそういうものじゃないか。そうすると、8,600 トンの3倍、2万1,000 トンぐらいは入れないといけないんではないかと、こういう指摘もあるわけであります。だから、こういった方式については、まだ国内的には確立されていない方式なのに、何でこんなに急いで特定の企業に供給しようとしているのか、このことについては大変疑念を感じます。  もう1つ、この事業には、利賀ダムの負担金6億円を含めて、18億円以上かけて建設を──18億5,000 万の工事費が計上されるというふうに聞いておるんですが、推定されておるんですが、それから、維持管理費が年間2,000 万となっています。そして収支見通しは、平成20年度までは収支トントンとされておるわけでありますが、少なくとも平成20年度まではほとんどもうけはない。で、40年間の耐用年数を想定しているんですが、本当に40年間も耐えられるのかどうなのかということについて、私は極めて疑念があります。  富山県の水政策の中で水余り現象が起こったのも、ダムに水をどんどんためて、そしてそれが供給されないまま放置をされているという、こういう実態に学ぶとき、40年という長いスパンで先を見通しても、どういうふうに状況が変化をしていくのか。特に水のリサイクルなんかは、企業あたりは一生懸命やっています。そういう意味で、大変不確実な投資ではないか。神通川工業用水道が結局休止のやむなきに至ったというのは、まさに企業局の見通しの甘さといいますか、地下水の政策とも相まって……このことの教訓から、私はやはりこの事業についても──全国初だなんて胸を張って言えるような、そんなような事業ではない。もっと慎重にいろんな知見を集めて、もっと県民の、特に下流でこの事業について疑念を呈している中田地区の自治会の人々や、あるいは水を守る会の人々などの同意を得るような努力をすべきである、こういうふうに思うんですが、このことについてどういうふうに思いますか。 61 堺企業局長 住民の皆さんの同意に対するお答えでよろしいんでしょうか。 62 小川委員 いや、今言うたこと全部。──あんたの思ったとおり答えてください。足らんだらまた質問します。 63 堺企業局長 砺波地域におきましては、既存企業の事業拡張計画や新たな工業団地の造成が予定されております地域の地下水環境への影響が懸念されることから、現在以上の地下水取水は困難となっておりまして、工業用水の整備が必要な状況にあるわけでございます。  このため、砺波市から県に対しまして、工業用水を早期に供給してほしいという強い要請を受けまして、利賀川工業用水道事業を実施しているところでございます。今後、この工業用水を地域の企業に給水することによりまして、地域産業の発展に役立っていくことを期待しておるわけでございます。  それから、地域の住民の方との関係でございますが、この事業の実施に当たりましては、地域住民の皆さんの理解と協力を進める必要があると考えておりまして、このため、砺波市、工事区域となる般若及び東般若の2つの自治会とは、事業実施同意の協定を締結させていただいたところでございます。また、高岡市の中田地区連合自治会についても、同様に協定締結の協議を鋭意進めているところであり、近いうちに締結できるものと考えております。  なお、庄川流域の井戸水を守る会に対しましては、これまでも事業内容や調査結果等について十分説明し、話し合いを進めてきたところであり、今後も理解を得られるよう努力していきたいというふうに考えております。 64 小川委員 今、砺波市の般若地区及び東般若地域と砺波市と県企業局で協定が締結をされたと。この協定書の写しを中田地域の水を守る会の皆さん方が見せてくれということを言いましたら、なかなか見せていただけなくて、情報公開条例をかけてやっと見せてもらったというような経過があるというふうに聞いております。  私が言いましたら、すぐ持って来ました。何で、こういった情報公開について、議員と関係住民との間に差をつけるんですか。議員に公開できるものならば、すぐに住民にも公開すべきではないかというふうに私は思うんです。こういうところについては富山県は情報公開ワーストワンに近い。この問題はまたいつかやりますけれども、そういうところに端的にあらわれている。実に官僚的な対応である。そのことについて関係住民はかんかんに怒っている。このことを私は指摘をしておきたいと思います。  今、中田地区の連合自治会にも了解を得るように努力しておる、それから庄川流域の皆さんに十分説明して理解を得たいということでありましたが、それはそれで努力をしていただきたいと思います。  般若地区と東般若地区と砺波市の協定書をここに持っていますが、この協定書のほかに覚書があるんでしょう。どういう覚書ですか。局長、知っていますか。 65 堺企業局長 現在結んでいる協定は、利賀川工業用水道事業に使用する地下水の浸透池方式による取水に関する協定書、それから協定書に伴う補償確認事項でございます。 66 小川委員 ここに私は覚書というのを持っているんです。利賀川工業用水道事業に使用する地下水の浸透池方式による取水に関する覚書。これはないんですか、あるんですか。私はそれを聞いているんだ。その2つのことじゃない。 67 堺企業局長 ありません。 68 小川委員 じゃ、ここにあるのはにせものか。「砺波市徳万56番地砺波市般若自治振興会代表者会長折橋博次」以下、安川自治委員長、頼成自治委員長、徳万自治委員長、三合自治委員長、福山自治委員長、6人の自治会の委員長、そして「富山市安住町2番14号 富山県企業局水道課長加藤敏光」。ちゃんと文書があるじゃないですか。これはまだ案ですけれども、こういうものがあるんじゃないですかと聞いているんです。あなたは知らんのか。課長が勝手にやっているのか。 69 堺企業局長 案ということでの資料だそうですが、そういう検討は行っております。 70 小川委員 案でもいいですけど、この第5条に何が書かれているか知っていますか。 71 堺企業局長 ちょっと資料を持ち合わせておりませんで、すみません。 72 小川委員 第5条に、協力金として工事発注後に○○円支払うものとするという趣旨のものが書かれておるんじゃないですか。知りませんか。 73 堺企業局長 浸透池と揚水井、250 メートル離れておるわけですけども、注入して揚水するということで、そこの地域を保全する必要があると思っております。それで、例えばおか砂利の採取など、そういう行為をされますと浸透池方式というのは成り立ちませんので、そこの環境を保全していただくということで、地域社会に対する協力というようなことで、現在話し合いというのか検討をさせていただいておる、そういう状況でございます。 74 小川委員 協力金というものは支払われることになっておるんですか。そういう方向で企業局は考えているんですか。 75 堺企業局長 環境保全というか、そういう一定の制約を伴うことに対して地域社会として協力していただくということで、いろいろ検討しているところでございます。 76 小川委員 地元のほうでは、協力金が支払われるということで、大体この話は聞いておるんです。しかしこういうことは私も全然知らない。それは恐らくやみからやみでやろうとしているのだろうというふうに思うんですね。協力金という名目でどれだけの金額が支払われるか知らんけども、私に言わせたら、金で解決という最も安易な方法ではないか。  問題なのは、この地下水で下流で生活をしている多くの住民が、何とか地下水を保全しなきゃならん。その地域ではもう地下水が低下をして……。それはいろんな要因がありましょうけども、コカ・コーラが進出してから、あの地域で最大で3,500 トンの水を揚げてから1メーターの地下水低下、砺波市の調査で最大で1メーター、最小でも0.2 メーター、こういうデータだってあるんですよ。  だから、条例で、もう水を揚げてくれるなという必死の願いで住民の皆さんがやっているときに、その地域でこれを揚げるための観測井をつくって、そのために裏でお金の受け渡しをするというのはもってのほかだ、こういうやり方は邪道だ、こういうことを私は指摘しておかなきゃならん。だって、これは公金で出されるんでしょう。そういうことについて私はお金を出すことには絶対反対、こういうふうに思うんですが、どうですか。 77 堺企業局長 一定の協力に対する協力費ということで考えております。  それから、おっしゃいました件につきましては正々堂々と支出していきたいと、そういうふうに考えております。 78 小川委員 協力金というのは、こんなような性格のものなんですか。  先ほど言いましたように、下流の中田の住民の皆さんが一番このことについて問題提起しているんだ。何とか水を守りたいと。  しかも、3週間ぐらいのちっちゃな実験で、日本で初めての方式でありますというのは、いかにもリスクが多過ぎるんですよ。こういうものは、もうちょっと時間をかけて地域住民の理解を得る努力をしていかなきゃならんのに、安直にお金で解決しようなんていう方向は、もってのほかだ。  この事業については、もう少し関係住民の理解を得るまで工事は差し控えてほしい。何かもう工事に着工したいような方向であるが、ぜひその点については慎重な対応を求めたいというふうに思うわけです。  私は、地下水の問題についてずっと質問してきましたが、利賀ダムの水のことについては、境川ダムの工業用水道事業の未利用水2万5,000 トンの中から暫定的に使用することになっている8,600 トを、暫定的でない使用ということになれば利賀ダムの水は必要ない、これはもう明らかなんですよ。このことも答弁を求めたいのでありますが、もう時間がございませんので、最後に知事にひとつ感想を求めたいというふうに思うんです。  この方式は、今ほど言いましたように、全国で初だと言っているんだ。だけど、まだ全国的には実験段階のプラントなんですよ。極めて小さなプラントでやって本当に大丈夫なのか。下流には、先ほど言いましたように、中田地区の住民を初め地下水で生活をしている人がたくさんいる。  そしてこれに巨額の費用が、特定の一企業のために、私に言わせたら飲料水のメーカーのためにですね。この飲料水メーカーは、高岡の内島で地下水障害を起こし、そして福岡町へ進出しようとして福岡町の住民に断られて、そしてこの砺波へ来たんですよ。それで、北陸コカ・コーラ──名前を言ってしまいましたが、そこの水を使おうとしているから、みんな危機感を持っているんですよ。そして、こういうお金まで受け渡しをしてやろうとしているというのは、いかにも拙速過ぎる。もう少し時間をかけて慎重に検討したい、してほしいというふうに思うわけでありますが、知事の見解を求めたいと思います。 79 中沖知事 利賀川工業用水道事業につきまして、日本で初めての地下浸透池方式による地下水からの取水という方法をとることにつきましては、先ほど来、企業局長からもいろいろ答弁申し上げておりますが、これにつきましては、学識経験者から成る検討会が設立されまして、この点につきましていろいろと積極的に、また熱心に御検討いただいたのでありまして、その結果、いわゆる浸透池方式で調査するように提言を受けて調査を実施しておるというのが現状であります。  また、この調査結果につきましても、この検討会におきましては、先ほども答弁申し上げておりますが、解析結果は妥当であり、地下水位低下の影響は少なく、かつ狭い範囲でおさまるという評価も得ておるわけでありまして、この浸透池方式による取水は、住民の生活に支障を及ぼすことはないと判断されているということを強調したいわけであります。  このように、いろいろな事業を進めていきます場合に、住民の生活にも影響がないようにしながら、県内全体のいろいろな施策が進むことを考えるということが必要でありまして、それが行政としての非常に大事な仕事であります。そうしたことから、慎重にも慎重を期して、こういういろいろな知恵も出しながら仕事を進めてきておるということも御理解をいただきたいと思うわけであります。  いろいろと御意見があるかもしれませんが、私どもとしましては、住民の生活を守りながら、しかも県内企業の活動の促進についても積極的に協力をするということを考えていかなければならないというふうに思っております。いろいろと御意見があるかもしれませんが、私どもなりに知恵も汗も出して頑張っておるんだということも、ひとつ賢明な小川議員には御理解をいただきたい。決して変なことでやっておるわけでは毛頭ありませんので、先ほど企業局長が申しましたように、住民の皆さん方といろいろ話し合い、そしてまたいい形で仕事を進めようとしておるわけでありますから、その点も十二分に御理解をいただきたいというふうに思っております。  いろいろ御指摘の点につきましては、今後とも私どもなりに十分気をつけまして、さらに努力をし、また住民の皆さんとも話し合いを進めていきたいと思っておりますので、この上ともひとつ御指導、御協力をお願い申し上げたいと思います。  以上であります。 80 横田委員長 小川委員の質疑は以上をもって終わりました。  暫時休憩いたします。
     午後の会議は1時に開会いたします。                     午前11時53分休憩                     午後1時04分開議       島田一委員の質疑及び答弁 81 杉本副委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  島田委員。あなたの持ち時間は60分であります。 82 島田委員 最初は、イタイイタイ病の関係について質問をしたいと思います。  きょうの新聞に、国道41号線富山-高山間はノーベル街道であるというような記事が載っておりました。また、田中耕一さん、神岡の小柴さん、それから大沢野の利根川さんと3人のノーベル賞受賞者が出ました神通川は、まさに神秘の川というふうに言えようかと思います。  それはそれとして、かつて日本の三大公害病と言われましたイタイイタイ病も、まだ一部進行中とはいえ、大体終息に向かっているのではないかと、こういうふうに思うわけでございます。神岡鉱山から出たカドミウムが農業用水を伝わりまして圃場を汚染して、あるいはまたそういう飲料水を飲んでいた人がイタイイタイ病にかかったというようなことでございますが、神通川流域のカドミウム公害を風化させない意味で資料館を建設してほしいというような陳情がなされております。知事も御存じのとおりでございます。  私もこの問題について若干調べてみましたら、我が党の前議員の野島さんが、1996年9月20日の予算特別委員会でこの問題を提起しているわけでございます。知事の答弁は、現在のところは考えておりませんと、結論的にはそういう答弁であったわけでございます。そしてまた、資料館の陳情が審査されました各常任委員会──農林水産常任委員会では農地関係、厚生環境常任委員会では健康調査その他の関係、厚生環境常任委員会では環境政策課長の答弁もありますが、いずれにいたしましても、現在進行中でありますので、熊本県水俣病の関係などを調査して、新潟県あるいは他県の事例などを情報収集して研究したいという答弁で終わっているわけでございます。  神通川という川は、かつてはイタイイタイ病を引き起こした公害の川というイメージが全国に発信されたわけでございますが、幸いにも田中耕一さん、あるいはカミオカンデによるノーベル賞受賞者が出たわけでございますので、この機会に、イタイイタイ病に節目をつけるという意味で資料館の建設を決定されることが重要なのではないか。建設する時期については、それはまたいろいろあろうかと思いますが、まずはそういう結論を出しておくということが極めて大事だと思いますが、その点について知事の所見をお伺いしたいと思います。 83 中沖知事 御質問のありました資料館の建設の問題につきましては、去る9月の県議会におきましても資料館の建設に関する請願書が採択されたところでありますし、また先般、関係の4市町長から要望もあったところであります。  また、新潟県におきましては、新潟水俣病について昨年の8月に資料館が建設されておりますが、これは政府・与党の最終解決案を踏まえて、被害者団体と原因企業との全面解決に向けた交渉の中で協議をされまして、国や原因企業の支援も得ながら建設されたものと聞いておるのであります。  ところで、このイタイイタイ病につきましては、御案内のように、現在もなお患者の認定業務、流域の住民健康調査等を継続して実施しておるのでありまして、また土壌復元事業などにつきましていろいろ継続中であります。このように、イタイイタイ病対策につきましては今一生懸命に取り組んでおるところであります。それからまた、資料館等を建設するということにつきましては、まずは原因企業の積極的な取り組みが必要であるというように思うのであります。  このようなことから県としましては、当面は、水俣病資料館など他県における設立の経緯などについて十分情報を収集し、調査を進めていく必要があるというように思っております。  今、ノーベル街道でありますとか、あるいは神通川についてのお話もありましたが、いずれにいたしましても、このイタイイタイ病の問題の解決がどういうふうになっていくのか。やはり被害者団体、原因企業、こうしたものの話し合いも大事でありますし、国の最終解決案というものもどういうようになっていくのか、その見通しみたいなものを我々としても把握しなきゃならんというように思っております。  まだ今、県としましてはイタイイタイ病対策に一生懸命に取り組んでおるところでありますので、当面は、先ほど申し上げましたように、いろいろと調査を積極的に進めていきたいと考えております。 84 島田委員 今、知事さんのほうから原因企業や国の方針ということもございましたが、神岡鉱山ではもう既に山を掘っていないということでございます。先ほどもちょっと触れましたけれども、これからはむしろ、鉱山を利用して、地下1,000 メートルを掘りましてニュートリノの研究施設などができておりまして、神岡鉱山そのものが、今回のノーベル賞受賞の小柴博士によってイメージが変わりつつあるのではないかと、こう思うわけでございます。  神岡鉱山の親会社であります三井金属については、資料館のことについて何かお話をされたことがあるのか、あるいはこれからなのか、そのへんの状況は現段階ではどのようになっているんでしょうか。 85 阿部厚生部長 原因企業でございます三井金属工業に資料館の建設について具体的な話し合い、もしくは私どもと協議等を行ったことはございません。  以上でございます。 86 島田委員 私は、20世紀最大のこういう公害病に一つのけじめをつけるという意味で、資料館の建設に県当局は、国あるいは原因企業等とも十分連携をとられまして、積極的に対応されることを希望しておきたいと思います。  その次に、同じく環境汚染の関係ですが、富岩運河のダイオキシンの問題でございます。  これまでの調査の結果、150 ピコグラムという環境基準を超えた土砂が14万立米堆積していると言われているわけでございます。これは、知事もおっしゃっていますように大変頭の痛い問題でございます。この処理方法として、かつて森岡土木部長は、1つには、セメントで固めたりすることによって水域に封じ込めてしまうというような方法。2つには、しゅんせつした後、管理地で保管する方法。3つ目には、しゅんせつした後、無害化処理するという3つの方法がありまして、現在、どの方法が費用対効果の面で効果があるのかということが検討されているとの話でございました。  いずれにしても、我が国では例を見ない大量の汚染土の処理が迫られていることは間違いがないと思うわけでございます。  そこで、民間企業などからもいろいろ具体的な処理方法が提案なされていると聞いておるわけでございますが、富岩運河のダイオキシン類汚染土の対策について、工法、費用等の検討状況はその後どのように推移しているかお伺いいたします。 87 森岡土木部長 富岩運河のダイオキシン類問題につきましては、御案内のように、昨年8月に富山県富岩運河等ダイオキシン類対策検討委員会を設置いたしまして、対策方法の検討を進めておるところでございます。委員から御指摘のございました3つの方法について、現在、比較検討をしておるところでございます。ただ、国内では大量の汚染土を処理した事例がないこと、あるいは検討事項が多岐にわたることから、非常に課題が多いというふうに認識をいたしております。  一方、近年、民間企業におきまして、ダイオキシン類汚染土の無害化処理技術の研究開発も盛んに進められておりまして、数社からもそういうお話を伺っておるところでございます。しかしながら、現時点におきまして、いずれも実験規模が小さく、具体的な無害化処理に要する費用等につきましてはまだ明らかになっておらない段階でございます。  また、委員会におきましても、環境基準を超える汚染土のうち、どの部分までを無害化しなければならないかということについても議論をしていただいているところでございまして、まだ決まっておらない状況でございます。  こういったことから、今後とも、民間企業におきますダイオキシンの無害化処理技術の開発動向なども十分把握しながら、委員会におきまして、さきに申し上げました3つの方法につきまして、安全性、経済性等から総合的に、引き続き比較検討していきたいというふうに思っております。 88 島田委員 私もこの問題について大変関心を持っております。そういう中にありまして、11月21日、富山市内の日本海重工の中において、無害化処理のデモンストレーションといいますか、説明会がございました。それを聞きに行ってきたわけですが、簡単に言いますと3番目の方法──しゅんせつした泥をあの広い日本海重工のどこかの敷地で自然に天日乾燥させまして、その乾燥させた泥を処理して、ダイオキシンを95%除去してしまうと、簡単に言うとそういう方法です。これにはコストがトン当たり10万円を超えないというような説明もありました。そういう処理をするのに人数は幾ら要るのかというと、1日4人でできるというような説明があったわけでございます。これなどもたくさん提案されているうちの一つの方法だとは思います。  こういう方法について、県当局も多分御承知だと思いますが、これがいいとか悪いとかということをこういう場所で評価を下すのは、特定企業を利するということも考えられますので、ちょっと答えにくいかなとは思いますけれども、そういう方法について把握しておられるかどうか。あるいはまた、感想などがあればこの際お聞かせいただきたいと思います。 89 森岡土木部長 今も申しましたように、いろいろ無害化処理技術が検討されておりまして、そういった情報は我々も聞いております。  ただ、今も申しましたように、まだ処理する量が非常に少ないとか、それが大量に処理するときにどの程度コスト的にも見合う形になるのかとかという点が、まだまだ不明な点が多いものでございますので、引き続きそういったものについて、我々も情報を十分把握していきたいというふうに思っております。 90 島田委員 この問題については、ぜひ積極的に対策を講じていただきたいと要望しておきたいと思います。  次に、同じく健康問題で、昨年の9月予算特別委員会でも私申し上げたんですが、C型肝炎の問題でございます。  C型肝炎というのはウイルスの感染によって起こる肝臓の病気であり、ウイルスに感染している血液の輸血やウイルスに汚染された血液製剤の投与、注射針の共用などで感染するというふうに聞いております。輸血からC型ウイルス──HCVと言うそうですけれども、除外することは非常に困難だというふうに伺っております。  この輸血後の患者の20%から30%に肝炎の発症が見られ、しかも肝硬変や肝がんの70%はC型肝炎からの移行であると、こういうふうに言われておるわけですが、C型肝炎の恐ろしさは、自覚症状が全くない、気がついたときにはもう既に肝硬変や肝がんに進行している、いわば時限爆弾のような病気であり、国内に感染者は推定200 万人と言われておりまして、第2の国民病とも言われているわけでございます。  このような状況を踏まえまして、2002年度、すなわち本年度から国においてはC型肝炎等緊急総合対策を実施しているわけでございます。県といたしましても、いろいろと国のこういう対策を受けて、40歳から5年目ごとの節目にC型肝炎検査を実施するというような答弁がそのときなされているわけですが、この実施の状況についてどのようなものであったかお聞きしたいと思います。 91 阿部厚生部長 御指摘のC型肝炎ウイルス検診でございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、厚生労働省のC型肝炎等緊急総合対策の一環といたしまして、本年4月から市町村の老人保健事業に導入されたものでございます。確かに、対象が40歳から70歳までの5歳ごとの節目の年齢の方々、それと過去に肝機能の異常のあった方、それから広範な外科的処置を受けたことのある方、それと妊娠分娩時に多量に出血したことのある方などとされているわけでございます。  富山県では、平成14年度から全市町村実施に向けまして、市町村や医師会等関係機関と協議、調整を進めてまいったところでございます。その結果、今年度全市町村において実施されておりまして、12月末までには県内で約3万名の方々の受診が終了する見込みでございます。この事業は5カ年の緊急対策事業として行われておりまして、県としましては、今後とも医師会や医療機関と密接に協力いたしまして、市町村が実施する肝炎ウイルス検診が今後も円滑に推進できますように支援してまいりたいと思っております。 92 島田委員 今ほど、県内の3万人が検査を完了したという答弁をいただきました。  今後、このC型肝炎対策について、県といたしまして国の動向を踏まえてどのように取り組んでいくのか。今、市町村を支援するというようなこともおっしゃいましたが、それらを含めて今後どういう取り組みをしていくのかということをお聞きしておきたいと思います。 93 阿部厚生部長 このC型肝炎対策につきましては、現在、先ほど申し上げましたように40歳以上の者を対象といたしまして、市町村の老人保健事業でC型肝炎ウイルス検診などを行っておりまして、これに支援を行っております。  今まで、県の厚生センターにおきましては、昨年の6月から国の通知に基づきましてウイルスの抗体検査を既に始めておりまして、現在も進めているところでございます。さらに国におきましては、来年度から40歳未満の希望者に対しましても検査費用の一部を補助する方針であると聞いておりまして、県としましても、この国の対策に基づきまして必要な措置を講じてまいりたいと考えております。  今後とも、引き続きC型肝炎に関する正しい知識の普及啓発に努めますとともに、C型肝炎対策の充実と強化を図ってまいりたいと存じております。  以上でございます。 94 島田委員 次に、教育の問題についてお伺いしたいと思います。  いわゆる知能の発達のおくれはないけれども、読む、書くなど特定の能力が著しく低下して、学習能力のバランスを欠いた児童のことをLD児と言うそうでございます。  それからまた、集中時間が短く、突発的に行動する、こういう発達性障害の一部だと言われております注意欠陥多動性障害児──ADHDと言われておりますが、こういうことが教育現場にはよくあるようでございます。具体的な数字はなかなかわかりませんけれども、全児童の4%程度はいるんではないかというふうに──これは全国的な一つの推定の数字でございますが、そういうことでございます。  私の小学校区の中に、本当は養護学校とか特殊な学校へ行くように指導された子供なんですけれども、山室小学校へ入りまして、1年生のときは授業中でも教室から勝手に出ていってしまって、先生はその子供を追いかけるのに大変だった時期があったんですが、年を経るごとに普通に落ちついて、普通の子供と一緒についていけるようになったという事例を見ているわけです。  本県におけるいわゆるLD児とかADHD児というような子供の数というものを、教育委員会としてはどの程度掌握しておられるのかお尋ねいたします。 95 福岡教育長 お話にもございましたが、難しい用語でございますのでちょっと申し上げますと、学習障害児(LD児)と言われておる子供たちでありますが、この学習障害児といいますのは、全般的な知的発達のおくれはないけれども、今お話にもありましたが、聞く、話す、読み、書く、計算する、推論するなどの基礎的能力のうち、特定のものに著しいおくれや困難を示す児童生徒という言葉が使われております。  それから注意欠陥多動性障害児、いわゆるADHD児のことになりますと、こちらにつきましては、年齢相応の注意力に欠け、衝動的、多動的な行動をし、集団活動や学習活動にうまく適応できない児童生徒というように言われておるところであります。  今ほど委員御指摘がありましたが、この10月に、特別支援教育のあり方に関する調査研究協力者会議で、「今後の特別支援教育のあり方について」という報告をまとめておりまして、その報告では、全国の5つの地域の小学校、中学校に在籍する児童生徒4万1,579名を対象といたしまして、特別な教育的対応を必要とする児童生徒であるか否かを複数の教員で判断するという考え方で実施した調査では、「知的発達におくれはないものの、学習面や行動面で著しい困難を示す」と担任教師が回答した児童生徒の割合は6.3 %であるという数字が示されているところであります。  ことし本県でLD児、それからADHD児について調査を行いましたところ、こちらにつきましては、小学校、中学校に在籍する児童生徒のうち、文部科学省が示した定義がございます。その定義に基づいてLDであると学校の教員が判断した者につきましては、36名でございます。そして、ADHDであると医師から診断された者は42名でございまして、義務教育段階の全児童生徒数の0.08%という数字になっておるところであります。  現在のところ、本県のような文部科学省が示した基準、あるいは医師から診断された人数についての全国調査は行われていないところであります。 96 島田委員 今おっしゃいましたLD児並びにADHD児に対する特別教育支援事業などを含めた今後の取り組みについて伺っておきたいと思います。 97 福岡教育長 LD児あるいはADHD児につきましては、これまで、障害の判断それから指導方法が不明確であることもありまして、制度的な対応がなされていない実情にあります。LD、ADHDのある児童生徒につきましては、お話にもございましたが、情緒障害、言語障害等の通級指導教室や特殊学級において教育を受けている者もいるわけでありますけれども、そのほとんどは、先ほど申し上げましたように、知的発達のおくれがないということもありまして通常学級に在籍しているのであります。そのため学級担任は、学習面では授業時間内において指導内容、それから方法を工夫する。そしてまた、授業時間外に個別指導をすることに努めておるところであります。  また、行動面につきましては、本人によく考えて行動するようにという指導、それから周囲の子供たちには、その子供に対する理解を促すようにという取り組みを行っておるところであります。  また、文部科学省の委嘱を受けまして、1つには、巡回相談員を派遣しまして、教員に対するLD、ADHDのある児童生徒の理解と指導方法についての指導助言を行う。2つには、LDの疑いのある児童生徒に対する実態把握資料を作成する。3つには、校内での指導体制を強化するため、校内委員会のあり方について研究するということを行っておるところであります。  また、県総合教育センター教育相談部におきましては、学校から寄せられるLD、ADHDの児童生徒の学習面や行動面などについての指導上の相談、そして保護者から寄せられます子供の生活面の対応についての相談を継続して実施しているところであります。  また、研修につきましては、LD、ADHDのある児童生徒に対する指導力を高める研修に取り組んでおるところであります。この結果、児童生徒への認識が深まりまして、障害に配慮したきめ細かな指導、そしてゆとりを持って児童生徒の行動に対応することができるようになったという報告も受けておる。この点は、先生のお話のあったところかと思います。  国の対応措置がないということを申し上げましたが、今後、国に対する措置を働きかけますとともに、LD、ADHDのある児童生徒の在籍する学校に対して、教員に対する指導、保護者への相談などの支援に努めていきたいというふうに考えております。 98 島田委員 次に、少人数学級ということについてお伺いしておきたいと思います。  平成13年3月30日に成立いたしました「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等の一部を改正する法律」によりまして、公立小中学校等において、基本的教科の20人授業などの少人数指導が実施できるよう教職員定数を改善したり、国が定める学級編制の標準40人を下回る特例的基準を都道府県教育委員会の判断で設定できるようになったわけでございます。  このことにつきまして、私の調査では、山形県で非常に先進的な取り組みが行われているのですが、この山形県の取り組みについてどのように評価しておられるかお聞きしておきたいと思います。 99 福岡教育長 山形県では今年度から、小学校1、2、3年で、それぞれの学年に33人を超える学級が2学級以上ある場合、臨時的任用講師を配置いたしまして、21人から33人で学級を編制するという取り組みを行っておりまして、山形県単独で約7億円の予算措置が講じられていると聞いておるところであります。  評価はどうかという御質問でありますが、山形県には山形県の事情があると思われますので、評価は差し控えさせていただきますが、本県では、学級は社会性を養うための生活集団として位置づけまして、40人学級編制を維持しながら、一方では、基礎・基本の徹底と学力向上のために基本教科の学習はきめ細かな指導が行われるように、教員を加配する方式で少人数指導を推進しているところであります。  また、加配教員による少人数指導だけでなく、多人数学級支援講師など、県独自の非常勤講師を活用したチームティーチングなどの指導方法を取り入れておりまして、一人一人に目配りのきいた指導に努めておりまして、本県の子供たちのために、これは県議会の御支援もいただいて、富山県ならではの手厚い配慮を行っていると考えております。 100 島田委員 そのような先進県の状況を研究し、少人数学級、少人数授業について、本県でも順次推進すべきものと私は考えるのでありますが、この点についてはどのように考えておられますか、お伺いします。 101 福岡教育長 今ほども申し上げましたように、本県では、国の加配定数と県独自の非常勤講師を活用いたしまして、一人一人に目配りのきいたきめ細かな指導に努めているところであります。特に今年度は、少人数指導のための加配教員を新たに51名増員いたしまして、269 名としたところでありまして、これにより30人を超える学級がある小中学校204 校のうち181 校──全体の89%になるわけでありますが、181 校に加配教員を配置しているところであります。また、210 人の非常勤講師を確保いたしまして、小学校1年から3年までの35人を超える学級がある学校74校、202 学級のすべてに支援講師を派遣するとともに、新たに中学校や高校の理科教育を支援するために、15校、103 学級に講師を派遣しているのであります。  加配教員の配置や非常勤講師の派遣は、市町村や学校現場から大変喜ばれておりまして、県といたしましては、今後ともできるだけ多くの加配数を確保できるように、国に対して積極的に教員増を働きかけますとともに、他県の状況も十分研究しながら、少人数指導がさらに充実するように努力してまいりたいと存じます。 102 島田委員 次に、交通安全に関連して何点かお伺いしたいと思います。  きょうも雪が降っておりますが、雪が降ったり霜がおりたりしますと、カーブミラーがなかなか見えにくいという状況があるわけですが、最近は霜がかかっても雪がかかっても見えるカーブミラーが出てきておるようでございます。そういう防霜、防雪カーブミラーの設置状況及び今後の設置計画についてお伺いしたいと思います。 103 森岡土木部長 山間部で未改良となっておりますカーブ箇所などにカーブミラーを設置してきておりますが、このカーブミラーの設置状況につきましては、道路管理者である県が設置したものが3,370 本、市町村が設置したものが1万2,550 本でありまして、このほかに財団法人富山県交通安全協会が設置したものもございます。  御質問の防霜雪カーブミラーでございますが、これには電熱型と蓄熱型などの種類があるというふうに聞いておりまして、通常のものと比較をいたしまして設置費用が約2倍から4倍となること、定期的な点検などが必要となること、電熱型ではさらに配線、電気料金が必要となることなどの課題もあることから、現在、県では採用をしておりません。  今後、この防霜雪カーブミラーの採用につきましては、今申し上げましたような費用でありますとか管理面などを踏まえながら判断をしてまいりたいというふうに考えております。 104 島田委員 次に、高齢化社会、その他の社会の変化に応じまして、交通信号機もいろいろと新しいものが出てきておりまして、交通信号機のさばき方ですが、歩車分離式信号というのが出てきたわけです。これは警察庁のほうで全国で100 カ所モデル的に設置するという方針が出されているわけですけれども、本県における導入状況について伺っておきたいと思います。 105 佐藤警察本部長 県内に歩車分離式信号機は、本年設置をいたしました2カ所を含めまして、合計で8カ所に設置をいたしております。 106 島田委員 今述べられました歩車分離式信号のメリット、デメリット及び今後の方針について伺っておきたいと思います。 107 佐藤警察本部長 歩車分離式信号のメリットは、交差点におきまして横断歩行者と車両が交錯しない信号を表示することによりまして、横断歩行者と車両を完全に分離することができることから、横断歩行者の危険を防止して、より安全を図ることができるということでございまして、横断歩行者からは安心して横断できるようになったという声が寄せられる一方で、運転者からは信号の待ち時間が長くなった、あるいは信号の表示が通常の表示サイクルと違うために、フライング、つまり見込み発進しそうになったというデメリットの声も寄せられているところでございます。  このように、歩車分離式信号にはメリット、デメリットそれぞれがございますので、県警察といたしましては、今後、交通の安全を図るという視点と交通の円滑を図るという視点から、交差点ごとにその周辺の状況をも含めて総合的に判断をいたしまして、整備について検討してまいりたいと考えております。 108 島田委員 時間がないので急ぎますが、次に景気対策について伺います。  金融再生プログラムによりまして不良債権処理を加速した場合、県民生活に大きな影響や不安を与えるのではないかと私は思うのでありますが、県当局はどのように考えておられますか。 109 山本商工労働部長 金融再生プログラムによります不良債権処理の加速化につきましては、現在のところ明らかになっていない部分もかなりございます。  今後の影響につきましては、不良債権の加速処理のスピードとか、税効果会計の取り扱いと課税処理の問題、あるいはそれに対する政策的な対応の程度など、種々の要因によりましてかなり違ったものになるのではないかというふうに見ております。  一つの見方を御紹介申し上げますと、金融機関サイドにおきましては総資産の圧縮、融資審査の厳格化、取引先の選別の強化、リスク対応型の貸出金利体系、不良債権のRCC譲渡の加速などが進むという懸念がされております。このことなどによりまして、企業整理の増加や雇用の悪化を招くおそれがあるというものであります。また、中小企業にとりましては直接的、間接的に、金融面だけでなく、経営全般にわたってさまざまな影響が懸念をされているところでございます。  ただ、県内における影響につきましては、地元金融機関が地域密着型のサービスに力を注いでおりまして、企業努力も重ねております。また、金融庁におきまして、地域金融機関に対する一定の配慮が検討されていることなどの事情も考えていかなきゃならないものと思っておりまして、今後とも動向を注視しながら適切に対応してまいりたいと考えております。 110 島田委員 今後、不良債権処理を加速した場合に、貸し渋りや貸しはがしが一層激しくなるのではないかと想定するものでありますが、中小企業への支援としてどのような対応をとられるのかお聞きしたいと思います。 111 山本商工労働部長 県におきましては、これまでも、特に年末の資金繁忙期を迎えるに当たりまして、先般発表しましたように、緊急対策といたしまして県制度融資の緊急経営改善資金の創設を行いました。また、経営支援課内に金融相談窓口を開設しましたし、中小企業支援センターへ金融専門相談員の配置をすることといたしております。  また、県内に本店を有します金融機関を直接訪問いたしましたほか、金融機関ネットワーク会議を開催いたしまして、中小企業の貸し出しに対する十分な配慮を協力要請したところでございます。  さらに、国においてセーフティーネット対策ということで保証制度などの充実が図られておりまして、県としても、これらの制度を積極的に活用するとともに、国における予算対応や県内における中小企業の動向も見ながら適切に対応してまいりたいと考えております。 112 島田委員 次に、中小企業の再生への取り組みについてはどのように対応されるのか、お聞きいたします。 113 山本商工労働部長 中小企業の再生への取り組みにつきましては、関係機関との連携を図りながら、個々の企業の要請に応じまして、再生計画づくり等についての中小企業支援センターや商工団体によります助言や指導を行うこと、それから金融機関や信用保証協会との調整や資金調達に協力すること、また新分野への進出や経営革新への取り組みを支援することなどに取り組んでいるところでございます。  今後、金融機関の不良債権処理の加速化に伴いまして、企業再生に取り組む必要が出てくる中小企業の数も増加するということが予想されますけれども、県といたしましては、関係機関との連携の強化を図りながら積極的に支援をしてまいりたいと考えております。 114 島田委員 不良債権処理に伴う雇用のセーフティーネット対策についてはどのように取り組まれますか。
    115 山本商工労働部長 不良債権処理が進展する過程におきまして、雇用調整によります離職の発生増加が懸念されます。また、雇用情勢がさらに悪化する可能性も否定できませんので、雇用面の影響に対応しましてセーフティーネットの一層の活用強化を図ることが重要な課題であるというふうに考えております。  国におきましては、先般策定されました改革加速のための総合対策に基づきまして、今後、不良債権処理の進展に伴い、離職を余儀なくされる者に対する体系的な再就職支援を行う予定と聞いています。このための補正予算措置が近く公表されるというふうに聞いておるところでございます。  県といたしましても、雇用面でのセーフティーネットの整備を図りますために、富山県総合的雇用対策を推進しているところでございますが、関係機関との連携とともに各種施策に取り組んでおるところでございます。さらに、9月補正予算におきましても、離職予定者の円滑な再就職支援を行いますために、雇用推進員3名でございますが、配置をしたところでございます。  今後、国の補正予算の内容とか県内の雇用動向を注視しつつ、富山労働局など関係機関と十分連携を図りながら、離職者に対します再就職支援や新たな雇用機会の創出に全力を挙げてまいりたいと考えております。 116 島田委員 景気対策の最後にお伺いするんですが、中沖知事が知事に就任されたのは昭和55年だったと私は記憶しているわけです。そのときの内閣総理大臣は大平首相か鈴木首相であったかと思うんですが、それ以来、中沖知事は一貫して県政のかじ取りをしておられますけれども、総理大臣は十三、四人かわっているんですね。  それで、前半戦は景気も上り坂だったんですけれども、平成3年ぐらいからは景気が下り坂になりまして、もう11年を過ぎようとしているわけです。その間、国においてはさまざまな景気対策、そしてまた、それに伴って地方も追随していろんな景気対策をやってまいりました。その結果、国においても地方においても債務の残高が累積的に増えていったわけです。  日本の最高の頭脳集団と言われる霞が関の官僚街においていろんな知恵が出されて、それがこの11年間、一向に効き目がない。いまだにデフレ不況から脱却できない。  私たちも、県政報告会などを通じまして県民と対話をして、個々の政策を説明したりなんかしているわけですけれども、それはそれとしてわかるんですけれども、結果的には全然よくなっていないじゃないか、ますます悪くなるだけだと、こういう話になって、答えに窮するわけですが、知事は長年の経験を踏まえまして、デフレ不況の現状を打破するためには、国はどのような取り組みをすることが一番大事か、お考えがあれば、この際ひとつお聞かせをいただきたいと思います。 117 中沖知事 現在の経済不況は長期にわたっておりまして、国におきましては補正予算の編成などにも努力しておるところであります。  県としましてもこれまで、まず、公共事業等について必要な事業費を確保し、重点的、効果的に実施すること。それから第2に、新産業の創出を図るために、IT、バイオ、深層水等の成長産業の振興やベンチャーの育成を推進すること。第3に、元気な企業の育成を図るために、金融対策など中小企業対策を進めること。第4に、雇用面でのセーフティーネットの整備を図るために、富山県総合的雇用対策を推進することなど、経済、雇用対策を総合的に進めておりまして、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、国の補正予算につきましては、今後その内容を十分把握いたしまして適切に対処してまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、国におきましては、強力で総合的なデフレ対策を直ちに講じてもらいたいと考えておるわけでありますが、御指摘がありましたように、あまり効果的な施策が実行されておりませんので、私どもも非常にいら立っておるというのが実情であります。  一体どうしたらいいんだろうかということにつきましては、いろんな人の意見がありますけれども、私はその中で一番傾聴に値するのは為替レートの問題ではないかというふうに思います。現在は約120 円ちょっとのところでありますけれども、本来、我が国の実力からすれば240 円というようなところが適当ではなかろうかというふうにも考えられるわけであります。つまり、よく例えられますのは、ゴルフの実力がハンディ24しかないのに今は12でプレーをさせられているということだから、結局勝てないんだということが言われるわけでありまして、やはりもう少し為替レートの問題を国においても十分に研究して、アメリカなどに負けないような為替対策を実行していくことが非常に効果的ではないかという感じもいたします。  そのほかにもいろいろな施策があるんだと思いますけれども、今、何か特別の特効薬はないかと言われましたので、そういうことも特効薬の一つではないかというふうに思った次第であります。 118 島田委員 大変示唆に富む御意見をいただきまして、ありがとうございました。  北陸新幹線の工事が始まっておりますけれども、地元の景気対策という観点から、建設工事における地元業者の受注状況はどうなっているのかお聞かせいただきたいと思います。 119 森岡土木部長 新幹線工事につきましては、鉄道建設公団におきまして、これまでも共同企業体の構成員に県内企業を加えるなど、県内業者の受注機会の確保についても配慮してきていただいているところでございます。  県内の建設工事の発注状況につきましては、現在までに県内区間でトンネル、高架橋工事など合計19件が発注されておりますが、橋梁工事等特殊工事を除いた15件の工事のうち11件について、県内業者が共同企業体の構成員として参画をいたしております。また、下請につきましても、県内区間のほとんどの工区におきまして県内業者が一時下請として参加をしておりまして、県内業者が一時下請業者全体の約7割を占める状況にございます。 120 島田委員 事業費の3分の1は地元負担ということで、県民の負担になっておりますので、地元業者の受注機会を確保するように──いろいろありましたけども、今後さらに一層努力されたいと思いますので、今後の取り組みについても最後に伺っておきたいと思います。 121 森岡土木部長 議員からもお話ありましたように、新幹線建設工事について、県内業者の方の受注機会を確保するということは大変大事なことであるというふうに思っております。  県でも、県内業者の方の受注機会の確保を図るために、これまでもあらゆる機会をとらえまして、適切な工事発注単位の設定による分割発注、また競争入札参加資格要件の緩和による県内業者の入札参加機会の拡大、さらには関連附帯工事の地元自治体等施設管理者への委託などにつきまして、鉄道建設公団に対して要請をしてきておるところでございます。  こうしたことから、日本鉄道建設公団では、平成11年度に入札参加資格要件の緩和措置を講じられましたほか、下請への県内業者の参加や用排水路のつけかえ工事等の地元土地改良区への委託など、県内業者の受注機会の確保についていろいろ配慮してきていただいておるところでございます。  県といたしましては、今後、新黒部-富山間の本格工事が進んでいくわけでございますので、より一層県内業者の受注機会の確保に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。 122 島田委員 大変厳しい経済状態が続いておりますので、各方面におかれましても、総合的な知恵を出して今後とも一層取り組んでいただきたいということを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。 123 杉本副委員長 島田委員の質疑は以上をもって終わりました。       大野久芳委員の質疑及び答弁 124 杉本副委員長 大野委員。あなたの持ち時間は60分であります。 125 大野委員 ゴルフのハンディと選挙の票は、いただけるだけいただくほうがいいと思っている大野であります。よろしくお願いします。  「月日は百代の過客にして、行き交ふ年もまた旅人なり。舟の上に生涯を浮かべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅をすみかとす。古人も多く旅に死せるあり」。御案内のとおり、これは江戸時代前期の有名な俳人松尾芭蕉の「奥の細道」のイントロといいますか、序の部分であります。その松尾芭蕉が詠んだ有名な俳句、特に新年にまつわるものの一句に次のようなものがありますので、御紹介をいたしたいと思います。  その俳句の持つ意味は、春が来て新しい年を迎えて、貧しい草庵にはこれというめでたいことも特にないが、去年から持ち越した米が5升ほど蓄えてあって、何となく満ち足りた感じがするという心境を表現した次のようなものであります。「春立つや新年古き米五升」というものであります。  世界の人口が約62億人余りと言われる中で、1日1ドル生活者が約12億人、さらには1日2ドル生活者が約30億人。今ほど 240円で勝負できるという知事の話をいただきましたが、今大体レートは1ドルが百二十四、五円ぐらいなので、1日 125円の生活者が約12億人、それから 250円の生活者が約30億人も世界においでるということが報道されていたわけでありますが、一方、日本海を挟む北朝鮮の食糧難あるいは貧困生活の状況が、御案内のとおり連日のように放映されているわけであります。その中で、北朝鮮による日本人拉致問題早期解決に向けて、日本国民が極めて高い関心を寄せている昨今であるわけであります。  そこで、北朝鮮による日本人拉致事件について質問をいたしたいと思います。  北朝鮮による一連の拉致事件につきましては、県民はもとより、国民の間でも強い憤りを覚えるとともに、ほかにも拉致された者がいるのではないかという不安を抱いている方も多いと思うのであります。こうした中で、過日、警察庁は、全国の警察署に対して行方不明者の再点検を指示したところであります。  そこで現在、県内において行方不明者となっている方々の家族の中には、拉致の可能性もあるのではないかと不安に駆られ、恐らく警察に相談されている方もおられると、私自身もそのように聞いておりますが、県内の実情についてお伺いをいたしたいのであります。 126 佐藤警察本部長 本県におきましては、過去5件の北朝鮮工作員によるものと見られる潜入、脱出等の事件が判明しております。中でも、昭和53年8月に高岡市雨晴海岸において、男女2人の方が北朝鮮工作員と見られる男4人によってまさに拉致されようとした事件が発生しているほかに、昨年3月には黒部川河口において、北朝鮮工作員が潜入の際に使用したと見られる水中スクーターと思われる物体も発見されております。  県警察としては、北朝鮮からの不法入国等の事案を阻止すべく、沿岸警戒の強化を図っており、この種事案に重大な関心を払っているところであります。  これまで県内において家出人や行方不明者として届けられている中には、北朝鮮による拉致ではないかとの見方をされているものもありますが、いずれも現段階では北朝鮮との関連性は把握されておりません。  県警察といたしましては、今後も警察庁や他の府県警察との緊密な連携を図りながら、所要の調査を進めてまいる考えであります。 127 大野委員 実は10年前になりますが、今は亡き金正日総書記のお父さん、金日成主席(当時)が、生誕80周年ということで大変大きな式典、行事をやられたことがあります。そのとき私の聞いたところでは、自分が生きている間の恐らくこれが最後の大きな誕生会になるだろうから、世界じゅうの友好国あるいは友好団体を呼びなさいという指示を出したということらしいんです。たまたま日本の青年団が韓国や中国、あるいはロシア、それから北朝鮮の青年の組織と非常に友好的におつきあいをしていたということで、青年団OB、現役の中から3名を招待すると。私がその1人として選ばれて、実は招待を受けて行きました。  そのときに幾つもいろいろ感じることがあったんですが、今回の拉致事件のことで連想できましたのは、当時10年前、実は私もそういうことがあるのではないかということを聞きつつ北朝鮮へ行きましたものですから、仲間2人と警戒しながらいたんです。あるとき、3人が別の車に乗りまして、2人が一緒で私が1人になったんです。いつもずっと私についてくれている運転手と通訳と私の3人になりました。そのときに、我々は金日成主席の招待ということでずっと「先生」と呼ばれておったんですけれども、助手席からふっと後ろを振り向いて、「大野先生、1人になっても心配要りませんよ」と言うんですよ。これほど心配なことはないですよ。あの瞬間は、本当にドキッとしましたね。恐らく私は価値のない人間だから拉致されなかったのかなと、深刻に考えるほどの状況なんです。はらはらしました。そんなことがありまして、この場でこれ以上言うのは言いづらいんですが、非常に警戒心を持たなきゃならない国だと思いつつ帰った記憶があります。  先般、10月17日、北信越の市長会で、北朝鮮拉致事件の徹底した真相解明を求めるという特別決議がなされた。しかも、この特別決議をするに当たっては、富山県市長会が提案者になって特別決議をされて、これを新潟のある市長が国へお届けになったというふうに聞いております。恐らくこの件については、先日、被害者の支援法も成立したこともありますし、全国の知事さんあたりでもいろんな話題になっているものというふうに思われますが、早期解決といいますか、それから家族がまだ会えない状態でいる、こんなことを何とか解決するためにも、ぜひこういった決議をして、国、関係機関に要請することを全国知事会でも行うべきだというふうに思うんですが、知事、いかがでしょうか。 128 中沖知事 現在、政府におきましては、拉致事件の真相解明に向けて懸命に取り組みますとともに、いわゆる拉致被害者支援法を制定するなど、拉致被害者に対する支援についても積極的に進めているところでありますが、北朝鮮との交渉におきましては、引き続き毅然とした態度で、また粘り強く取り組んでもらいたいと考えております。  なお、全国知事会では、去る10月に開催されました政府主催の全国知事会議の場におきまして、土屋会長が知事会を代表いたしまして、拉致事件の徹底した真相の究明などを求めていくべきであるとして、小泉総理大臣に対して直接要望したところであります。  今後、情勢の大きな変化などを見ながら、またそういう情勢の変化があれば、改めて知事会としても対応を検討していかなければならないというように思っております。 129 大野委員 続いて、ことしの夏に知事に訪問していただきました北方領土問題について触れたいと思います。  北方領土問題の解決、それは早期の北方四島一括返還でありますが、最後は日ロ両国の政府間交渉、いわゆる国と国との間での決着ということになるわけでありますが、それを支えるのは何といっても国民世論であり、国民運動であろうというふうに思います。  また、地方自治体での取り組みも大きな力であることから、本年8月に、北海道知事に次いで全国の知事としては2番目となる中沖知事の北方領土訪問は、全国的に注目され、極めて高い評価を得たところであります。さらにその後、県庁内に特命主幹を置く人事や、国に対し重要要望がなされたことで、国や関係機関を勇気づけたほか、今後の運動と交流推進に大きな期待感を得たところであるというのが私の認識であります。  そこで、北方領土問題について、まずは教育との関係について質問いたしたいと思います。  教育に携わっておられますいわゆる関係者の派遣については、根室現地、あるいはまた全国を各ブロックに分けたところでの研修、さらには北方領土そのものを訪問するという形で、教員指導者研修会、さらには教育関係者訪問事業等が今までなされてまいりました。  本県の参加者は、根室等を訪問される研修会については平成4年からスタートしておりますが、今まで11人、さらには北方領土を直接訪問するという事業は平成11年から始まっておりますので、まだ日が浅いんですが、3人ということになっております。ただ、この方々は、帰ってこられましてもなかなかみんなで一緒に返還運動について頑張る、あるいは勉強する機会が持たれないようでありますので、この参加経験者を生かしながら北方領土教育の充実強化に努めることが重要であるというふうに思うのでありますが、教育長、いかがでしょうか。 130 福岡教育長 昭和44年、北方領土問題対策協会法に基づきまして設置されました特殊法人北方領土問題対策協会では、返還運動を次世代の青少年に引き継ぐことをねらいといたしまして、今ほどお話のありました教員指導者研修会、そして教育関係者訪問事業を実施しているのであります。  そして、お話にもありましたが、教員指導者研修会につきましてはこれまで11名が、そして教育関係者訪問事業ではこれまでに3名が参加しておるところであります。これらの研修や事業に参加した教員は、中学校の社会科の時間で北方領土の歴史や日本固有の領土であることなどについて指導するために、元島民の方の話や島の生活の様子を映したビデオを活用いたしまして、また総合的な学習の時間や選択学習のテーマとして北方領土を取り上げて、研修会に参加した教員が中心となって指導に当たっているところであります。  今後、これらの研修会に参加した教員が、中学校教育研究会などの研修会を通じまして社会科の教員の理解を深めるように、そのような機会を設けるように努めていきたいと思っております。 131 大野委員 日常の先生方がお集まりになる機会等をうまく生かしてやるというふうなことは非常にいいと思うのでありますが、全国各地でも、片方は平成11年から、片方は平成4年から事業に取り組まれておりまして、たくさんおいでるわけですね。このことは、例えば富山県は北海道に次いで引揚者が多く、運動の中核的な存在という意味でも、この教育者の方々にもっと全国でも活躍してもらう──もちろん富山県内でも活躍してもらうという意味では、内閣府あるいは北対協あたりに、県からもこの方々をもっと生かすための要請をされたらいかがかと思うんですが、政策総括監にお伺いします。 132 塚原政策総括監 御指摘の件につきましては、県も平成15年度重要要望事項として取り上げておりまして、現在内閣府の北方対策本部と連絡を取り合っております。そうした中で、現在、国の特殊法人であります北方領土問題対策協会におきまして、平成15年度新規で国民世論基盤整備関係事業ということで、北方領土問題の教育者会議──仮称でございますけれども──の立ち上げが検討されているというふうに聞いております。  この事業は、今ほど大野委員から御紹介ありましたように、いろいろな研修会でありますとか、訪問事業に参加した個々の教育者の意欲だけでは、なかなか教育現場で北方領土教育の充実を図っていくには限界があるということから、これらの関係者をバックアップするための組織であるというふうに聞いておりまして、当面パイロット的に幾つかの県でこの組織を設置して、これを順次全国に広げていきたいと、こういう意向というふうに伺っております。  県としましては、重要要望に挙げておることもありますし、北方領土返還交渉がこれからさらに長期化も予想されますので、この歴史的な事実を次代を担う青少年たちに引き継ぐという観点から、教育の立場で啓発を進めていくことは非常に大事なことだろうというふうに思っておりますので、教育委員会あるいは県民会議と連絡を密にしながら、国や北対協ともよく相談しながら対応をしていきたい。そういう事業にも取り組んでいきたいというふうに考えております。 133 大野委員 今年春から新しい学習指導要領がスタートいたしまして、教科書を見てみますと、北方領土については、旧の学習指導要領では、どちらかというとコラムみたいな形でありまして、コラムをどう解釈するかというのは私自身もよくわからなかったんですが、教えるべきことと。しかし、それは参考程度にしておいてもいいという解釈もあるというふうに私は聞いています。ただし、新しい学習指導要領がスタートしまして、今の教科書はしっかりと北方領土を本文でとらえておる。すなわち教えなきゃならないというふうになっているわけですね。  そこで、学校の先生方にとってもそれは重要なことでありますから、教師用の補助的な教材の充実も大事ではないかというふうに思いますが、教育長、いかがですか。 134 福岡教育長 我が国の領土、近隣諸国などについて、小中学校では社会科を中心に学習しているところであります。特に北方領土に関しましては、小学校5年生、6年生、そして中学校の地理や歴史の教科書で繰り返し北方領土問題について取り上げられておりまして、正しく理解するよう学習しているところであります。  北方領土につきましては、これまでも学習指導要領で、北方領土が我が国の固有の領土であることなど我が国の領域をめぐる問題にも着目させるようにすることとなっておりましたが、議員御指摘のように、本年度から使用しております中学校の理科や公民の教科書では、北方領土に関する内容の記述がより大きくなり、また詳細な地図を載せるなど詳しく取り上げているところであります。  本県におきましては、従来より北方領土については郷土の学習と関連を持たせながら、補助的な資料を参考に学習を進めるという取り組みを行っているところであります。例えば、総務省の協力を得て日本経済教育センターが作成いたしました資料「私たちの北方領土」における北方領土の写真や地図、統計資料の利用、そして教師用の指導資料「とやまの郷土教育」に記載されている具体的な指導事例の活用など、北方領土問題に関心を持ち、我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深める上でこれを活用しておるところであります。  また、現在では子供たちがインターネットを活用し、さまざまな情報を手に入れることが可能となっているところであります。  今後、これらの資料のみならず、県内の先進的な取り組みがなされている学校のすぐれた指導法や教材などを有効に活用いたしまして、北方領土に関する指導が一層充実するように努めてまいりたいと存じます。 135 大野委員 非常に前向きな答弁で、全くこれ以上聞くことはないんですが、片や今度は生徒の立場に立った場合、小中学校の生徒用として、私もある意味では、北方領土というのは富山県が抱える地域課題というふうに言えると思っておりますので、総合的な学習の時間あたりを利用して、ぜひ膨らみを持たせた北方領土の学習をすればいいと思うんですが、そのためには副読本あるいは参考書みたいなものが必要ではないかというふうに思うんでありますが、いかがでしょうか。 136 塚原政策総括監 北方領土返還交渉の長期化ということで、なかなかこれは一筋縄ではいかない、今後も長期化が予想されるということでありますけれども、今後さらにこの返還要求運動を着実に継続していくためには、やはり何といいましても次代を担う青少年たちに対して、この問題に対する正しい理解を深め、こういう啓発普及を図っていくことが大変重要だというふうに思っております。  これまでにも、黒部市に事務局のあります北方領土返還要求運動富山県民会議におきまして、中学生向けの副読本、これですけれども(本を示す)、先生も御存じだと思いますが、こういうものをつくっておりまして、これは内容的には 100ページ近くある大変立派なものでございます。大変読みごたえがある一方で、中にはいろいろ写真やらルビが振ってありまして、大変よく工夫された本だというふうに思っておりますけれども、こういう副読本を配る。あるいはまた「知っていますか?北方領土」という富山県版のパンフレットなどもつくっておるのでございまして、これを県下の中学校全校、85校になりますが、配布をいたしております。  一方、黒部市内の中学校におきまして、総合的な学習の時間のテーマとしまして北方領土の問題を取り上げ、研究発表が行われております。このときの模様は、ことしの2月に北方領土月間ということでテレビの県政番組で取り上げました。その際に、「断固たる決意と熱意で島返還」というタイトルで県民の皆さんに紹介したわけですが、大野委員にも県民会議事務局長として御登場いただいたところでございます。  今後、北方領土問題に関するこうした取り組みができるだけ多くの学校現場で行われますように、県民会議や教育委員会とも協力しながら努力してまいりたいと、このように考えております。 137 大野委員 そこで、この運動の将来を見据えた場合に、今の段階から青少年の後継者といいますか、そういった方を育成することは極めて重要であるというふうに思います。  北方領土復帰促進協議会という組織がありまして、そこでは昭和45年から、毎年、根室のほうへ中学生を、初めのころは4人か5人だったんですが、昭和五十何年からか6人になりましたけれども、その促進協議会が根室へ青少年を派遣するという事業をやってこられたんですが、残念ながら予算の範囲があって、今まで派遣されている市町といいますと、やはり引揚者がおいでるところ、つまり入善町、黒部市、さらには魚津市、新湊市、このあたりに限定されているんですね。これじゃなかなか、後継者といいましても県下的な運動にならないし、広がりもない。これをぜひ発展的に事業展開していくためには、どうしても県の支援体制というのは欠くことができない要素でありますが、このあたりの支援についてできないものかどうかお伺いをしたいと思います。 138 塚原政策総括監 少年少女北海道派遣事業のことでありますが、元島民の多い黒部市など3市2町──今御紹介なされましたけれども──がお互いに協力しまして、負担金を出し合い、昭和45年から、最近では毎年中学生6名を根室市等へ派遣しております。そこで実際に中学生が納沙布岬から貝殻島など北方領土を自分の目で確かめ、また根室市で開かれます北方領土返還要求根室市民の集い──これは2,500 人規模の大変大規模な集いでございますけれども、こうした集会にも直接実際に参加するという形で、返還運動の熱意あるいはエネルギーといったものを身をもって体験しておられる、これは大変有意義な事業であると考えております。  県としましては、これまでも県民会議への助成協力を通じましてこの事業を支援してきたところでございますが、今後とも、こうした復帰促進協議会の活動に対して引き続き支援を行ってまいりたい。また、こうした事業への理解や取り組みがさらに現在の3市2町以外にも広がりますように相談、協力をしてまいりたいと、このように考えております。 139 大野委員 島からの引揚者の組織として、千島歯舞諸島居住者連盟という組織があるんですが、これは本州に支部があるのは東京と富山だけです。こちらは千島歯舞諸島居住者連盟富山県支部になるんですが、ますます年をとられて、中には残念ながらお亡くなりになった方も結構おいでるということで、生の語り部がだんだん減っていくというのが、残念ながら実情であります。  青少年の後継者の育成も大事なんでありますが、そういったことにも絡めて県下に運動を浸透させるためにも、この連盟に対する支援というのは大事ですし、そしてまた有効に生かすことが求められていると思うんでありますが、県としてはどのように考えられるかお伺いしたいと思います。 140 塚原政策総括監 千島歯舞諸島居住者連盟富山県支部は昭和33年に結成されております。本県の北方領土返還要求運動では最も歴史のある、今日まで40年余にわたりまして熱心に活動に取り組んでこられた団体でございまして、現在も返還運動の中核を担う団体として御活躍をいただいております。  特に、毎年9月に開催されます返還運動の富山県大会や、2月7日の北方領土の日、あるいは2月の北方領土月間、こうした期間におけるキャンペーン等に積極的に参加していただいております。また、連盟独自で「島を語ろう」という会でありますとか、北方領土の写真展の開催などの活動にも御尽力いただいているところでございます。  県としましては、今後ともこうした連盟の活動に引き続き支援してまいりたいと考えておりますし、また連盟の運動が県内の特定の一部地域にとどまるということではなくて、できるだけ多くの地域にその輪が広がるように、連盟ともさらに連携協力してまいりたいと考えております。  また、居住者連盟の会員は歴史の重要な語り部だと、この御指摘はごもっともでございまして、こうした古老の方の生の声、肉声というものを後世に伝えるために、例えば一連のキャンペーンの中で青少年の方に直接北方領土のことを語ってもらうといったことですとか、あるいはビデオ化して写真展を開催する際にあわせて紹介することなど、いろんなアイデアがあろうかと思われますので、今後相談をしてまいりたいと、このように考えております。 141 大野委員 あわせて、千島連盟は、今申し上げたとおり、残念ながら亡くなっていく方がおられる、あるいは高齢化するという中で、やはりその運動を引き継ぐために、引揚者の会の二世の会ということもこれからは非常に重要なことではないかと思うんでありますが、二世の会を組織化するための支援もぜひ検討すべきでないかと思うんですが、いかがでしょうか。 142 塚原政策総括監 千島連盟富山県支部の会員は、富山県出身の元島民が1,425 名ということでございますが、そのうち約 430名でございます。北方四島のいわゆる旧ソ連による不法占拠から約57年を経まして、会員で元島民の約半数の方がもう既に亡くなっておられますし、また会員の平均年齢が74歳ということで大変高齢化が進んでいるのでございまして、これでは連盟の存続自体が大変心配である、また北方領土の問題そのものも次第に風化していくのではないかと、こういう心配もあるわけでございまして、今後の返還運動の継続にも影響が出てくるのではないかということで心配であります。  こうしたことから、連盟におかれましては、旧島民二世の方々の組織化など基盤強化に取り組み始められたところでありますので、そうした中で県としてもどのように御支援申し上げていくのが一番よろしいのか、連盟事務局の黒部市ともよく相談し検討をしてまいりたいと、このように考えております。 143 大野委員 夏に知事が北方領土からお帰りになってから、北方領土にはもうちょっと日本語を普及せにゃいかんじゃないかというようなことをおっしゃっておりましたけれども、私はごもっともだと思います。そんなことで、北方四島交流推進全国会議では、毎年大体1カ月スパンで、日本語普及のための講師や専門家派遣の事業をやっているわけですが、先般、あるときのあいさつで知事はおっしゃっておりました。富山県というのは人材という資源が非常に豊富だと。私は全くそのとおりだと思います。田中耕一さんを含めてですね。ですから、こういったことにこそ進取の気性を持った富山県人を派遣することが極めて重要なことではないかと思うんでありますが、考え方をお伺いしたいと思います。 144 塚原政策総括監 北方四島には、平成4年から今日までビザなし交流ということで、既に 100名近くの県民が現地を訪れております。一方、全国会議では北方四島の豊かな動植物の生態調査でありますとか、日本語の普及を図ろうということで、平成10年度からさまざまな分野の専門家派遣を行ってきております。県としましては、今後こうした専門分野における交流についても協力していけるのではないかというふうに考えております。  もちろん、北方領土問題につきましては日ロ間の政府間協議を待たなければならないわけですが、何よりもやはり現在北方四島に住む人たちとの相互理解を図るということが大変大事なことであろうと思います。そういったことから、お互いの意思疎通を図るための言葉の問題が極めて大事であると考えております。言葉は心の窓というふうにも申しますので。ところが、現地では日本語が全く通じないというようなことも聞いております。今後、日本語教師の派遣につきまして、国や全国会議に働きかけたいというふうに思っております。  ただ、全国会議事務局によりますと、派遣教師には日本語教育検定試験の合格者でなければならないとか、一定の資格要件が必要だということを聞いておりますので、こうしたことも含めてよく調査し、県民に情報提供をし参加を呼びかけてまいりたいと、このように考えております。 145 大野委員 知事が訪問されることが決まった前後に、県民の北方領土に対する関心といいますか、さらには訪問する意識が非常に高まったと思います。私自身にも問い合わせがいろいろありました。女性団体からも問い合わせがありました。一緒に知事さんと行きたいと。10人ぐらい一緒に行けないかとか、いろんなことを話しまして、今のところは無理なんだという話をしたんです。富山県では海外派遣事業を非常に友好的に何十年もやってまいりました。青年の船から始まって青年海外派遣事業、あるいは婦人の海外派遣事業等々いろいろあったわけです。  実は、現在根室から島へ渡っている船というのはわずか七、八十人しか乗れない船であります。ただ、その船長にお話を聞きましたら、今島へ渡っている船が決してあいてないことはないと。「じゃ、どこかの県がチャーターをして行くことはできますかね」と聞くと、「それは大野さん、まずどこか関係機関と話をすることが大事でしょう」と、まんざらでもない物の言い方でありました。北海道は北海道で独自に行っておられるという事実もあります。富山県は、先ほど申し上げた進取の気性を持った引揚者が多い県だからということで、ぜひ県民挙げて島を訪問して返還運動の一環に資するということも重要なことではないかと思うんです。  特に、今ほど申し上げましたとおり、知事が行かれてから、私のところにも、どうやったら行けるのか、ぜひ島の様子を見てみたいという声が非常に多くあったわけであります。ここで私は、仮称でありますが、北方四島交流富山県民の船派遣事業というものを提唱してみたいと思うんですが、知事、いかがでしょうか。 146 中沖知事 いわゆるビザなし交流につきましては、相互理解の増進を図り、領土問題の解決に寄与することを目的としまして、平成4年から開始された事業でありますが、北方四島交流推進全国会議と北島四島交流北海道推進委員会の2つの団体を中心に実施されてきております。これまでに訪問者数は延べ約 5,300人、受け入れ者数は延べ約 4,400人に達しておりまして、このうち県内からは訪問者数94名、受け入れ者数 100名となっております。  また、ビザなし交流は日ロ間で合意されて実施されているものでありまして、これ以外の交流につきましては新たな合意が必要となるというようなこともあろうと思いますので、難しい問題であろうかというふうに思っております。したがいまして、御指摘の富山県民の船派遣事業につきましては、日ロ両国間の協議の経緯などから、現時点ではなかなか容易でない問題でなかろうかというふうに思ったりいたしております。  ただ、北方四島の現在住者との相互理解を深めることが非常に大事なことでありますし、今後、元島民の方々、それから返還運動関係者の皆さん、さらには関係省庁、全国会議とも相談しながら、県としても北方四島の人との交流の拡大策について検討していかなければならないと思っております。  大野議員はこれまで、北方四島との交流問題につきましても大変深い見識、経験もお持ちでありますし、ぜひ具体的な御提案もいただいて、人的交流がもっと進みますようにいろいろ努力をしたいというように考えております。 147 大野委員 とにかく、全国的に返還運動を中心的に取り組んでおる各都道府県のいわゆる推進員でありますとか、県民会議の幹部の方々は、北海道の知事が行くのはある意味では当たり前だと。富山県の知事が島へ行かれたということに大変感銘を受けておられますし、驚いておられます。これはある意味では、富山県知事だけが行って、そこでストップしてはいけないというふうに私は思います。それは国民運動になり切らないからであります。ぜひこれからいろんな機会をとらえて、全国の各知事に、3番目、4番目として行ってほしいということを言っていただけるような機会を持っていただくことを要望して、次の質問に入りたいと思います。  プレジャーボート等の不法係留についてでありますが、この4月に小型船舶の登録法がいよいよ施行になりました。昨年と比べてどう変わるのかということも、私自身も注視して見ておりました。いろんな資料を調べて数値も見たり、あるいは現場の声を聞きましたが、残念ながら好転しているとは言いがたい。相変わらず不法係留が多いという現実であります。仄聞するところによりますと、中には公務員、あるいはそういう立場に近い方もとめているじゃないかというようなことをどこかで議論し合っているとも聞きます。  細かい数値は申しませんが、県としてはその不法係留の状況をどのように把握しているのか、お伺いしたいと思います。 148 森岡土木部長 不法係留船舶の状況についてでありますが、毎年11月に調査を実施しておりまして、本年度も11月6日に実施したところでございます。その結果、県下で約 2,000隻の不法係留が認められております。  なお、小型船舶登録法が施行されたわけでございますが、これによって所有者の住所、氏名が特定できることになったわけでございますが、御案内のとおり、この登録制度は、6年ごとの船舶検査時と3年目に行われる中間検査時に行われることになっておりまして、登録が完了するのは17年末になるということでございます。
    149 大野委員 今申されたとおり、ほとんど変わっていないというのが実情でありまして、当たり前にとめるべきものをとめておられる方にとっては、ある意味では非常に不平不満が出るということであります。  もう1つに、県のほうへの問い合わせで、そういう係留施設を使いたいのでどうすればいいかという相談もあるはずであります。片方には、そういう不法者を取り締まってほしいのでどうすればいいかという相談もある。  聞いておるところによりますと、県の河川課、あるいは水産漁港課、さらには港湾課、この3課がいわゆる縦割り的になって、なかなかうまく物が進まない。これはぜひ対策窓口的なものを一つにまとめて設置すべきというふうに思うんですが、いかがですか。 150 森岡土木部長 これまでも、河川、漁港、港湾の各管理者が協力しながらプレジャーボートの係留状況を調査するとともに、不法係留の防止対策などに取り組んできておりますが、御指摘のように、これをより一層推進していく観点から、今後、各管理者から成る連絡会議を設置して、放置艇対策でありますとか係留場所の確保方法などについて検討していきたいというふうに考えております。 151 大野委員 今の答弁は、過去に県、それから県警、あるいは市町村、さらには関連業者等で不法係留一掃への実効的な組織を構成する考えがあった。そうする予定だと。新聞にもこういったことが過去に報道されているんですが、そのことをおっしゃられたんですか。 152 森岡土木部長 これまでも、関係の方々といろいろ協議、調整はしてきたわけでございますが、まず本庁内の河川、港湾、漁港関係の各課が寄りまして、今後どういう体制でどういうふうに進めていくのがいいのかも含めて、連絡会議をつくって検討していきたいということでございます。 153 大野委員 そこで、外部の関連の方々も含めて、これはしっかりと取り組んでいってほしいと思いますし、関係者もそう願っているわけであります。  平成12年3月、これは一級河川等もあるものですから、国の機関が事務局となってプレジャーボート対策検討準備会というのが開催されていますが、その後、率直に申し上げてナシのつぶてと。あるとき小型船舶の関係者が問い合わせたところ、人事異動があって担当者がいないからよくわかりませんというふうな返答があったという、がっかりするような話もあったんですが、このあたりは県庁内の3課の対策窓口とは別に連携をとって、しっかりとその組織体制をつくり上げていくべきだと思うんですが、いかがですか。 154 森岡土木部長 今委員から御指摘があったのは、平成12年3月に国土交通省の富山工事事務所が事務局となりまして、河川区域内で無秩序に放置されておりますプレジャーボートの解消を図るということで、河川管理者、港湾管理者、地元市町村など関係機関を構成員としてつくられたプレジャーボート対策検討準備会でございまして、これにつきましては、各機関ごとにいろんな情報収集等に努めてきておりまして、本年7月及び9月に富山工事事務所と県が合同で現地調査等を行ったところでございます。今後、その準備会を検討会に改めて、できるだけ早く開催したい意向であるというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、この問題は非常に幅広い関係機関が関係いたしますので、そのようなところでどういうふうにつくっていくのか。国には河川管理者である国土交通省もありますし、港湾関係もあります。また、警察関係もございますし、海上保安部もあります。そういった広いものがございますので、まずは、先ほど申しましたように庁内の関係課が集まって連絡会議をきっちりつくって、その中で検討していきたいというふうに思っております。 155 大野委員 率直に申し上げて、小型船舶の登録等に関する法律、これそのものは不法係留を防止すると。しかし、防止するという立場に立つと、特別効果ないわけですね、はっきり申し上げて。ただ言えるのは、船の所有者が転売したというときに、今まではどう転売したのか非常にわかりがたかったと言えると思うんです。そこのところが、転売の際に印鑑証明をつけるというようなことと、譲渡証明書が必要になったことで所有者が明確になるわけでありまして、そのへんから今まで以上にそういったことがわかりやすくなったというふうに言えると思うんです。  ここでるる申し上げませんが、とにかくいろんな事故が不法係留によって起きているという現実がありますよね。しかもことしは、経済効果が30億だとかと言われた「釣りバカ日誌」のロケ地にもなって全国放映もなった、近々ビデオになるというような富山県でありますので、これからもぜひ、海上レジャーといいますかマリンスポーツは盛んになってほしいし、また「釣りバカ日誌」のロケがされたということで、皆さんどんどん今まで以上に来られるでありましょうし、また来てほしいと思うわけです。  実際私も海のほうに住んでおりまして、実は黒部の釣りの会長をしておるんですが、見ておりますと、県外者もいっぱい来て釣りを楽しんでおられます。それから船も出ております。それだけを見ると、非常に盛んでいいなと思うんですが、その陰にはそういう実情が、先ほど大きい数字を言われたとおりあるというふうなことであります。  これの対策としては、取り締まると同時に、県内に今ある係留施設をもっと有効に使っていただく。具体的にここが特にあいていると私は申しません。土木部長はそのことは十分御認識あると思いますけれども、もっとあいている施設を使わせるという方策はないのか。あわせて、新規係留の施設の要望も出ているところがあるはずですよ。そんなところについて整備することも十分考えていただかなければならないことでありますが、そのあたりはいかがでしょうか。 156 森岡土木部長 プレジャーボートにつきましては、所有者みずからが適正に保管管理していただくということが原則であると思っております。そういうことから、県といたしましては、マナーの向上を訴える啓発活動を行うとともに、御指摘のように、適正な保管場所の確保ということに努めてきておるところでございます。  具体的には、岩瀬のプレジャーボート係留場及び新湊マリーナなどを整備してきておるところでございます。また、市町村や民間におきましても整備が進められておりまして、現在のところこれらすべてが完成すると、約1,700 隻の係留が可能となると考えております。  しかしながら、現在県では約 3,000隻あるというふうに見込まれておりますので、これが完成をしてもまだ不足をするということになりますので、今後さらに受け皿の検討が必要であるというふうに思っております。  こうしたことから県といたしましては、さきに述べました連絡会議の中で、遊休水面等を活用いたしました簡易的な係留施設の整備、あるいは管理の支障にならないような水域での民間の占用許可というものを認めるなど、そういう不法係留艇の受け皿の確保について、今後検討していきたいというふうに考えております。 157 大野委員 それでは、北陸新幹線について2、3質問いたしたいと思います。  いよいよ年末を控えまして、予算獲得合戦も大変であります。我々ももちろん議員として頑張らなきゃならないわけでありますが、そこで、北陸新幹線の問題につきましてはさきの特別委員会でも少し触れましたが、まず、県東部駅になる(仮称)新黒部駅であります。  これにつきましては、前々から公共交通機関をうまくアクセスして、(仮称)新黒部駅、県東部駅を発展させるという観点から、富山地方鉄道の新駅を(仮称)新黒部駅と一体化させて設置するという構想があったわけでありますが、このことにつきまして県としても、県東部駅という観点から当然積極的かつ具体的に取り組むべきであるし、もうそろそろそういう時期に来ているというふうに思うんでありますが、県の考え方をお伺いいたしたいと思います。 158 森岡土木部長 御指摘の北陸新幹線と富山地方鉄道の乗り継ぎにつきましては、昨年度黒部市におきまして策定をされました(仮称)新黒部駅周辺整備計画の中で、新黒部駅と富山地方鉄道の交差部に地鉄新駅を設置する、それから、新幹線駅舎からその地鉄新駅までの歩行者用連絡通路を設置して駅利用者の利便性を図ることなど、基本的な整備方針がまとめられたところでございます。  さらに今年度、新川広域圏の各市町におきまして新幹線タウンミーティング等を開催しておられまして、新黒部駅を核とした広域的な連携、あるいは地域活性化等の議論を深めておられまして、あわせて新黒部駅周辺整備計画の普及啓発を図って、いろんな御意見を集約して、今後の駅周辺整備に反映させていこうというふうにされておるところでございます。  そういったことを踏まえながら、地鉄新駅の設置につきましては、今後、新幹線の開業時期を視野に入れながら、整備手法など地元が主体となって関係の方々で協議していただきたいというふうに考えております。県としても連携、支援してまいりたいというふうに考えております。 159 大野委員 それから、いよいよ1年後に、予定では整備新幹線の整備計画見直しになるということになっておりますが、県内区間、特に非常に不安な部分を抱えているというふうに言わざるを得ないと思うんです。私の住んでおります黒部市では、おかげさまでどんどん工事が進んでまいりまして、富山駅も連続立体交差事業になるだろうという話の中で、黒部の市民、あるいは近隣の方が何を気にしているかといいますと、何で今まだ富山-石動が白地なんだと。今まであんまりその話をしなかったんです。自分のところはトンネルがどう掘られるのか、どこを走るのかということに関心が多かったわけですから。しかし、皆さんも当然わかるのは、レールがつながらなければ走れないということで、いよいよ富山-石動間に気持ちがきたわけですね。  そこで、このままいきますと、富山以西、つまり南越まで認可されるのかどうか非常に憂慮しております。場合によっては、石動-金沢はフルにして、あわせて石動-南越を認可して、問題があるから富山-石動は残すということになるんではないかということを憂慮するんですが、いかがですか。 160 森岡土木部長 現在、富山までフル規格で整備されておりまして、石動-金沢間はスーパーという形で整備されておりますが、南越までもう既に工事実施計画はフル規格で認可申請をされておるわけでございます。レールはつながって意味があるわけでございますので、途中が抜けるということはないというふうに思っております。 161 大野委員 それじゃ、ずばり申し上げますけれども、高岡駅の設置については県はどういう認識を持っておられますか、現状においては。 162 森岡土木部長 北陸新幹線の高岡駅の問題については、これまでも議会でいろいろ御議論されておるところでございますが、昭和57年に高岡市において分離駅としていこうということで結論が出されまして、今申しましたが、昭和60年12月には工事実施計画の認可申請が行われております。  その後、平成11年の基本スキームの見直しに当たりまして、現駅併設の声が地元の一部の方から上がったわけでございますが、高岡市におかれては、高岡市新幹線問題懇話会というものを設置されまして、市議会、経済界等市内各界各層の間で慎重に、また十分に検討された結果、改めて分離駅でやむを得ないという意見集約が行われたところでございまして、そういった意味で、私どもとしては結論が出ておるというふうに思っております。 163 大野委員 当然そのようにお答えしていただかねば困るんですが、これ以上ちょっと言いづらいので言いませんが、いずれにしても、先ほど申し上げたとおり、見直しの際に富山-石動がちょっと先送りということも懸念されないわけではないきょうこのごろであります。したがって、石動-金沢はもう9割程度進んでいまして、あとは幅 1,067ミリのレールを敷くか 1,435ミリを敷くかという段階に来ていると思います。ですから、これはどちらかといえば見えているということですから、我々を含めてしっかりやらなきゃならないんですが、今の考え方をしっかり押し通して、ぜひ富山以西、南越もしっかりと来年の今ごろには認可をいただけるように期待をいたしております。  それでは、最後に知事にお伺いしたいことが1点あります。  あわせて、三セクの議論はこれまでもずっとされてきたんですが、第三セクターについては、これだけ姿が見えてきますと、あちこちでまたいろんな話も聞こえてきます。特に東北のほうで銀河鉄道、あるいは青い森鉄道がオープンしたこともあって気になるところでありますが、考え方としては、第三セクターの本格的な論議といいますかそういったものは、県内全線がフル規格で整備されるぞということが決定されるまで待つということなのか。つまり裏を返すと、その段階で初めて本格的に論議に入るということなのか、お伺いしたいと思います。 164 中沖知事 JR西日本から経営分離される本県内の並行在来線の経営につきましては、前から申し上げておりますが、地域住民の通勤通学の足を確保するために、関係市町村や経済界等の協力を得ながら、県が責任を持って存続を図ることにしております。  並行在来線の運営や経営のあり方につきましては大変重要な問題でありますので、現在、しなの鉄道を初め、今月開業しましたIGR岩手銀河鉄道、それから青い森鉄道等の経営状況や経営計画など必要な調査を進めていくことにしております。  いずれにしましても、県としましては、今後ともこれらの先進事例などの調査検討を進めていきたいと考えております。  それからまた、実は北陸4県及びJR西日本で構成しております北陸新幹線に関する連絡協議会という組織がありますが、この場におきまして、並行在来線の経営方式、あるいは国やJRに対する要望事項などについて幅広く検討協議をしていくことにしております。  いずれにいたしましても、並行在来線の問題につきましては、県内全線の経営ということも頭に入れながら検討を進めていくということになろうかというふうに思っているわけであります。現実には糸魚川-富山までの並行在来線の経営の問題になりますけれども、先ほど御指摘がありましたように、来年度南越までの一括認可を目指して政府・与党にいろいろ要望し、努力をしていかなきゃならんということを考えておりますから、私どもとしましては、やはり県内全線の第三セクターの運営ということも頭に置いて検討をしていかなきゃならない、このように思っております。 165 大野委員 いよいよ新年を迎えます。来年が新幹線にとりましてすばらしい夢を実現できる年でありますように期待をして、質問を終わります。 166 杉本副委員長 大野委員の質疑は以上をもって終わりました。  暫時休憩いたします。  休憩時間は10分間といたします。                     午後3時04分休憩                     午後3時17分開議       江西甚昇委員の質疑及び答弁 167 横田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  江西委員。あなたの持ち時間は60分であります。 168 江西委員 今回の議会で割と農業問題が出ていませんが、最近の農業情勢や、特に国の米政策の改革案など、20年後の問題を取り上げた議論が国会でされてまいりました。  今では、昔から見ると、衣食住で満たされてないものがないんですね。私は、終戦の年は小学校6年生でした。今ここにいる人でその年代の人は大永副知事と県知事ぐらいなもので、あとはまだひよこみたいなものだと、私はこう思っているんですね。  なぜそういうかというと、日本の歴史の中で米問題が一番──事あるごとに、農業そしてまた米の生産ということは常に議論されてまいりました。廣川弘禪氏あたりは大変な男でありまして、私が大学へ行ったころ彼はまだ農林大臣をしておりまして、あのとき、吉田さんより廣川弘禪のほうが偉いんじゃないかと思って大変心配したこともあるわけであります。それからしますと、今では農業というのは、日本の経済界、俗にいう産業の中で蚊帳の外になりつつあるということを痛感するわけであります。  確かに、かつての日本の農業というのは、天照大神の時代から昭和37年までは米が足らない時期でありました。そのころは、農民というのはすごい力があったといいますか、米を供給するということについては大変な誇りを持って、日本の国家の一大事にも貢献をしてまいりました。しかし、残念ながら最近のラジオも──朝起きるとラジオが「農家の皆さん、おはようございます。きょうも一日御苦労さまです」と、こう言ってくれたのは昭和32年ぐらいまでだったと私は思います。  私は小学校のときからあまり仕事は好きじゃありませんでしたが、しかし田んぼだけは食うためにやらざるを得ないということで、田植えでも稲刈りでもみずから先頭に立ってうちのをやったものであります。常に農家は人手が要りました。早乙女だとか稲を刈ってくれる人を頼まなきゃなりません。そうすると、うちの者が田植えを早くやらないと早乙女さんがついてこないんですよ。だから、遊ばせておくのは嫌だから一生懸命植えると、大変多くの田んぼが植えられるし、稲も一束刈るごとにお金を決めて渡した。かつてはそんなことをやっても農業があったわけであります。  しかし、過去、農業が疎外されるようになった世界の産業革命で、そして終戦の後も、大変高度な社会構造の中で、産業というものが優先されてきました。しかし、昭和50年代──多分この中で大永副知事は、新庄の嘉藤という農地林務部長を知っていますね。彼は東大のエースでありまして、富山県でこういうことを言ったもんですよ。「日本の産業の中に位置づけしていく農業というのは、近代化をするためには、大きい面積をつくるのが農業の基本だ」と。これは彼の主張じゃなくて、東大の農業政策の基本でありました。  しかしそのころの京大は、日本の農業はなぜあるか。近代社会を迎えて、産業の不況に対応するのは農業のキャパシティー。俗にいうコンデンサー役を務めて、産業が忙しくなったら「三ちゃん農家」にして、不況になったらみんな農家で抱えておくと。これは日本の不況の短さからして、ヨーロッパのように最低 100町歩使うような農家では、この問題は当然解決しないというのが、そのころの日本の農業に対する厳しい東大、京大の激論でありました。  さすがに今は、米の値段が下がりました。昭和52年に水田再編対策を入れて、そして62年まで米の価格を上げてくれたんですが、きょう現在は、昭和48年の米の価格に下がりました。昔はよく52年の値段に返ったと言いましたが、そのころ大学を出て県庁へ入った人は、初任給で約5万円、4万円余りもらっていたんですね。最近、役人も給料が下がる時代になりましたが、それでも初任給は大学出で18万から20万はあたると思います。だから、給料が5倍になりながら、農業は最終的には昭和42年の価格、実働生産者の手取り価格が1万6,000 円になるかならないかというのが、今の農業の実態であります。かつては2万 7,000円までいきました。  昔、農地解放とか、いろんな日本の国の制度がアメリカ軍によって変わされましたが、終戦後は、田んぼは耕作面積が最高で3ヘクタール、3町つくることができるんだよ、それ以上はつくってはだめだと。そしてまた保有地、俗にいう小作地は、1町歩を上限として保有することを許すと。だから一般農家は、農地が解放されて3町持つと、子供を大学へ上げて家が立派に建ったものであります。今では、つくるたびにお金が減っていくというのが日本の現状であります。  そういう意味で、今米政策が大きく変革をしました。国は2020年までに、農業は国の管理から外し、農協も要らないものだという発想で、特に独禁法に基づく金融、共済は分離していくというような大変な時代に変わりました。農業を守るのは農家自身だというふうに、私たちもついそういうふうに思いがちでありますが、農協があって農家を保護していくというやり方こそ──戦後の日本の国民に食料を与える一つの手段として国がつくった農協でありますが、残念ながらこの農協も要らなくなってくるというのが、現代の農業に対する国の考え方であります。  こういうふうに世の中が変わってくるのは、だれがしたんだろうと。事実上、需要と供給のバランスというものが大きく働くわけでありますが、小泉君が日本の内閣総理大臣になってから、日本の経済、そして農業も、農水省自体が狂っちゃいまして、こういうような考え方になってきました。  今までは、減反ということで金を多く払ったから、国民の負担が多いということで、大変誹謗を受けた中で行政改革をすると。自民党でも一番気にしております高速道路の問題なんかというのは大変なものでありますし、まして、後で質問しますが、市町村合併というのも実にばかげた話。そういうことを考えますと、私はこの前から東京へ行って、この問題を農水省や国とけんかをして毎日やっておったんですが、それを見て実にばかげた記事を書いた新聞社があります。それは富山新聞であります。  項目はどう書いてあるかというと、国会議員に農協が圧力をかけて自分たちの要求を通そうとすると。そしてまたそれは、わしらが陳情に行ったり議論することが何か悪いみたいな書き方だ。寺田君、あれは吉田の整理がだめだよ、ああいうことを書いて。今度は直そうと思え。  その項目の中に今度はどういうことが書いてあるかというと、農協はばかじゃないのかと。米が売れなくて弱っている時代に、こんなところへ来て議論するより、もっと米を売ることを考えろと、こう書いてあるんですね。それも、そういうことを言ったのは県の関係者と書いてありました。これは、富山新聞の組織を調べますと、東京の記者の今村君が書いておりました。この間も飛田社長にはこの問題でどなり込んでおきましたが、あのとき県知事はおりましたね、農村何とか賞のとき。  県関係者で、「おまえら何やっとんだい。暇あったら米を売りに来い」。これ、本当に真剣に──今米を売るのは、集荷をやるのは農協、それを扱うのは経済連。みんな私の責任を言い、誹謗している。どれだけ一生懸命富山の米を売っているかを知らない富山新聞なのか。富山県関係者だということになると、井田君、これについてはどういうふうに思いますか。 169 井田農林水産部長 今委員のお話を聞いておりまして、高い見識、知識豊富なところを、改めてほれぼれとして聞いておりました。  富山新聞のお話でございますが、私もその新聞を見させていただきまして、先生の国に対する働きというのは、国による生産調整を廃止されれば、本県農業といいますか、水田農業が危ないという強い思いと、米政策の見直しを、意欲を持って営農に取り組めるような内容にしてほしいという県内の生産者の熱い思いを、委員が先頭に立って代弁されて、国に強く働きかけられたものというふうに認識しておるわけでございます。  県としてもそういう思いは同じでございまして、そういう観点から農水省に、国に提案をしてきておるわけでございまして、そういうことから、先生のそういう国に対する働きかけを高く評価しておるということでございます。  あわせて、その記事の中に「県関係者」ということが確かに書いてありました。今の委員の話を聞いていると、県関係者イコール県職員というような感じでございますが、私も含めまして、私の知る限り、県職員で新聞社から取材を受けた者はいないというふうに思っております。 170 江西委員 寺田君が答弁台に立ってもいいんだけど、こういう事実にないことを書くということは、いかに新聞というのは一般の心、一般の思いを正しく書かないか。俗にいう人の情けもあれば、チクッて内部告発しておもしろく新聞に書いて、ある意味では皆さんが一番迷惑していますね。そういうことを含めて、やはり事実は事実として書くように、ひとつ新聞社の皆さん方にお願いをいたしたいと思います。  かつては農業によって国を支えました。だから私はいつもこう言っていました。農業があるから日本の衣食住の食を満たすことができていると。今や日本の農業というのは、扶養家族になってしまったという感覚があるわけであります。しかし、まだまだ農業は捨て切れない強みがあるわけであります。それはなぜかというと、多目的な利用というものがあるからであります。最終的には農地を守る。河川を守る。いろんな都市機能、そして農村機能を整備しているのは農業以外にはないということです。  特に一般の方はそんなことは感じませんが、私のところでも、2年間同じところを減反すると、草が大変多く生え、木ができるんですね。これをみんな放棄したら、皆さん、どうなると思いますか。  残念ながら、日本の米は今1俵、新潟の米なら3万円もしますが、中国の米は1俵 700円から 500円です。これを本当に自由化してまともにやったら、日本の農業というのはあり得るわけがないんですね。皆さんよく地産地消で食べれ食べれと言ったって、奥さん方は今不景気だから安いものしか買わないというのが現状であります。自分たちの給料のものをとるという、生産の中において所得を掛けると、これは価格にならないと思います。  そういう意味で、これからの農業は日本の食料を守るということで、今のはやり言葉では「安心・安全」という言葉をよく使うわけですが、これは時代がすばらしい時代になったからこういうことを言うわけでありまして、一番大切なことは、日本の国土を守るのはだれかということを皆さん方に問いかけたいと思います。  皆さん方、特に行政はすべて、道路とか河川を守るために金を使うかもしれませんが、面的にある農地やそういうものに対して、これが何かあった場合、それはとてもじゃないけどできないというのが日本の今の実態だろうと思います。仮にこのまんまでいったら、将来農業を放棄する者がたくさん出てくる。特に富山県は集落営農、後継者対策という問題に力を入れていますが、集落営農というのはもう限界であります。  日本の合い言葉である集落営農、そして後継者問題──皆さん、日本の農業というのは、昔は一つの産業でありました。これ以外に産業はなかったんです。だから部落へ行くと、120 軒の部落は全部農家。地主だとか小作だとか自作農だとかいろいろありますが、しかし、米だけを生産する手段として、集落が全部寄って用水を直したり、橋をかけたり、そういうことを部落でやっておったから、これからも部落でそういうことができるんじゃないかと。これはだれが考えた発想かわかりませんよ。よく県知事は集落営農、後継者問題ということを言うんですが、本当に今、これから集落営農が成り立つと思いますか。  富山県は、吉田実先生が富山県の工業立地ということで昭和30年代に大変力を入れまして、工業を盛んにしました。そして工業に働く人が増えてまいりまして、先ほど言ったように、農業をやめて働く人、勤める人……。しかしながら、バブルの時代がありまして、地面が将来高くなるだろうということで歯を食いしばって農地を守ってきた人たちがいる。そういう中で富山県は兼業率が93%になったわけであります。  しかし実際は、簡単に言いますが、各地で部落の集落営農が今崩壊しつつあります。それはなぜかというと、兼業農家が進んでくると、だれも働きたくない。あきらめてしまうんですね。そうすると、人を駆り出そうにも出てこないというのが現状であります。こういうふうに、近代の農業というのは、先ほど東京と京都のけんかであったように、企業化していく必要に迫られて、集落営農で農業をやるという時代は、そう力を入れてもできないということであります。  特に後継者問題を皆さん方はどう思うか知りませんが、後継者になってもらうためには、少なくとも年俸 1,500万以上、 1,000万以上はないと、とてもじゃないけど農業というものに興味を持つ人はいないと思います。実際、今、特に野菜関係をつくると、実に大変な労力であります。ネギを一つつくっても、植えて、取り入れてそれを結束し、1万円もうけるために夫婦で夜中の3時までかかるのが現実であります。  こういう中で日本の農業の将来をどう支えていくか。それこそ、これから日本の国土を守るためにも力を入れていかなきゃならないと思っておるわけでありますが、部長、何年ほど農業は続くと思いますか。 171 井田農林水産部長 何年農業が続くかという前に、集落営農組織について少し委員のお考えがあったかと思いますが、集落営農組織につきましても、内容についていろんなレベルがあるんだろうというふうに思っております。ただ、最初のスタート時の協業化という組織では、おっしゃるとおり兼業率が高い中では、ウイークデーにはなかなか人が確保できないという問題はあろうと思いますが、その次のレベル、要するに中核農家に農地が集中するような方向へ持っていって、最後は法人化というところをねらっておるわけでございまして、何も協業化のレベルでそのまま集落営農組織をというふうに思っておるわけではございません。  今度の米政策改革大綱におきましても、集落営農について、これは一定規模以上ですが、経営安定対策の対象にしようということになっておるわけでございまして、そうした意味からも、私は今後とも集落営農組織、要するに法人化を目指した集落営農組織の設立というところへ引き続き力を入れていきたいというふうに思っておるところでございます。  それと、米政策改革大綱で何年ぐらい農業はもつのかという質問かと思いますが、御案内のとおり、米大綱そのものは、先ほど委員おっしゃったように、平成20年度までに農業団体、農業者が主体となった生産、需給システムに切りかえるんだということがはっきりしておるわけですが、それ以外の生産調整に係るメリットシステムといいますか、あるいはまた経営安定対策については、具体の詰めはこれからということでございますので、そういう具体の内容が見えない段階では、なかなか何年云々という議論はできないのかなと。  仮に、私たちが心配しておりますような米余りの状態がこれまでよりもさらに続くと、助成措置が総額としてかなり厳しくなると。国の厳しい財政事情等々も反映して助成措置が減るとなれば、本県水田農業にとってはかなり厳しい環境になるんだろうという思いではおります。 172 江西委員 米をつくらせる──つくるということは、それを基盤にして生活を支えるのが産業であり事業なんですね。今、日本国内における共通の悩みというのは、スーパーへ行ったらわかると思いませんか。また、ヤマダ電機へ行ったってわかるんですよ。店頭に日本の製品が並ばないというのが現実の世界であります。行政が地産地消、国家でつくって国家で消費しようということをよく言うわけでありますが、それには価格というものが大きい問題として残されているわけであります。  そういう意味からしまして、農業問題の抜本的な処理の仕方とすれば──昔は、米の値段だろうと何だろうと、所得補償方式と言ったんですよ。今はそんなこと言いませんよね。だから、ますます競争が激化するわけであります。そうすると、だれが農業をやるかと。今は甘んじて農家が機械を買って、使って、それをやっていくということによって、国の総体的な恵みがあるわけであります。  日本の農業人口というのは6%でありまして、それに付随する産業、運送、そういうものを入れますと、日本の農業に従事する人間というのは大変多くなりまして、大体23%ほどが農業という産業に従事しているわけであります。  しかし、世界の国はそうじゃないんですね。アメリカの農業人口は幾らおると思いますか。たったの3%です。これに付随する企業、農業でままを食う化学工場だとかトラクター工場とか、そこでは26%の人たちが働いていると。だから当然、日本の農業に働く人たちは、面積的に小さいから、もっともっと減っていくもんだと、こういうふうに判断をするわけであります。  これからは、太陽エネルギーによる変革の農業だけではだめだと。少なくとも、この太陽エネルギーを使って十分にエネルギーを確保していく方策を県あたりで勉強してもらいたいと、こういうふうに思うわけでありますが、風力発電であり、また太陽電池の時代もそう遠くはないと思っていますので、農林水産部のほうではそのへんの勉強もして、よりエネルギーの抽出をしやすいような、そういうものを編み出す努力を、富山県全体、国を挙げて全体で、農地によるエネルギー供給ということを考えていただきたいというふうに思うわけであります。  今、品種の改良、それから良質米ができないということで、田植え時期の設定など大変多くの問題を抱えるわけでありますが、近い将来より、やはり20年、30年先を読んだ、農業に夢を持てるような農業政策を考えていかなきゃならないと。目先のことじゃなくて、長い長い先に夢を見ながら進めるような、そういう農業を富山県で考えて──これは国を挙げてでも、人類のためにも考えてもらいたいと思います。井田先生におかれては大変すばらしい答弁をお願いしたい。よろしくお願いいたします。 173 井田農林水産部長 とにかく農業は我々の命をはぐくむ生命産業であると。ましてや米につきましては、消費量が年々減ってきておるとはいうものの、日本人の主食であるということは間違いないわけでございまして、それと加えて、先ほど委員おっしゃるように、農業、水田は多面的な機能を持っておると。良好な景観の形成でございますとか水源の涵養、国土保全等々いろいろ多面的な機能を持っておるわけでございます。それと加えて、一度荒廃した田をもとに戻すというのはなかなか困難なものであるということと、自然の気象条件に基づいて栽培するということから、いつどういうことが起きるかわからないということ等々考えますと、市場原理一本やりでいっていいのか、これは甚だ疑問だろうというふうにも思うわけでございます。  そうした中で、これからの農業の思いはということなんですが、やはり米余り──米の値段が安くなったからといって人の口に入る主食の米の消費量が増えるわけじゃございませんで、そうした観点から、米以外のいろんな作物は工夫してつくっていかなきゃならないだろう。そういう中でも、他の作物をつくるときは、外国産といいますか、輸入物の価格の圧力というのは避けて通れないわけで、そういうところは国のいろんな助成措置等も引き続き十分に確保したいと思うわけでございます。  それと加えて、自然の気象条件に左右されるだけじゃなくて、一次産業から限りなく二次産業に近い形での農業というものを構築できないか。そういう観点から、今委員おっしゃったような太陽エネルギーですとか風力発電ですとか、そういうものを使いながら低コスト化を図りながら、米以外のものでも生産者が展望を持ってといいますか、意欲を持って取り組めるようなものにしていきたいというふうな思いであります。 174 江西委員 農業問題はもう1点、これは知事にお聞きしたいと思います。  これだけ米が余っているのに、ミニマムアクセス米というのが80万トン余り入るんですね。今は70万トンかな。日本の米が余っているのに、なお外国から米を入れることについて、私たちは大変抵抗しました。自民党も、ミニマムアクセス米は入れずにおこうということを決議するといって私のところへ案内があったんですが、多分決議しているけども、私は小委員会ぐらいで決議したってだめだから本会議で決議せいと言っておったんですが、なかなかそこまでは……外圧に負けております。  知事、外国の米を今さら余っている米の上へ乗せるということについて、富山県民の意向として、農家を守ってくれいうて、みんながそれに賛成してくれるかどうか僕はわかりませんが、安い米のほうがいいということを──それでも外国のミニマムアクセス米はそう値段が変わらないわけでありますから、どうかそのへんは知事、しっかりした考え方で反対してもらえるかどうかということをひとつお聞きしたいと思います。 175 中沖知事 先ほどから江西委員のいろいろな意見を聞いておりまして、私も大学時代に私の周りに経済学部の学生諸君なんかがおりまして、米価というのは政治の集中的表現なんだということを言った者がおりました。現在米価が随分変わってきておりますけれども、やっぱりそういう感じも実はするわけでありまして、先ほどからいろんな意見を聞いておりますけれども、昔を思い出しておったわけであります。  それはともかくとしまして、農業はやっぱり国の基でありますから、また生命産業でありますから、富山県の農業につきましてもやっぱり発展させていかなきゃならんというふうに思いますし、また日本全体としても、食糧安保の観点から、もう少し農業が重視されなきゃならんというふうに私は思っております。現在は不当に農業が軽視されておるというふうに私は思っておりまして、やっぱりこれではいけないというふうに思います。  アメリカでも、あれは農業国家なんですね。中国でも、農業が安定しないと中国は乱れるわけです。ヨーロッパにおいても農業問題は基本でありまして、農業の問題というのはやはり国の安定の基礎であるということを、もっと国民に訴えなきゃならんというふうに思います。そういう場合に、米の輸入の問題などがあるわけでありますけれども、この問題はやはり、食糧安保の観点からいろいろ議論されるべきではないかというふうに私は思っております。  いろんな議論があると思いますけれども、みんながいろいろ議論をして、そして日本の農業を守るという観点からこの問題は解決すべきではなかろうかというふうに思っております。具体的にどうしていいか、私もまだ明確な意見がありませんけれども、ぜひ日本の農業が国の基としての重要な産業であるということをもととして、ひとつ発展してもらわなきゃならん。特に富山県では、いろいろな議論があるかと思いますけれども、これから農業が発展するように全力を尽くしていかなきゃならんという気持ちでおりますので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
    176 江西委員 衣食住のうちの食ですらこれくらい問題になっている時代であります。将来の国民の豊かな暮らしを守っていくためには、やはりそのセクション、セクションで目いっぱい力をつけて頑張らなきゃならないと思います。知事の見識あるすばらしい御意見を聞きまして大変心強く思っております。何とぞまた予算のほうをたくさんつけていただくようにお願いをしたいと思います。  米問題は、本当はまだまだ言いたいことがいっぱいあるんですが、今度は少し明るい話であります。  田中耕一氏のノーベル賞受賞は富山県にとって大変すばらしいことであるわけでありますが、今富山市で悩んでいることが一つあるわけであります。それは学校の統廃合の問題でありますが、この話をここでするということは僕はあまり好かんわけであります。  ノーベル賞が出ないうちは、安野屋、総曲輪、八人町を統合して安野屋へ学校を持ってくるということが決まったんですが、ノーベル賞をもらうと八人町が手を挙げて、ほかへ行かんと、田中耕一さんが出た学校だからここに学校を置きたいという意見で、今富山市は大変な問題を起こしているわけであります。しかし私は、ノーベル賞をもらった功績というのは、やはり富山県はたたえてやるべきだろうというふうに思います。  今そこに富山市会議員の市田君が来ております。彼は教育委員会の席上で、今度八人町小学校を田中記念館にして、少年たちに科学の夢を与える、そういうものにつくりかえて記念館を八人町でつくったら、一石二鳥でうまくいくだろうという考え方を言っておるわけであります。  きのうも市長とこの話をしておったら、「そら、おらとこばっかりでやれいうたって、ちょっこりぐらい国や県から補助金ぐらい出んもんかのう」というのが森市長の考え方でありましたので、どうか県知事、こういうことはこの後たくさんあるほうがいいのでありますから、八人町小学校に田中記念館なるものを建てて、文学もそうでありますが、科学を発展させる基盤にしていきたいと思いますが、どういうものでしょうか。富山県も、金がないったって、それくらい出したってたかが知れていますから、みんなから集めてでもやりたいなと私は思っているのですが、知事どうですか。 177 中沖知事 田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞されまして、これは世界的な偉業でありますので、本当に心からお祝いを申し上げたいと思っております。また、富山県にとりましても大変名誉なことでありますし、富山県民、特に若い皆さん方に大きな夢と希望を与えていただいたというふうに思っております。そういうこともありますが、この田中さんの偉業を後世に伝えていくということは非常に大事なことであるというふうに思うわけでありまして、今、八人町小学校を田中記念館にという御提案もありましたが、一つの考え方であろうかというふうに思います。  ただ、ちょっと率直に申し上げなきゃいけませんが、実は大沢野町に利根川進先生が──これはノーベル医学・生理学賞を受賞された方でありますけれども、小学校1年生から中学1年生まで生活をされておられました。そういうこともありますので、大沢野町におきましても、前から記念館のいろいろな話も実は上がっておるわけであります。そういう問題があります。  それからまた、今度は神岡町の関係で、小柴さんがカミオカンデでいろいろ研究されてノーベル物理学賞を受賞されたということでありまして、新聞でもごらんになったと思いますが、ブリ街道、現在はこの国道41号がまさに「よい」という国道でありますけれども、出世街道、ノーベル街道になってきたわけであります。神通川もまさに神が通る、そういうノーベル川になったわけでありまして、富山県にとりまして大変いいことが21世紀早々出現したということでうれしく思っておりますし、これからの富山県の人づくりにぜひこれはつなげていかなきゃならんというふうに思うわけであります。  でありますから、今のいろいろな御意見は、これから県民の間でも出てくるというふうに思いますし、田中さんや利根川さんの偉業をたたえるためのいろいろな事業をどのようにしていくかということを十分ひとつ御検討いただきたいというように思っております。  なお、先般、名誉県民の選考委員会におきまして、県庁の、入りまして向かって右手側に、富山県の人づくりの顕彰碑といいますか、人づくりの宣言碑をつくったらどうだろうかという意見もあるわけでありまして、そうしたいろんなことを今後検討していくべきではないかというふうに思っております。 178 江西委員 きのうテレビを見ていたら、小学校のときの担任の先生が、田中君というのは大変頭がよくて、水の中で磁石にくっつけたら早過ぎて困るので、田中君が油の中でその実験しられ言うて、それでやったら遅うて大変うまくいったと。あの先生は、僕はちょうちん持ちみたいような気もするんです。何でもつくろうと思えばつくれるわけでありますが、それくらいに科学する心をこれからは──発見した人はもう終わったと言ったら語弊があるかもしれません。これからまだまだあるかもしれませんが、やはり小学校時からそういう環境をつくってやる。  ブリ街道じゃありませんが──僕はあとのブリは知りませんよ。富山のブリ1匹しか知らないですからね、田中さんちの。どこでたくさん出てもいいんですが、そういう意味では、発祥の地、勉強の地ということで、子供たちが「ここで田中さんが勉強しておったんだ。じゃあおれも一生懸命やろう」という、そういう気持ちを起こさせるような記念館、そして学習できるところをつくってやるのが、私たち富山県民の、ある意味では務めだと思います。  だから、知事さんに、富山県だけでやれとは言いません。国へも行って取ってこなきゃなりませんし、富山県の財界、そして一般住民の、このすばらしい夢を将来に託せる、そういうものを八人町の地につくってやりたいと思いますが、これは知事に言ってもわからない。教育長、どうだい、少しぐらい銭を出さんか。 179 福岡教育長 ノーベル賞の受賞が決まった翌日に委員から早速お話を伺いまして、そのときは、後輩の受賞を喜ぶというお話と同時に、今後についてもっとしっかりやれという叱咤激励をいただいたということがございまして、その後、多くの方からそのようなお話がたくさん来ておるわけですが、まず一番最初に委員からお聞きいたしました。  そしてそれを受けまして、小学校長会、中学校長会、高校校長会といった研修会が立て続けに開かれたこともありまして、その際に多くの方から寄せられた御意見を紹介をして、そして皆さんを激励したところであります。要は、田中さんに代表される科学技術、あるいは政治、経済、それから芸術、文化、スポーツ、いろんな分野があるわけですが、多くの子供たちが力強く羽ばたいてほしいと、そのための努力をしようじゃないかということを訴えてきておるわけであります。  今せっかくの御意見でありますが、富山市の話でありますので、まだ富山市のお話を全然聞いておりませんので、そういったことも十分お聞きをしてみたいと、そう思っております。 180 江西委員 この際、かつての進学県であった富山県──いいことか悪いことかは別としても、向学心に燃える、そういうものをつくってやるのが、これから育っていく子供たちへの私たちの務めだと。やはり夢を限りなく与えていきたいと、こういうふうに思うわけであります。  もう時間もなくなって困ったわけでありますが、市町村合併の問題であります。  ここ何十年来、地方自治をしっかりさせなきゃならない、地方分権で地方に権限を譲渡しなきゃならないということを国を挙げて言ってまいりましたが、最近何か方向づけが変わりました。  その中で、この間、私は国際基督教大学の西尾教授の話を聞いて大変すばらしい教授だと思ったんですが、何か今あの人が言っていることは大変恐ろしい。少なくとも小さな町や村はかっつぶして、強引に強制的にでもでかくしろということを彼は論文として発表しているわけであります。  この点について、この間から富山県の議論を見ますと、この前もいろんなところで議論をしてまいりましたが、だれが統合・合併するのかという基本的なものが何か横に置かれて、合併ありき、それがすばらしいことだという考え方に変わってきておるような気がするわけであります。確かに、お金がないから役所をつぶしてしまって、小さい村だとか小さい町は、議員も要らんし、村長も要らんし、町長も要らんと。そして、でっかくすれば国から補助金があたるとかあたらないとかいう、それだけで……。  「小さいながら楽しい我が家」という言葉が昔からありますね。こういうすばらしい、小さくても自主性を重んじて自分たちの力で町を運営していこうというなら、僕はそれは認めるべきだと思うんですが、今の考え方からいくと、これは……。  西尾氏の意見──この間、地方議員の研修会で彼はうまいこと言いましたよ。議院内閣だから総理大臣に自民党は全面的に一つになってやるんだけど、地方議会は、県知事は公選で出る、議員は公選で出るのだから、基本的には執行部と議員は野党の側であるべきだというのが西尾学説でありました。また、こういうことも言いました。今、国の法律に基づいて政令、要綱、要領を出していることについては、地方はそれを、自分のところが都合がよければ受けてもいいけど、都合の悪いことは拒否しなさいと。これもはっきり言う先生だということで──あのときは議長も副議長も行ったな──大変感銘を受けて、周りに自民党の議員さんがおらっしゃったけど、なんちゅういい先生だと思って帰ってきたら、こういうことを書いている。  これを見ると、1938年、東京生まれで、今64歳と。これはやっぱり戦争の苦しみを味わっていない新しい現代人の発想ではないか。合理主義を求め経済論理だけで、人々の心を理解できない発想が今の統合・合併の基本になっていると、こういうふうに感じ取ったわけであります。  この前からの県知事の話は、「いや、おらとこはそんなことは言うとらん。自主的にやってもらうのが建前だ」と、こういうふうに知事の答弁を何遍も聞いたわけでありますが、2、3日前のテレビを見ましたら、副知事が砺波市へ行ってがんと座って、合併せいせい言うとったように──言うたか言わんか声が入っていませんでしたが、あれはどうしてあこへ行ったのか。知事の言う趣旨に反してあれはおかしいんじゃないかと思いまして、先ほど外で経営企画部長に聞いたら、「江西さん、それは違うとる。ありゃ、あっちから呼びに来たから、おらとこの副知事は嫌々行ったんだ」と、こういうような話をしとったんです。  だけど、新聞社の皆さん方に聞くと、特に北日本新聞、富山新聞に聞くと、自治省からどうしても、先頭になって合併する記事を、キャンペーンまでやれということで、「わしら嫌々やっとる」と言う記者もおりました。岩本君のところでもばんばん書いております。富山新聞でもばんばん書いています。  そこで、富山県が本気になって合併は自分たちでやりなさいと言っているのに、これは完全に予算がないから一つにせっしゃいと。私は、貧乏でもいい、小さな我が家を守りたいというのが基本的な考え方なんですね。そういう意味で、なぜ副知事がテレビにまで出て合併を促進したのか、このへんについてひとつお聞かせ願いたいと思います。 181 大永副知事 砺波広域圏の合併につきましては、先月の22日に砺波市を除く9町村の方々が県庁においでになりまして、砺波広域圏の大同合併をしたいんだと、それで県の協力をお願いすると、こういう要請がございました。それを受けまして私は29日に砺波市長と会ったわけですが、別に合併を強制するとか、合併せよということで行ったわけではございません。  砺波広域圏は、昭和45年に広域行政を始めまして、富山県内のモデルの広域圏でございます。消防あるいはごみ処理、いろいろな面で共同で処理をしておるわけで、行政圏としては非常にまとまっていると。大同合併するのは望ましいという考え方もありましたので、そういう助言をしてまいりました。それで、別に合併を強制したり、あるいは勧告したり、そういうつもりじゃなくして、県の考えを助言したと、こういうことでございます。  先生おっしゃるように、県は、市町村合併は、住民そしてその自治体に主体的、自主的に判断してもらうのが原則で、介入しないというのが今までの基本的な考え方でございますので、それは変わっていません。 182 江西委員 今の話を聞きますと、県は関与していないんだということ、これは明言されたから、私はそのように信じます。しかし、これからはもっと大きな合併がありますね。県の合併を近い将来やれという、そこまで進んでくるような考え方が国にあるわけでありますが、経営企画部長、私はしっかり自分の考え方で合併をすべきだということを指導するようにしてもらいたいと思いますが、できますか。 183 江畑経営企画部長 お答え申し上げます。  まず前提としまして、今、市町村が置かれている状況を見ますと、先ほどからお話しございましたように、非常に厳しい行財政環境というものがございます。また、一方で地方分権というお話もございまして、やはり住民に一番身近な市町村で住民に身近な仕事をできるだけたくさん行うと。これからは、環境の問題でありますとか教育の問題、あるいは福祉──これから少子高齢化社会がどんどん進んでまいりますので、そういう事務も増えてまいりますので、市町村の行財政基盤の強化というのは不可欠だという前提で、市町村が自分たちの将来をどうしていくかということを真剣に考えていただくことが大事でございますし、そのために合併が必要なのかどうなのか、それはまさに住民と市町村が主体的に考えていただくということが重要だというふうに考えております。  先ほど副知事も答弁いたしましたが、砺波につきましても、これまでの広域行政の成果でありますとか、これまでのいろんな歴史、各市町村同士の行政上のいろんなつながり、そういうことを考えたときに、やはり9町村が、10で一体としてこの地域をまとめたほうがこの地域の将来としてはいい方向に発展するんだと。そのために何とか10でまとめたいというのにもかかわらず、なかなか砺波市が同意しないと。そういう中で県に要請があって、切実な思いで県に助言を求めたということでございますので、基本としては、その地域をどうしていくかというのは、その市町村が主体的に、20年先、30年先、50年先を見て、将来どうしていくかということを十分考えていただきたいというふうに思っているところでございます。以上でございます。 184 横田委員長 江西委員の質疑は以上をもって終わりました。       大上紀美雄委員の質疑及び答弁 185 横田委員長 大上委員。あなたの持ち時間は60分であります。 186 大上委員 きょうの最後の質問者になりました。今ほどは江西さんの大変明るい江西節の演説を5人目の質問者で聞かせていただきまして、皆さん少し心にゆとりを持っていただいたんじゃないかなと、私も後ろにおりまして楽しく聞かせていただきました。農業問題にはさすがに御熱心であるし、そのお気持ちが質問を聞いていましてびんびんと響いてまいりました。60分という時間の中で、江西さんにしてみれば60分全部農業問題をやりたかったんではないかなと、こう思うくらいに大変情熱を傾けておられまして、ある意味では敬意を表する次第でございます。  予算特別委員会を10時から1人1時間で1日6名やるというのはやはりちょっとえらいことだなと、大変疲れてまいりました。知事さんや皆さんも疲れられたでしょうし、議員のほうも、またマスコミの皆さんも大変疲れたんじゃないかなと思っております。  きょうは2点に絞りまして少しお尋ねをしたい。  経済的な不況で、また師走を迎えまして、県民も大変厳しい生活環境にあるわけですけれども、きょう私のお尋ねしたいことは、そういう背景もあるかもしれませんが、県民の中で、弱者の立場で救いを求めている人たちのことについて少しお話を申し上げて、県の対策、体制といったこととのかみ合いが、果たしてうまくいっているのかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。  1点は、ドメスティックバイオレンス防止法というものが昨年の10月13日に施行されたわけでございます。これは短い言葉であらわしてあるわけですが、防止法の正式の法律の名称は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」ということでございます。  この法制定に至るまでの過程を少し見ておりましたら、国会で当然議論されたわけですけれども、各政党の女性国会議員の代表の方々1人ずつが出られて法案をまとめていかれたと。当初は「配偶者」という言葉ではなくて、「夫からの暴力を防止するための法律」ということでスタートしたようでございますが、議論をしているうちに、昨今の日本の現実は、夫からのみ妻が暴力を受けるということだけではなくて、逆に妻から夫が虐待を受ける、あるいは死に至らしめられるような事件も最近新聞に出ておったわけでございまして、その意味では「配偶者」という言葉にしたのは妥当だったのかなと、こう思っておるわけでございます。  そこで、昨年10月13日にできたばかりの法律でありますし、まだ1年ちょっとしかたっておりません。まず、富山県としてDV防止法制定の背景、あるいは経緯、またその法の目的、そして昨年10月13日にこの法が施行される以前の富山県における配偶者からの暴力等の事例について、まず関係者からお答えをいただきたいと思います。 187 川口生活環境部長 まず、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の背景でございます。  DV法というふうに簡略に申し上げていきたいと思いますが、配偶者からの暴力は犯罪となる行為でもありますが、被害が潜在化する、陰に隠れるといったようなこともありますし、そういったことで被害者の救済が必ずしも十分に行われてこなかったという点。それから、多くの場合その被害者は女性ということでございますので、こうした暴力行為等が女性の人権を著しく侵害をする、ひいては男女平等の実現の妨げになるといったようなことなどがその背景にあろうかと思っております。  また、委員もお触れになりましたけども、制定の経過としては、まずは、女性に対する暴力の問題が平成12年の国連の特別総会、女性2000年会議で大きく取り上げられましたり、そういったこともありまして、国際的にこの問題の所在が位置づけられたといったようなことがございます。  それからさらに、国では男女共同参画審議会でいろいろ審議が行われまして、「女性に対する暴力のない社会を目指して」というもの、それから「女性に対する暴力に関する基本的方策」ということで、2つの答申が出されております。  こうしたことを受けて、国の男女共同参画基本計画の中に、夫・パートナーからの暴力への対策の推進といったようなことが位置づけられました。  こうした中で参議院の共生社会に関する調査会から法案が提出されたもので、議員おっしゃった時期に成立をいたしております。まさにこの法律の目的はその題名そのものでございまして、配偶者からの暴力の防止とそれによる被害者の保護でございます。  それから次に、もう1つありましたのは、この施行前の県内のDVの実態でございますが、これは平成11年の9月に、県のほうとして男女計 1,200人を対象に調査をいたしております。この調査の名前は「男女協同社会に関する意識調査」ということでございますが、ここでは、「夫やパートナーの男性から心理的暴力や身体的暴力について被害を受けたことがある」と答えた女性が28.3%でございました。実はこれは男女から聞きましたということですが、男のほうには「そういうことをした経験があるか」というような聞き方をしていまして、男性のほうは、そういう加害者の立場になったと感じておるのが30%でございました。 188 大上委員 富山県でも既に法律ができる前からおおむね30%、つまり10人に3人はこのDV法にかかわる行為があったということを自覚しておるといいますか、そういう現実があったということでございます。  DVの関係機関とすれば、生活環境部はもとよりですが、厚生部、それから県警、広くいえば弁護士会、あるいはまた医師会、そういったところにまたがっていくわけでございますが、DV防止法に定められていることによって、既にある富山県女性相談センターが幾つかの関連の中心的な役割を果たすことに、昨年の10月13日施行後、県で決められたということですが、ことしの平成14年度に女性センターが女性保護事業概要というものを発表しております。  施行されましてから、県としてはどういう体制をとったのか。また、この体制をとって1年ちょっとたちますが、先ほど28.3%あるいは30%というお話がございましたが、施行された以降の受け付け状況、内容等についてお尋ねいたします。 189 川口生活環境部長 委員からちょっと御説明もございましたが、DV防止法では、都道府県は、被害者に対する相談、一時保護を行う配偶者暴力相談支援センター、法律上はそういう名前になっておりますが、そういう機能を法律上は婦人相談所の施設で果たすようにしなさいという規定がございます。そういうことで本県では、委員の御質問にもありましたけど、この機能を女性相談センターが果たすということに決めたところでございます。  また、さらにこのほか、県民共生センターの相談室におきましても、女性相談センターと連携してDVに関する相談を受け付けております。  相談の件数等でございますけれども、施行の13年10月から14年9月の1年間でございますが、まず女性相談センターでは 1,138件ございます。それから県民共生センターでは43件ということで、おっしゃるように女性相談センターのほうがメインということでございます。  それで、実はその内容ですが、DV防止法だとか制度の内容について質問するものもこの中に含まれておりますので、必ずしも全部が具体的な被害というわけではございませんけれども、特にこの中で生命、身体に危害が及ぶ暴力を受けておって保護を要するといったようなことで、一時保護までいったものが39件、それからさらなる暴力によって重大な危害を受けるおそれが大きいということで、裁判所のほうに保護命令を申し立てましたものが20件というような状況でございました。 190 大上委員 裁判所云々の20件というのは、後ほどお尋ねしようと思っている県警の扱いになるんだと思いますが……。  そこで、女性センターが平成14年度に出した女性保護事業概要を見ますと、相談件数が平成6年から平成13年まで急速に上がっていっている。それまではおおむねなだらかな相談件数で来ておるんですが、平成6年の 1,555件から平成13年の 4,543件ということで、我々県民から見ますと驚くべき相談件数の上昇であるわけですが、これはどうして急速に──もちろんDV関係のものだけではないということだそうですが、恐らく比例して増えておるんじゃないかと思いますが、部長はどのような見解を持っておられますか。 191 川口生活環境部長 委員御紹介の資料とはちょっと違いますが、夫の暴力等に関する相談について、もう一度私なりのデータを申し上げますと、11年度は32件、それから12年度は30件でございましたが、法施行後の13年度は54件ということで大変増えております。これは県民共生センターのほうのデータでございます。  それから女性相談センターにおきましては、11年度の95件、それから12年度は 458件、さらに法施行後の13年度は 749件といったような形で大変増加しておりますし、14年度に入りましても9月までに既に 597件の相談ということでございます。こういったことで、DVに関する相談は大変増えてきておるということでございます。  増加の原因ということでございますが、先ほど申しましたように、いわゆる陰に隠れていた問題が法施行によりまして顕在化してきたといったことが大きな要因で、もともと相当程度あったのではないかという理解を実はしております。  今後これについては、一つの法律でこういう保護の施策等がとられることで法律の理解が深まり、一面DVの行為が減少するということにつながれば非常にありがたいわけですけれども、今現在の段階では、当面まだその相談件数の増加は続くのではないかなというふうな理解をしております。 192 大上委員 潜在的に法が施行される以前からあったと、それがたまたま顕在化してきたのではないかなということですが、ある専門家に言わせますと、多分にバブル崩壊後の世相の暗い変化というものも家庭内に影響しておるんではないかという意見の人もおられますので、その点を付言しておきます。  そこで、そういった方々が、先ほどおっしゃるように富山市の花園町にある県女性相談センターへおいでになるわけでございますけども、その女性センターには職員の人たちが、現在、所長を含めて、兼務している人を外すと5名おいでになるわけです。この職員の方のことなんですけれども、5名おいでになって、所長を除きますと実際の職員は4名。あと臨時職員が電話等の相談のために交代で出てこられる人がおられますが、正職員は4人おいでになる。しかし、そのうち1人は実質的には最初から県民共生センター「サンフォルテ」のほうへ完全に出向状態だと。そうすると、3人でやっておられる。  この状況をいろいろ聞いてみると、この種の相談所というのは、相談を受ける側は勤め人ですから時間があるかもしれませんが、相談に来る方々は24時間態勢といいますか、夜であろうと昼であろうと、あるいは電話の場合でも夜中でも電話をかけるような事態がある。そういった被相談者のことを考えた場合に、実際の職員、あるいは電話の相談、あるいはまた土曜、日曜、祭日等の態勢はどうなっておるのかお尋ねいたします。 193 阿部厚生部長 女性相談センターの相談員の態勢についてのお尋ねでございますが、これまでは平日日中に4名の女性相談員が配置されておりましたけれども、これに加えまして、本年度から夜間と休日に電話相談員及び宿日直指導員を配置いたしまして、年間を通じまして24時間職員が常駐する態勢をとったところでございます。  それから、被害者の心身の健康回復を支援するために、週1回の精神科医の来所相談体制というのも設けたところでございます。  以上でございます。 194 大上委員 ことしからその態勢をとられたということですが、そうすると、例えばシェルターとしての一時保護者が、土曜、日曜、祭日にまたがっている場合に、いわゆる夜間に無人になるとかいうことはなくなったわけですか。 195 阿部厚生部長 はい。夜間に無人になることはございません。24時間常勤の態勢をとっております。 196 大上委員 それは、電話相談も兼ねて常勤ですか。 197 阿部厚生部長 電話相談員が日直等でずっと夜いることがございますが、24時間すべて電話の相談を受け付けるということではございませんが、そこに常勤者がいる場合は極力受け付けるという態勢になっていると聞いております。 198 大上委員 児童青年家庭課から出ておる資料の中に、「一時保護者がいるときに、あらかじめ契約してある人に都合を聞いて宿日直を依頼しておる。夕方などに突然一時保護の受け入れが必要なことがあっても、宿日直の契約者すべてが都合が悪い場合があった。また、一時保護者がいない日は、夜間・休日が無人となっており、県民が相談できない」と、こういう文章がありますけれども、これは違うんですか。 199 阿部厚生部長 失礼いたしました。そのようなことがございましたので、平成14年度、今年度以降は、年間を通じて全部24時間職員が常勤する態勢をとったということでございます。ことしからは、先ほど委員御指摘のような、夜中に駆け込んだ場合に職員がいないということはない態勢になっております。 200 大上委員 もう1点だけ職員のことで申し上げますと、いわゆる配偶者から暴力を受けて耐え切れなくなって家を出て、大抵小さな子供を1人、2人持っておる、あるいは3人おる場合がある。それで一時保護所、いわゆるシェルターに泊めてもらう。ところが、やっぱり生活の問題が出てくるわけで、中にはシェルターにいながらにして富山のハローワークへ仕事を探しに行かなきゃならないということもあったそうでございます。紹介をされて勤め先に面接に出かける。そうすると、子供を連れて面接に行けばまず採用してもらえない。したがって、その子供をセンターの、今部長がおっしゃった職員の人たちで預かっていなきゃならない。  ところが、片方で相談に来る人がおる、あるいはまた相談の電話が入るということで、言ってみれば、24時間態勢はできたのかもしれないけども、今申し上げたようなことは一例でありますが、予期せざることが幾つも出てくる。そういったときに、今現在おられる相談員の人たちは精いっぱい真心を込めてやっておられるようですが、人間、体が一つだということで大変悩んでおられるわけでございまして、このへんは、質問というよりも、部長にこの後また実態をよく調査していただいて、態勢を整えていただきたいと思っております。 201 阿部厚生部長 先ほどのお話の要旨は大変よくわかりましたけれども、女性センターは今24時間態勢をとって、さらに厚生センターでございますとか、先ほどのハローワーク、このようなところと相互に連携を図りながら、一時保護を受けていらっしゃる方々、必要な方には精神的なサポートも加えて、精神的あるいは経済的自立支援に努めているというところでございます。  ただ、24時間非常に余裕のある人員配置ということになりますと、いつ駆け込みがあるかわからないという状態でございますし、またむだな時間も相当あるかと思いますので、現在の職員と、それから相談件数や保護の件数の推移等をよく見きわめました上で、関係の機関とも連携を密にしまして、こちらの保護・相談の機能が十分果たされますように、これからまた配慮してまいりたいと考えております。 202 大上委員 今、相談を受ける職員の人の話をしましたが、今度は女性センターの建物の話でございます。これは私も行ってみましたけども、女性相談センターというのは建物そのものが、昭和33年に建てられたものを、その後今日に至るまで手直しし、手直しして使っておると。現実に私が相談所へ行って中を見学させていただきましたが、目に見えて傾いてしまっておる。戸の開け閉めも難しいくらいになっておる。ちょうど茨城の北朝鮮の船が傾いておるような状態ですね。まともに立っていられないというほどではないけども、相当傾いておるということが1つ。  それからもう1つは、避難をしてきた親子が寝泊まりする部屋が大体20人分ほど用意してあるそうですが、冷房はついていない、扇風機も置いてない。暖房は古いし、テレビはどの部屋にもない。聞けば、先般取り壊した県職員会館のお古を幾つかいただいたので大変助かりましたという、今の時代にはちょっと価値観としてわからない感謝の言葉を言われまして、びっくりしたわけであります。  私は、夫の暴力に耐えかねて助けを求めてきた、身も心も疲れ切った親子が、寒々としたテレビもない部屋で1晩も2晩も、場合によっては1週間以上もそんな部屋で過ごす親子の気持ちを思うと、とても耐えられない。  これは部屋の中の話ですが、今度は部屋の外の話です。相談に来る人は大抵は自動車で来る。ところが、駐車場のスペースが狭いため、私が行ったときは、職員の人の車が5、6台とまっているとそこへとめられない。私自身が駐車場にとめられなくて、私は地元ですから、近くの農家の人の駐車場にとめさせてもらってセンターへ行ったというのが事実です。実態です。したがって、場合によっては相談に来た人が車をとめられずに、相談もせずに帰ってしまった人がいても不思議でないんじゃないかなと。このへんの対策はやはり考えてもらわなきゃならない。いかがでございますか。 203 阿部厚生部長 女性相談センターは大変古い建物で、私どもの官舎からも非常に近いところで本当によくわかっておりまして、昨年、本年度と何カ所か修繕を重ねながら使っております。また、こちらのDVの保護件数の増加率等も見まして、必要な部分はきちんと徹底的な修繕・修理等を重ねまして、なるべく駐車場等の確保も工夫を凝らしまして──近くに県の駐車場等がございますので、そういうところと連携しまして、きちんとしたセンターとして使えるように配慮してまいりたいと思っております。 204 大上委員 おっしゃるとおり、近いところに防災センターが20メーター先にありますし、その先には入札のときに使う駐車場がいつもあいている。あのあたりは関係部署と相談をして2台なり3台なりセンターの専用の駐車場として借りる、あるいは職員の駐車は少なくともセンターから外へとめるとか、何か工夫をしていただきたい。  それについて思ったのは、昭和33年というのは売春禁止法がしかれた年なんですよ。私が高等学校を卒業した年ですけどね。この年、昭和33年に建てられた建物だということは、皆さん、行かれなくても大体想像できると思うんですがね。  だから、私はそれで思ったんだけども、駅北の運河のそばに県民共生センター「サンフォルテ」というすばらしい建物ができているんですよね。ここも相談は1カ所できるようになっておるようですが、なぜ本拠地をあそこへそのとき持っていかなかったのか不思議でしようがない。何を考えておるのか。しかもDV防止法に、県内女性の有識者と言われる人たちが大変熱心だったと聞いておるわけですが、その人たちが今使っているのはサンフォルテなんですよね。それで、こんな言葉を言っちゃなんだけど、やわい相談みたいなのはそちらでやってください、昭和33年にできた建物でやってくださいというのはちょっとおかしいんじゃないんですか。  次に行きます。少し飛ばさせてもらいますが、被害者が逃れてきて、どうしても家へ帰れないで別のところに隠れなきゃならない。友人、知人、親戚等に世話になる場合もあるんですが、県、市町村の公営住宅に入るケースもある。そういった場合の対応を県の土木部で優先扱いしてあるのかどうか。あるいは、母子家庭の認定がある場合には公営住宅というのは比較的対応しやすいわけですが、今まさに逃げてきておるという段階で、母子家庭でもない、夫婦関係もある、いわゆる結婚している状態にあるというような人の優先的な扱いというものを、こういうDV防止法の背景を整備する意味においても、土木部長は各市町村の関係と連携をとっていただきたい。これは要望しておきます。  これは非常に警察と関係があるものですからどうしてもお聞きしておかなきゃならないんですが、このDV防止法の第8条というのは警察とのかかわりの条文が書いてあるわけですけども、警察におけるDVの相談受け付け体制というのはどうなっているのか。また相談件数、あるいはそのうちの、先ほど20件というお話ですが、刑事事件として取り扱われたものはどれくらいあるのか。また、県警本部内にある「女性被害 110番」の状況──これは状況じゃなくて、先般谷内さんもおっしゃいましたが、女性は女性の人でないと何か相談しにくいものですから、「女性被害 110番」に県警側は女性を出していただいているのかどうか、この点ひとつお願いいたします。 205 佐藤警察本部長 県警察では、いわゆるDVに関します相談を 365日24時間態勢で受理する体制をとっているところでございます。  まず警察本部におきましては、本部に設置をしてあります警察安全相談室におきまして専従の職員6名、うち女性職員は3名でございますが、この6名がこの任に当たっておりまして、「女性被害110 番」という電話も活用していただいているところでございます。  ちなみにこの電話番号でございますが、フリーダイヤルで「0120-72-8730」という電話番号でございまして、実はこれにも、困った方がとっさに思い起こしていただけるように呼び方をつけておりまして、「72」は泣かずに、「8730」は話そう。「泣かずに話そう」と、こういうような読みかえを行っているところでございます。  なお、勤務時間外は、当然のことながら総合当直で受理しているところでございます。  なお、県下の17ありますすべての警察署におきまして、本署、交番、駐在所におきまして相談を受理しておりまして、受理した相談につきましてはすべて直ちに幹部に報告をさせまして、1件1件組織できちんと対処しているところであります。なお、県警の側からも関係の機関とは緊密な連携をとっているところでございます。  次に、相談件数と内容でございますが、昨年の10月13日にいわゆるDV防止法が施行されましてから、本年11月末までの間に受理したDVに関する相談は 231件に上っておりまして、その内訳は、女性からの相談が 227件、男性からの相談が4件となっております。  なお、相談を受理しました 231件のうちに刑事事件として検挙したものは11件でございまして、内訳は、DV法による保護命令違反が1件、傷害等が10件となっております。
     なお、ただいま申し上げました「女性被害 110番」は平成9年の3月に、いわゆる性犯罪被害の相談に専従の女性職員が対応するために設置されたものでございまして、最近3年間の受理件数を申し上げますと、平成12年は 673件、平成13年は 512件、平成14年はこれまで 438件となっておりまして、DV防止法が施行されて以来、DVに関する受理は19件となっております。 206 大上委員 どうもありがとうございました。  そこで、警察が受理したものの中で、裁判所へ書類を送って保護命令を出すケース、それから女性相談センターから直接裁判所へその保護命令の書類を提出する場合があるわけですが、この保護命令で、こういう場合はどうなるのかと聞かれたことがあるんですが、保護命令が出されても加害者が裁判所に出てこない場合、そうなるといつまでたっても保護命令は出してもらえないんじゃないかという心配があるんですが、これはいかがですか。 207 川口生活環境部長 この法律の規定を見てみますと、必ずしも配偶者側が出席をしなくてもいいような規定が──実際の運用は私ちょっと正直わかっておりませんが、この規定上、保護命令の申し立ての事項は書類でいろいろやります。それから保護命令について速やかに裁判をするというのは13条に書いてございますが、その審理の方法のところに、相手が立ち会うことのできる審尋の期日を設けなければならないというふうに書いてありますけれども、どうも必ずしもこれ、 100%その相手がいなければだめだというようなことではないように思っておりますが、ちょっと確認を後ほどしておきたいと思います。 208 大上委員 これは事前に言ってなかったかもしれませんが、また確認しておいてください。  それでは、DV防止法についてはこれで大体わかりました。もっと詳しく知りたかったんですけれども、時間の関係上、次は教育問題に移らせていただきたいと思います。  学級崩壊という問題ですが、耳なれない言葉でございまして、しかしながら、どうもいろいろ聞いてみていると、4、5年ほど前から「学級崩壊」という言葉が使われ始めておる。あわせて「学年崩壊」という言葉も出ておりますが、これは何も小学校、中学校だけじゃなくて、大学でも高等学校でも同じような現象が出ているし、けさの朝日新聞の社説を見ると、「国会崩壊」という言葉も使われております。これは私語を注意された議員が注意した議員に食ってかかる逆ギレを演じた委員会があり、学級崩壊ならぬ国会崩壊とやゆされても仕方がないと。だから、小学校のことを教育長とやるのがちょっと恥ずかしくなってきたんですけども、しかし、きょうは主に小学校の学級崩壊についてお尋ねをしたい。  私が申し上げたとおり、学級崩壊というのは4、5年前からの現象なのか。また、その内容は何を指して学級崩壊というのか。また、どのへんに原因があってこういうことが起こるのか、この3点についてまず伺います。 209 福岡教育長 委員から御指摘のありました「学級崩壊」という言葉につきましては、国立教育研究所では次のように言っておるわけであります。「学級がうまく機能しない状況」という呼び方をこの研究所ではしておるわけであります。そしてその状態は、「子供たちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず授業が成立しないなど、集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態。この状態が一定期間継続し、学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合」とされているところであります。  そしてこのような状況の学級につきましては、本県では平成10年ごろより見られるようになったところでありますが、ちなみに昨年度は、小学校では、全体で 2,338学級ございますが、その中の9学級、それから中学校では、 1,026学級ございますが、その中の1学級で起こっておりますが、本県の場合、すべて年度内にこの状態は解決しているとの報告を受けているところであります。  そしてこのような状態になる原因といたしましては、今ほど申し上げました研究所の調査研究報告が出ておりまして、これによりますと、家庭、地域社会の教育力の低下や、少子化による子供たちの人間関係の希薄化などといった社会の変化を背景として、子供の集団生活や人間関係の未熟さの問題、それから特別な教育的配慮や支援を必要とする子供への対応の問題、それから学級担任の指導力不足の問題などの原因が複雑にかかわって起こるというように、この報告書は整理をしております。 210 大上委員 教員の指導力不足と未熟さという話が今報告書の中に出てまいりましたが、私の知る限りでは、学級崩壊というのはおおむね小学校の低学年に起こると。それで、教員の指導力不足というと、常識的には新採か、あるいは2、3年ぐらいしかたっていない教員の人のことをいうのかなと思っておりましたら、この学級崩壊に限っては、40代のベテランの先生の学級でも起こっておると。これは富山県でないかもしれませんが。そうすると、指導力不足というのは、必ずしも教員としての不足というよりも、逆に学級崩壊が起こる原因そのものの対応ができない教員のことを指導力不足というのであって、いわゆる普通の意味における教員の指導力の不足と違うんじゃないかなという感じを受けたんですが、そういうことはどういうふうに……。書いてありませんか。 211 福岡教育長 本県のアンケート結果によりますと、平成13年度中にいわゆる学級崩壊が起きたと回答した小中学校でその原因を聞いておるわけでありますが、その3つのケースを今報告させていただきますが、主として教員に問題があるケースが3学級、そして子供と教員の両方に問題があるケースが6学級、主として子供に問題があるケースが1学級との報告を受けておるわけであります。このことから、多くのケースは子供と教員の双方に原因があると考えておりますが、いずれにいたしましても教員の指導力が大切であることは間違いないところであろうと、そのように思っております。  そして、その指導力といいますのは、学級づくりの生徒指導、それから授業が成立しないような学級に至った場合にどうするか、そのような能力がやっぱり必要なのではないかと、そのような思いを持っておりまして、今現在教育委員会では、採用1年目の初任者、そして6年目、13年目の全教員を対象とした研修を初めといたしまして、この指導力を高める研修を実施しているところであります。  また、来年度から新たに、11年目の全教員を対象とする研修に取り組むことにいたしておりますが、今ほど述べました生徒指導に関する研修といったことを充実していきまして、この指導力の向上に努めていきたいと、そのように思っております。 212 大上委員 今ほど担任の先生のいわゆる力量、指導力の不足の話がありました。学級崩壊についていろいろ資料を調べてみると、原因の6、7割は担任の先生、いわゆる1人担任制が原因でないかと。この1人担任制が原因だという意味と、担任の先生が原因だという意味は大分違うらしいです。後から言いますけど。  そこで、最近の現場の小学校の先生の声を2つばかり例として挙げますが、1人の先生は、「学校の中心になる校長にもっと我々を見守ってもらいたい。対外的な世間体や授業時数で縛りつけ、自分の理想ばかりを押しつけられてもついていけない。教育委員会もリーダーシップがとれる校長を選んでほしい」と。  もう1人の先生は、「上に立つ人の雰囲気で集団は変わる。学級崩壊にもいろいろのケースがある。教師自身が多くの問題を抱える場合は、校長がしっかり指導し、子供に問題が多いときは学校じゅうの教師が支え合うというように、実態に応じて協力態勢を臨機応変にとることが大切だ」と言っておるんですね。  お二人の言っておられることは、教員もしっかりしなきゃならないけども、管理最高責任者である校長がしっかりしなければだめだと。常に自分の学校の各学級の状況、実態、教員の健康状態、いわゆるストレスがないか、そういうことを掌握しながら、いわゆる学級経営の能力が少し弱いという先生に対しては日ごろから対応するというような校長を教育委員会は選んでほしいと、こう言っておるんですが、御感想はどうですか。 213 福岡教育長 初めにお断りいたしておきますが、先ほどの答弁で申し上げておりますが、学級崩壊は起こりましたけれども、全校一丸となって解消に向けて努力して、その年内に解消しております。学級崩壊の状態は回復をしております。そのことだけはよろしくお願いしたいと思います。その後、関連しますので。  校長につきましては、まず校務をつかさどり、そして所属職員を監督すると、そういう立場にあります。それで、教育委員会といたしましては、各校長が地域や保護者から信頼される、そして円滑な学校運営に全力で取り組むことを期待いたしておるわけであります。そして、校長がその職務に適切さを欠く、あるいは教育に対する信頼を損なうことのないように、校長会等あらゆる機会を通じて指導に努めておるところであります。  また、登用に当たりましては、学歴、年齢、性別にこだわらず、教育実績を有し、そして学校の管理運営について十分な識見と指導、統率力を有する者の中から任用するように努めているのでありまして、また校長研修会などを通じまして校長としての識見を高める、そして職員の綱紀の保持、あるいは学校事故の際の迅速かつ適切な対応のあり方、そして地域に開かれた学校づくりなど、学校運営能力の向上にも努めておるところであります。  今後とも、市町村教育委員会とも十分に連携を図りながら、校長へのすぐれた人材の登用、そして適材適所の配置、研修などを通じまして管理能力の向上、資質向上にも努めてまいるということで、ぜひ御理解をお願いしたいと思います。 214 大上委員 理解はいたしましたけども、教員の指導はもちろん大事ですよ。教員の指導は大事なんですけども、県の教育委員会は、教員の指導に50%のエネルギーを注げば、あとの50%はよき管理者である校長の人選にエネルギーを注いでもらいたい。したがって、年功序列はもちろんだめと。昔は意外と40そこそこでも校長になっておられた。今でもそういう傾向は徐々に出てきておることは承知しておりますが、昨今の小中学校の現実を見ておりますと、管理者である校長に大変問題がある。世間では教員の資質のことを言う声が大きいんですけども、私は声を大にして、校長の資質が非常に大きい問題だというふうに考えておりますので、先ほど言ったように、教育委員会としてはしっかりと立派なリーダーを選んでもらいたいという、現場の悲痛な声が出ておるということを申し上げておきます。  その1つの状況を申し上げますと、「ある教育団体」とこれには書いてあるんですが、本当は日本教職員組合が、1999年に全国1,800 人の小学校の先生にアンケート調査をしたところ、これまでに学校担任をやめたいと思ったことのある教師は34.8%あった。その理由は、「子供との関係、学級経営に悩む」が56.6%あった。で、学級崩壊一歩手前で精神的、肉体的に限界である。そして病院通いをしている。教師のほうが不登校したいという答えもあったということで、これは私が登壇して教育長あるいは教育委員長とやるというよりも、学級大国という明治以来の1人担任制が連綿と続いてきた日本の教育制度そのものが、もう既に今現在の、大きく転換してきた、価値観も変わった日本社会に合わなくなってきておるんじゃないかという教育の専門家の人たちが複数おいでになるわけでありまして、このへんに対する認識は、教育長はどのように持っておられますか。 215 福岡教育長 最初のお話がございましたので、私は今ほど引用されたアンケートをそのままうのみにしていただくのは困ると思っておりまして、本県の教員は非常に資質も高く、そしてやる気を持って現場に臨んでおります。そして、教育委員会の中の異動にしましても、現場へ帰るというと、皆さんにこにこしておられるのが本県の教師だと、そのように思っておりますので、そのように御理解をよろしくお願いしたいと思います。  ただ、今、1人の担当ということの御指摘がございました。それで、複数の教師で授業を行うということになりますと、子供たち一人一人に目が行き届くということ、そして多様な観点で子供のよい面を引き出すことができるということから、子供たちの指導の面でも効果的であると、そのように思っております。そのため本県におきましては、小学校、特に低学年に対しましては、その発達段階から考えて、一人一人に目配りした指導が行われるようにということで、平成12年から多人数学級支援講師を派遣しておるわけであります。  参考までに申し上げますと、平成12年度は49校 104学級82人でございます。それが13年度は70校 136学級 100人になりまして、平成14年、今年度は 101校 195学級 117人を配置しているのであります。また、講師を派遣できる学級の規模につきましても、12年度当初は1学級38人をめどにしておりましたが、現在では35人にするなど、この配置基準も見直してきているところであります。  こういった支援をする形をとったことから、教師からは、子供たちが落ちついて学習に取り組むようになった、あるいは入学当初の子供たちの不安を取り除く意味で大変効果があったという評価をいただいておりまして、また保護者からも、2人の先生に見てもらえるということで安心できるというような意見が寄せられているところであります。1人より2人の目で見ることは非常に効果のあることだと、そのように思っております。 216 大上委員 とにかく教育長には、学校教育の大変大きな部分を校長が担っておるということを再度申し上げておきたいと思います。  今の学級崩壊を初めとして、学年崩壊その他のいろいろな現象が起こっておることに対して、教育専門家が言っておりましたが、私自身もなるほどなと思ったのは、戦後、昭和30年ころから全国的に中学生の集団就職ということで都会へ都会へと流れた。我々が高校を卒業したころもその傾向が強かったわけですが、昭和30年代から相当年数をかけてですが、地方の若者がおおむね 4,000万人も各都会へ流れたと、こういう数字を出す人がおるわけです。この大変な数の、いわゆる若者の人類移動みたいなことの弊害が、地方の世代間の伝承が断絶する一つの要因になったんではないか。あるいは生活文化の伝承が断絶したんではないか。そのころの幼稚園や小学校低学年の子供たちが今の大人になって、子供を生んで育てて悩んでおる。そのことからの学級崩壊あるいはいじめ、不登校、家庭内暴力といろいろと……。もちろん社会的な要因もそれに加わっておるわけですが、大きな流れは、価値観の違いが出てきているんじゃないか。  そういうことから、1人担任制というものも限界に来ておるということで、今チームティーチング、サポート教諭などを配置して頑張っておられるわけですが、それに相対して、先ほど委員のどなたかが少人数学級、30人学級の話をしておられましたけども、私は今回学級崩壊をいろいろ調べてみておったら、1人担任制は既に時代的な、歴史的な役割が終わって、今別な形を求められておるときに、人数を40人を30人にしてみてもあんまり意味がないんじゃないか。そうでない体制をとらなきゃならん時代になっておるのに、30人だ、少人数学級だというのはもう化石みたいな話じゃないかという気が実はいたしまして、そのへんも教育長は専門家としてまた御検討いただければ大変ありがたいと思います。いや、それがいいんならやればいいですよ。だけど私は、40人を30人にしてみたって、今の学級崩壊の原因になっておるようなことの対症療法にならないと。1人じゃなくてやっぱり複数、あるいは校長が助けるとか、教頭が助けるとかというような、いわゆる複数の態勢で組まなければやれなくなってきているんじゃないかと思います。  最後に八木教育委員長さんに、わざわざお越しいただきまして恐縮でございます。今、世の中で、親はもちろん、我々もしつけということについて大変気にしておるわけでございますが、どうしてしつけをすればいいのか。何をもってしつけというのか。どうすればしつけをされた人間が、骨格がしっかりして将来立派な社会人になるのかということを、博識と見識の高い八木教育委員長さんにぜひ教わりたいと思っております。  ただその前に、私も学生の気分で一応しつけの語源の由来だけはちょっと調べてきたんですが、しつけの語源の由来というのは、しつけ糸からきておると。しつけ糸というのは、布を縫う際に形が崩れないようにするために仮に縫う糸のことである。本縫いが終わればしつけ糸は取り除かれる。しつけ糸が取り除かれれば完成である。つまり人間のしつけは、このしつけ糸からきておると、こういう語源の由来があるということなんですが、ひとつそれも含めて委員長の御見解を承れれば大変ありがたいと思います。よろしくお願いいたします。  それから、現在の富山県の幼稚園、小学校の低学年、あるいは小さな子供を持つ母親、父親といった人たちにとっても、しつけというのはどうあるべきなのかということも含めてひとつお願いしたいと思います。 217 八木教育委員長 しつけにつきましては、ただいま委員からもお話がありましたように、確かにしつけ糸というようなものがその根源にあるかとは思います。これは漢字がございまして、日本でつくった漢字でございますが、いわゆるへんに当たる部分に身体の「身」を書き、つくりに当たる部分に「美」という字を書きます。これは中国からの輸入ではなく、我が国でつくり上げた国字と称される漢字であります。この字を眺めますと、大変よくできておるなと思うわけでございますが、しつけ糸というような観点からも、それは確かにうなずけるわけであります。  一応これは、礼儀作法を身につけさせること、もしくはそのようにして身につけた礼儀作法のことを申しますが、そういう点から考えますと、まず第1には外から入ってくるものであります。言ってみれば、何もわからない形のところに対して、外から、このときはこうするもんだと教えるというところから始まると言わざるを得ない。さりながら、それが本当に身につくためには、すなわちしつけ糸が取られる状態になるためには、そのことがその人にとって、いわば内面化されなければならない。つまりは、何ゆえかようなことをするのかということを理解されることが大事ではないかと思います。それが言ってみれば、伝統であるとか文化であるとかいうものが本当に理解されるという形を通して、しつけがその人に生きてくるのだと思うのであります。  そのしつけの中身というようなことに相なりますと、人間はひとりでは生活できませんから、どうしても社会をつくらねばならぬ。社会をつくれば他人がたくさんいるわけです。そうした人々と心を通わせて生活をする、こういうことがなければならず、そのために必要な最小限の最も基本的な生活上の訓練、これがしつけというべきものではないかと思うのであります。  さよういたしますと、例えて言えばあいさつができるとか、単純な善悪がわかるとか、あるいはまた、ひとりじゃありませんから必要に応じて我慢をするとか、そういう事柄が当然基本的なものとして含まれてまいります。それらの事柄は、学校であるとか社会であるとか、もちろん関係いたしますけれども、第一義的には家庭が最も大きな役割を担うべきものであり、家庭においてまず第一に家族の愛情の中で子供たちにそのようなしつけがなされなければならない。もしそこから愛情を取り除きますと、しつけをしているつもりで虐待をしているということになりかねない。さようなことがあったのでは、言ってみれば外からアイロンをかけたような状態はあるいはできるかもしれませんが、本人にとってそれが内面化され、本当に身につくということにはならないのではないかと、かように思うわけであります。したがって、そうした点で、ぜひとも家庭の皆様方には、子供というものを愛していただければそれでよい。そこからすべては始まるであろうというように思います。  今日、家庭その他の教育力の低下が叫ばれておりますけれども、そうした点で、それらを支援するための事業等も教育委員会などでも行っているわけでありますけれども、それはあくまでもやはり支援の域にとどまるものであります。何としてもそのあたりのところで、家庭の皆様方が子供を大切に思い──子供が将来どのように生きていくか最後まで面倒を見ることは、いかなる親にも普通はできないんです。子供のほうが長生きするのが当たり前ですから。となれば、そういうことをある点では残念に思いながら、ひとり立ちさせていくという覚悟を持って育てていかなければならないわけでありますので、そういう愛情というものがどうしても必要でないかと思うのであります。最も簡単な話はそういうことではないか。そこからいろいろな問題の解決もなされていくのではないか。もとより、学校や地域社会もそれに応じてそれぞれの役割を果たしていかなければならないことは申すまでもないと、かように思う次第であります。 218 横田委員長 大上委員の質疑は以上をもって終わりました。  これをもちまして本委員会の質疑は全部終了いたしました。委員各位におかれましては長時間御苦労さまでした。  終わりに、本委員会の運営に終始御協力を賜りました議員各位、県当局及び報道関係の各位に対し深く敬意を表します。  これをもって平成14年12月定例会の予算特別委員会を閉会いたします。                     午後5時23分閉会 Copyright © Toyama Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...